31】 ゴブリンの話
ちょー短い…。
自分でもびっくり。
ひとまず先にカインの傷の手当を済ませ、カインが捕らえてきたゴブリンと会話を試みた。
「出来るなら支配を」
とも考え、エリダーが代表で話をしてみる。
ゴブリンはマントの止め飾りの水晶を見て、エリダーが何者だか悟ったらしく叱られた子供のようにしゅんとして大人しくなった。
「俺ヲ封ジコメルノカ?」
「これ以上、我々に危害を加えるようであれば」
「オ前達ガ、我々ノ住処ノ鉱山ヲ荒ラシニ来ト聞イタカラ、戦イニ出向イタンダ! 危害ヲ加エヨウトシタノハ、ソッチダ!」
「我々は、女王ドーンの導きに従ってこの山に来たのです。鉱山を荒らしに来たのではありませんよ」
「本当ニ、鉱山ヲ奪イニ来タノデハ無イノダナ?」
「嘘は付いていません。女王ドーンに誓って」
エリダーの言葉にゴブリンは、安心したようで皺々の顔を更に皺くちゃにして微笑んだ。
「それで、その情報は誰から得たのですか?」
「ハバス様カラ」
全員硬直し、息を飲んだ。
「ハバス様ト我々ハ、地ヲ支配スル血統トシテ、ヨク似テル。ダカラ、念話ガ繋ガリヤスイ。ソレデ、ハバス様カラ我ラ、ゴブリン族ニ連絡ガ来タノダ」
「──念話って?」
「心と心で会話が出来る、って言うのかな? 簡単に言うと。それをするには簡単ではないけど」
カインの疑問にエリダーの邪魔にならないよう、ディーナが小さい声で答えた。
エリダーは、ゴブリンにこれからも鉱山を襲う事は無い。女王ドーンに従いこの国の為に動いているということを、地下に住む同系族の者達に伝えて欲しいと話をしてゴブリンを解放した。
ゴブリンは、その短い足に重いのでは? と思わせる鉄枷の付いた靴を懸命に前に出し、何度もお辞儀をして去っていった。