表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ティンタンジェル記  作者: 鳴澤うた
17/49

17】 意志の力

「図々しいにも程がある」

 アリアンが呆れた様に笑った。

「図々しいのは承知の上だ」

 カインがしれっと言う。

「仲間になりたい理由は?」

 ノーツが尋ねると、カインの瞳の輝きが変化した──憎しみの光宿す輝きに。

「ドルイトに一泡吹かせたいだけだ」

「……」

 皆が、どう判断をしようか決めかね押し黙っている時だった。

 ディーナがズイッとカインの前に身体を出した。


「……?」

 カイン含めた皆、不思議そうにディーナの次の行動を待った。

 ディーナはじいっとカインを見詰めた。

 そして

「確かに……今は切羽詰っている。貴方が仲間になることで少しでも前進するなら、仲間にしてやっても良いわ。

 でもね、仲間になっても貴方は、私の故郷のソラヤの人々を殺した敵。いつか貴方を私が殺すかも知れないし、貴方の正体を知ったティンタンジェルの人々が貴方を殺すかも知れない──それでも良いのね?」

「……ああ」

 カインの黒い瞳の放つ虹彩は、強くディーナの心を打った。


 ──何かを果たそうとする強い意志──


 自分を信じている強い光だ。


『ディーナ、お前にはそれがある。

 強い心と魂があればきっと、何でも乗り越えられる』


 ──父さん……。

 父さんから見たら私、この人のようだったのかな?

 私、ほんの数日間で随分弱くなってたみたい。


『見付けようとすれば見付かる

 探そうと思えば探せる

 心から欲する

 強い願いがあれば』


 ──女王ドーンの言葉。


「心から欲する……」

「──えっ?」

 一同、カインと見詰め合ったかと思ったら、突然考え込んだディーナに戸惑う。


『妖精樹を探せ』


 ──名工ルーの言葉。


「……そう言うことだったんだ……」

 一人納得しているディーナに、アリアンが心配そうに肩を叩いた。

「ディーナ?」

「アリアン!」

 覚醒したように飛び跳ね、ディーナはアリアンに飛びついた。

「分かった! 分かったのよ! 女王ドーンを呼び出せるわ!!」

「え──?!」

「? ? ? ちょっ、女王ドーンって? 誰? ねえって!」


 驚いているアリアン、エリダー、ノーツに訳が分からずおたついているカインを尻目にディーナは、一人小躍りしていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ