18】 巫女の原点
だいぶ間が空きました・・・。読んでくださっている方、すいません。
「良い? ルーは『ドーンの妖精樹を探せ』なんて言ってないでしょ?
──要するに妖精樹だったら、どこの場所であろうと呼び出せるのよ」
得意げにディーナは話を続ける。
「私達てっきり妖精樹は出現する妖精は決まっていて、それ以外の妖精は呼び出せないと思っていた」
「……確かに、あの時ルーは“妖精樹を探せ”としか言っていない……。だけどディーナ、シリーナヶ原の件は? ドーンが出現したのはシリーナヶ原の妖精樹なのでは?」
エリダーが顎を擦りながら疑問を投げかけた。
「女王ドーンを呼び出した場所がたまたまシリーナヶ原の妖精樹だった──と言うことじゃないかな? ──不思議だったのよ、女王ドーンが残した言葉はちゃんと代々受け継がれて残っているのに、場所はどこだったのか地図にも書物にも言葉にも残されていないのが。
金髪を置くのは多分ただの儀式。シャーマンの話で思い出したんだけど、他の国でも異世界の者を呼び出す時に生贄や相手の好きな物を供えるでしょ? そしてシャーマン又は巫女が祈りを捧げる」
「つまり嬢ちゃんのご先祖も元々シャーマン……いや、スクライカーだったと言うことか?」
「語り継がれてる話は、鍛冶師として鍛冶屋を生業にしたのは女王ドーンを呼び出して、名工ルーから鍛冶の知識を携わった後だと聞かされているから……可能性は無くないと思う」
「──いや、ありえますね。王室古書室の文献に、ソラヤ島はその昔スクライカー達の修行の島だった記述が残っています。
今でもそうですが、スクライカーとしてだけの生活は中々厳しいものがあったはずです。現状打破の為にディーナのご先祖様が、女王ドーンに助けを求めたのかも知れません」
「──じゃあ、妖精樹と金髪とディーナが揃えば……?」
ノーツの言葉に途端ディーナは、落ち込み俯いた。
「……私じゃ駄目なの……」
「また弟君じゃなきゃなんて──言うんじゃ」
「違うわ」
アリアンの言葉を制止た。
「女王ドーンを呼び出す、強い意志と強い願いと心から欲する私じゃないと……今の私じゃ弱いわ……」
祈るような仕草を取るディーナの姿を見てカインは呟いた。
「……巫女の原点だよ、そりゃ……」