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其之第一話

もう何年も前の出来事だろうか。私には妹がいた、それは私に似てて凄く可愛い妹だった。妹は魔理菜って言う、私が魔理沙だから妹と一文字違いだけで間違われやすい名前だったな。長い間魔理菜と過ごした日々、私は親と勘当な別れをしたせいか身内と言うのに疎いところがあったが魔理菜は別だった。いつも私が一人寂しくしていたらいつも側に来て笑顔を見せてくれる魔理菜、私はこの先もこの魔理菜の笑顔を忘れる事はないだろう。


たとえ、魔理菜が夢の世界の住人だろうと私は魔理菜に立派な姉としての使命を見せる義務がある。


そう、これは彼女が夢の中で私と出会い現実と幻想の世界の姉妹の記録を書き記した記録だ。恐らくこの書物が人々の手に渡った頃には私と魔理菜はもう…



雨が降る魔法の森の中にひっそりと建つ霧雨魔法店。そんな雨を魔法店の窓から眺める少女霧雨魔理沙がいた。


表情はパッとしない感じで何処か寂しげな感じで窓から外を眺める魔理沙。部屋は無音の静けさが響き、ぜんまい式の掛け時計の音がカチカチと室内に聞こえるだけだ。時間はお昼正午、本来なら何か食してる時だけれど今日は何やら気落ちしてる。


「退屈だぜ、雨の日がこんなに退屈だなんて御天道様も無理な難題を寄越しすぎなのぜ」


本当は雨なんかで退屈ではなかった。ここ最近雨続きで外にも出てないせいか誰とも会ってないし話してない。別に出掛けるのがめんどくさい訳ではなくて、まだ幻想郷に来たばかりの身相手にしてくれる筈がない。


「誰か来いと言っても、来る方がこの場所を知らないんだから話しにならないぜ。やっぱり、私から人里にでも顔出さなきゃ駄目なのぜ」


正直人里には顔を出したくなかった。あそこは私の知り合いもいるし、何より私に勘当なんて言った父親がいるからだ。それに寺子屋の皆にも会いづらい。


「はぁ~誰か部屋にガッシャンと登場してくれなのぜ。そうすりゃ退屈しなく。。。ん?何か玄関から物音が」


そう言って魔理沙が立ち上がると次に魔理沙が立ってられない程の地響きと共に耳をふさぎたくなる程のガッシャンと言う音が玄関から聞こえてきた。これはただ事ではない。


魔理沙は懐からミニ八卦炉を取り出して右手に持った、そして音をたてずに自室の扉を開けた。


周りを身果たす。誰か人の気配を感じる、目線を辺りに反らす。おや?何か食席の所に私より少し小さい女の子が立っている。やはり侵入者だったか。魔理沙は勢い良く扉を開けて、その女の子の方に八卦炉を向けて言った。


「生憎だが、ここには少ない本とお前から見たらガラクタしか無いぜ!!それに私は魔法使い様だ!今手に持ってるこいつからファイヤする前に今すぐ消え失せろ!!」


何言ってるんだ私は…。正直こんな万全を期して追い払う相手ではないのは一目瞭然。そう考えると、こんな年も私より幼い子に八卦炉を向けてる私が恥ずかしくなってきた。


「……。んで、何でお前みたいなのがこんな森の奥地からやってきたのぜ。まぁ、家出した風にも見えないし、迷って来ちまったみたいでもなさそうだが。…ん??」


魔理沙は少女の姿を見て不自然なところがあるのに気が付いた。外は大雨の筈なのに、この少女は濡れてる形跡が見受けられないのだ。それだけじゃない、傘なんかも持ってなさそうだし、それにこの森の雨は魔法の雨人間が作った普通の物ではこの雨は遮れないはず。


「……?どこから来たんだ?見た感じ雨で濡れてる感じでもないし、元々ここにいた形跡もなさそうだし。詳しくおしえてくれないか」


「お家で寝てたら、そして目が覚めたらここにいて。ごっ、ごめんさい!!」


「あっ!?いや別に悪気がないのは分かってるのぜ!?そんな泣きそうな顔するな、怖がらせたのは謝るからそんな顔しないでくれなのぜ」


何で私が謝ってるのだろうと思ったが、何故かその時はそんな事を思わなかった。それどころか、この少女、いやこの子まさか私の知ってる奴じゃないだろうか。


「なぁ、もしかしてお前の名前って霧雨魔理菜か?私を覚えてないか?お前の所にいたお前の姉で霧雨魔理沙だぜ」


「もしかして、魔理沙お姉ちゃん?でもそんなはずないよ。魔理沙お姉ちゃんは何年も前に死んじゃったってお父様が言ってたから」


「あの、ホラ親父め……」


ため息と共に額に手をやる。この世のどこに実の娘は死んだんだなんて言う奴がある。まぁ、そんな事は今はどうでも良い。私は目の前の少女、いや、妹、魔理菜に話しかける。


「まぁ、来ちゃったものはしょうがないのぜ。流石にこの雨の中帰らせるのも可哀想だからな。とりあえずそこの椅子に腰掛けて話しでもしよぜ。しかし、気になる事があるのぜ?お前は自分の部屋で寝てたらここに来たんだよな?」


「そう言う事になるよね。最近何か不思議なんだ、夢も全く見なかったかと思うと一度見るとその夢のまたその続きを夢で見る事があるの」


「ん?じゃあ何だ?今のお前は本来寝てて、夢で私に会ってると言う事は、それじゃ私は夢の中の姉って訳なのぜ!?」


「そう言う風になっちゃうよね。だから現実じゃ存在しない魔理沙お姉ちゃんにもこうして会えてるのかもね」


「だから私は死んでないんだよ。だったら何だ、態々夢から来るんじゃなくて生身で私の所にくれば良いぜ。遠慮なんかいらないぜ!相手が魔理菜じゃいつでも歓迎なのぜ」


だけれど魔理菜は首を横に降った。何でかは私にも分からない。しかし何故か淋しい様にも見受けられる。私は念のためその訳を魔理菜から聞き出す。


「何か現実じゃ来れない訳でもあるのぜ?」


「ごめんなさい魔理沙お姉ちゃん。私は夢の中でしかお姉ちゃんには会えないの、今こうして会えてる事は凄く嬉しい。だけれど次見る夢でまたお姉ちゃんに会えるかも分からないし、その約束は果たせそうにないよ」


「なら次の夢も私に会える様に私がお参りをやるぜ。ただのお参りじゃないぜ、夢の世界から持ち出した物だからな嫌でも絶対にまたこの夢に来ないと行けないわけなのぜ」


「嫌でもって…。たしかにこれなら次も同じ夢を見るしかないよね。ありがとう魔理沙お姉ちゃん、私必ず次の夢でもお姉ちゃんに会いにくるからね」


魔理沙はニコッと笑って再び見ると、魔理菜が座ってた所に魔理菜の姿はなかった。魔理沙は立ち上がり自室の窓から外を眺める。外は雨もやんで、日射しが出てきている。今日もこれからも良い事がありそうだ。

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