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cigarette(仮) 投稿テストも兼ねて

作者: 冬草

ーーーエピローグーーー


ギッ、ギィィィィイ。

ジジジジジジジ。

嗚呼、こんな所に来るのではなかったと心から思う。


ジジジジジジジ。

立ち込める煙の匂いと紙と種類までは解らないが葉の粉が焼ける音。


ジジジジジジジ。

毛嫌いしている魔女の小屋なんぞに立ち入る意味も理由も無かったはずなのに。


ジジジジジジジ。

なんて俺は不幸なんだ。


ジジジジジジジジジジジジジジ。

「そんな所で突っ立っておらんで用を話さんか。」

一筋の光すら入らない窓すらないこの小屋の中で、煙草の魔女と呼ばれる何者かの吹かせる煙草の火とその奥に青白い炎だけが灯っている。

ーーーゴクリ、と生唾を飲み込む音が自分の喉元からした。

「ああ、すまんな。もしかして暗くてわしがどんな姿か分からんから声も出せんか。噂の魔女様はもしかしたら化け物でお前さんを頭からバリバリ食ってしまうかも知れんからなぁ」

パチンッと指のスナップ音がなり、私の足元が急に光りだす。

うわっ!?と思わず声が出た。

透明な膜に覆われた光の塊がクスクスと笑いながら私の体を透過しながら空中に浮かび、鈴の様な音と共に弾け飛んだ。

バッと身構える、が特に何も起こらない。

光の粒子がばら撒かれ、火以外見えなかった暗闇が薄暗がりになる。

「満足したかのう。」

その声を発したのは女、だった。

揺り椅子に座り、肌は白く、髪も白く、黒いボロ切れを纏い、煙草を燻らせ、トンガリ帽子の先に炎を灯した、まさに魔女然とした魔女の姿がそこにはあった。

敢えて本との違いを上げるのであれば、そこに居たのは老婆ではなくまだ若く見える女であることくらいだろうか。

だが、目の周りに付いている隈の所為で恐らく普通より歳をとって見える。

「クカカ、本と違ってビックリしたか?驚きっぱなしじゃのう。」

フーッと煙を吐き出しながら魔女が笑う。

獣の牙のような歯を笑みの隙間から覗かせて。

煙が籠もる。

よく見ると周囲は白煙で溢れている。

恐らく魔女の口から溢れ、煙草の先から溢れているだろう煙草の煙だ。

いい加減、覚悟を決めねばなるまい。

今日俺がここに来た理由、その意味。

息を吸い込む。

「シガレット!貴様には現在殺人の容疑がかかっている!此方には捜査令状も逮捕状もある、署まで同行願おうか!」

大きく声を張り上げ、威嚇するかの様に魔女に呼びかける。

もちろん虚勢だ、恐怖で頭がイカれそうになる。

「クカカカカ...そう、怯えずとも良い、ーーーシス警部」

頭がぐらりと揺れる、今、なぜ名乗っても居ない俺の名前を言い当てたのだ。

「お前さんがくることは分かっておった、今起きている事件の事、そしてお前さんの懐から臭うその匂い。」

匂いーー、そう言ったのかこの魔女は。

「その煙草の調合を行なったのは間違いなくわしじゃて。」

懐にジプロックに入れた状態でしまっているこの煙草の臭いを、この自前とは言え吐き出し続けていた煙と、愛煙家ではある俺のタバコの臭いが混じったこの状況で嗅ぎ分けたのか。

「わしの印も入っておるじゃろう、言い訳もお前さんは聞き届けないじゃろう。いくらわしが2日前はここにずっといたと言っても、な。」

いくら頭の中で考えても表には出さない。

そうしないと相手に舐められる、無言で貫き通せ。

全てやり手の上司から聞いた言葉だ。

そんな言葉に縋らなければ、俺の意識は既に保てないところに来ている。

腰のホルスターに手を伸ばす。

ポタリと雫が頬を伝い落ちる。

相手は魔女、一挙動で此方を殺せる異能持ち。

蛙にされるか、肉片にされるか、食い殺されるか。

...いざとなればーー

「安心せい、抵抗はせんよ。」

「ーーーは?」

待て、この女今なんと言った?

「捜査も逮捕も好きにするが良い、署に連れて行っても構わん、そこで、今回の件の内容について説明してやろう。

ん?手錠をかけんのか?楽しみにしておったのだがのう」

髪を搔きあげ、咥え煙草のままあっさりと、魔女は手を出した。


ーーーこれがこの後死ぬ程面倒くさい事件に巻き込まれる俺と奇妙な魔女の邂逅だった。




御機嫌よう、冬草です。

今回はcigarette(仮)のエピローグ部分のみのテスト投稿となっております。

続きは既に執筆中ですので、一部ずつ完成し次第ゆっくり投稿させていただきたいと思います。


後、自分であらすじ作るの死ぬほど恥ずかしいですね。

変な笑い出てきますよ?


良ければ今後もご贔屓に。

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