表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/58

第6話 オリジナルスキル


 どうやらこのダンジョンは迷路のように広大らしい。

 何か目印を残しておけば良かったが……。


(……あの時はそんな余裕もなかったもんな)


 悔いても仕方ない。

 歩きながらも情報を探る。

 敵の姿は見えない。

 仲間の姿も見えない。

 声も聞こえない。

 思っていたよりも、敵は少ないのか?

 担任は100階層って言ってたよな?

 最初の階層にあたるここは、敵が弱く少ないと考えていいのだろうか?

 だとしたら、俺が生き残れる可能性も上がるのだが……。

 いや、楽観視するのはよそう。

 他に何か情報は……――あ、そういえば。

 俺は足を止めて、もう一度ステータスを見た。

 気になったのはスキルの項目。

 そこにはスキルだけではなく、オリジナルスキルと書かれている。


一匹狼ローンウルフ……か」


 俺はスキルの欄から選択して詳細を確認してみた。




               ※




 ○オリジナルスキル

 

 ・スキル名:一匹狼ローンウルフ

  スキルレベルアップの条件

  レベル:0 獲得済み(あなたは選ばれました)

      1 クラスメイトの協力なしで、階層のボスを討伐する。

      2 ???

      3 ???

      4 ???

      5 ???


 ・スキル効果

  レベル1獲得から発動可能。

  効果時間は15分。

  対象に対する自身の全能力値が10倍。

  発動状態は獲得経験値量10倍。

  レベルアップした際、獲得マジックポイント、スキルポイント10倍。

各階層で1度しか使用できない。

  スキルレベルが上がるごとに効果は大幅向上。

  また、新たな効果を獲得する。




               ※



「は……? 全能力値10倍!?」


 しかも経験値と獲得ポイントも……?

 これ、スキルレベル1での効果なんだよな?

 レベルが上がれば、これよりもとんでもない効果になるのか?

 だが……スキルレベル1に上げる為の条件が厳しそうだ。


(……階層のボスを一人で……?)


 さっきのゴブリンたちと違い、各階層にボスとなるモンスターがいるのか?

 達成できたなら大きな力になりそうだが、ゴブリンに殺されかけた俺には縁遠い話だ。


(……そもそも…生きて教室に戻れるかわからないしな)


 考えるのをやめて、俺は薄暗い通路を歩き続けた。

 5分ほど歩いた先は、通路が左、右、正面と三方向に分かれている。


(……こんなところ、さっき通ったかな?)


 似たような道が続いているせいか、完全に迷っている。

 どっちに進むべきか……と悩んでいると――ぴょん、ぴょんと、正面の通路から跳ねるような音が聞こえた。 

 徐々にこちらに近付いて来る。

 しかし先は暗くて良く見えない。

 俺は暗闇を凝視した。

 すると――薄暗い通路の中で、真っ赤な鈍い輝きが怪しく光った。


(……間違いない)


 モンスターの瞳だ。

 目が合った……少なくとも俺はそう感じて、慌てて左の通路に隠れる。

 そして壁を背にして顔を出し敵の様子を窺った。

 近付くにつれて敵の姿がはっきりと見えてくる。

 それは兎を巨大化させたようなモンスターだった。

 サイズは通常の5倍ほどだ。

 赤い瞳が不気味に光り、頭部には一角獣(ユニコーン)のような鋭利な角が生えている。

 あれで攻撃されれば、人の身体なんて簡単に貫通するだろう。

 真っ直ぐに直進していたが、動きもかなり速い。

 俺に気付いただろうか?

 なら仕掛けるべきか?

 しかし、こちらに気付いていない可能性もあるだろう。

 周囲は薄暗い上に、俺は気配遮断スキルを獲得している。


(……頼む!)


 その効果を信じ、俺は身を潜めたまま様子を窺う。

 すると――ぴょんぴょんぴょんと、巨大な兎が通路を直進して進んで行った。


(……気付かれなかったか)


 早速、スキルの効果が出たのかもしれない。

 もっと試してみたいが、その為だけにモンスターと接触する度胸もない。

 戦闘が避けられたことで俺は心底安堵していた。


(……はぁ)


 一角兎が見えなくなったのを確認した。

 直後――。


「ちょ、マジっ!? く、くるなっ! 来ないでよ!」


 通路に響き渡るように、女の叫び声が聞こえた。

 どうやら、あのモンスターと遭遇した生徒がいるらしい。

 だが、向こうは教室のある方角ではないはずだ。

 ダンジョンの構造は複雑の為、俺が気付かなかったルートがあったのかもしれないが……。


(……どうする?)


 助けに行けば、モンスターと戦わなければならないリスクがある。

 しかし、この先にいる生徒は教室までのルートを記憶しているかもしれない。

 このまま一人で行動するより、生存の確率が上がるのではないか?

 先を考えれば間違いなく戦力にもなるだろう。

 メリットとデメリットを天秤にかけた結果――


(……リスクはあるが……助けるべきか)


 そう決めて俺は声の方向に走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ