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日常が再び動き出していた。
弥勒骨仙人が倒れた後、波城みゆきはすぐに目を覚ました。
きっと自分たちは、みゆきを救うことが出来たのだ。
それなのに心の中には強い迷いが生まれている。
自分は間違っていなかったのだろうか。正しいことが出来たのだろうか。
その思いが心を占めている。
あれから二日後、母からメールが届いていた。
『何かがあったから辞めるのではありません。何かをやるために辞めるのです。
私のことは心配いりません。あなたにしか出来ないことがあるように、私にしか出来ないこともあるのです。
あなたはあなたの人生を生きなさい』
母にしか出来ないこととはなんだろう?
そして、自分の人生とはなんだろう?
答えは見つからない。
それならば、ただ、ただ強くならなければならない。
その時のために。
了




