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第21話 タウンの構造

               ※




 勇希たちと合流して、ここが学生寮と同じ構造であることを伝えた。


「寮と同じならこの建物は5階建て。

 1階は食堂とかお風呂とか……まぁ、色々と寮の施設があったね。2階から5階は寮生の部屋になってる」


 此花のお陰で寮の構造はおおよそ把握できた。

 その上で全ての階を調べる。

 ここまでモンスターとは一切遭遇していない。

 気配も全くない為、タウンの安全は確保されていると考えて間違いなさそうだ。

 が、まだまだ問題は山積みだ。


「……構造は同じだけど施設が一切ないんだよね。

 浴室すらまるまると抜けちゃってるもん」


 此花が口に出して指摘する。

 風呂やトイレは勿論だが、水道もなく飲み水すら確保できない。


「……これって……ポイントで購入しろってことだよね」


 勇希に問われて俺は頷いた。

 ポイントの重要性を否応なく意識させられる。


「物資の購入ついては僕たちだけで決められることじゃないから、みんなと話し合って決めよう」

「あのよ……前から思ってたんだが、オメーが仕切ってんじゃねえぞ」


 大弥の提案が気に入らないのか、不良が噛み付いた。


「気に障ったら謝るよ。でも、こんな時だからこそ誰かが率先して……」

「だから、そういう役目はリーダーがやるもんだろうがっ! ね、そうですよね! 宮真くん!」


 は?

 なんで俺に話を振るんだ?


「わかってんのか大弥? 宮真くんがいるんだから、オメーが出しゃばんじゃねえよ」

「え?」


 このヤンキーは何を言ってるんだ?

 クラスリーダーはどう考えても大弥だろ。

 俺がクラスを纏めるような人間に見えるのか?


「……わかった。確かに宮真くんになら任せられると思う」

「はぁ!?」


 大弥まで何を言ってるんだ?

 気は確かだろうか?


「んだよ。テメェもよくわかってんじゃねえか」

「……おい野島! こっちに来てくれ」

「ど、どうしたんですか、宮真くん? しょんべんっすか?」

「そうじゃない。なんで俺がリーダーなんだ?」


 勇希たちと距離をとり、俺は野島とこそこそ話す。


「当たり前じゃないっすか! オレを庇ってモンスターのおとりになる男気! そしてダンジョンを生き抜く力――宮真くんは正に、男の中の男なんですから!」


 興奮しながら口を開く野島。

 あの時の出来事が、随分と都合良く解釈しているようだ。

 このままでは野島の押しで強制的にリーダーにさせられる可能性がある。

 なんとか野島を説得しなくては。


「野島……落ち着いて聞け」

「う、うっす!」


 俺が真剣な表情を作り、低い声が話し掛ける。

 野島は緊張したように固唾を呑んだ。


「俺はリーダーになるつりはない。

 クラスのリーダー……そりゃあ委員長ってことだ」

「委員長……?」

「そうだ。

 そんなもんはな、いい子ちゃんがやるもんだろ?」

「!? ……確かに、言われてみりゃあそうっすね」

「だろ? そういう面倒な仕事は大弥に任せておけばいい」

「なるほど! つまり宮真くんがなるのは――裏番ってことっすね!」

「うら……? そ、そうだ!」


 とりあえず肯定しておいた。

 この際、野島が納得するならなんでもいい。


「確かに裏から全部指示をするほうが、カッケーっすもんね」

「ま、まあ、そんな感じだな。

 だがな野島、俺が裏番ってのは他の奴には秘密にしろよ」

「もちろんっすよ! 影から全てを操る裏番の正体を知られるわけにはいかねーっすもんね!」


 納得してくれたのか、満足そうに野島は何度も頷いた。

 そして凶悪な三白眼を大弥に向ける。


「おお、大弥! クラスの委員長はお前がやりやがれ!」

「え……でも、宮真くんはそれでいいのかい?」

「当たり前だろうがっ! クラスのリーダーなんてもんは、宮真くんには似合わねえだろうよっ!」


 野島の発言が180度変わっていた。

 これには大弥も苦笑を浮かべる。


「まぁ……リーダーについてもこれからみんなで話し合って決めようか」


 仮に投票での多数決となれば大弥は過半数以上を集めるだろう。

 とりあえず、これで俺がリーダーになる可能性は消えた。

 野島のせいで想定外の疲労は溜まったが、以降は大きなトラブルはなく。

 俺たちはタウンの探索を終えたのだった。

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