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腹ぺこエルフさん放浪記  作者: (=`ω´=)


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129/180

山形県米沢市。フルーツショップのフルーツ氷水。

 西の方では自然災害雨の復旧をしている最中だそうだが、日本の東側はとにかく暑い日が続いている。

 まだ七月だというのに。

 連日の猛暑により、タスッタさんも若干バテ気味だった。

 ここまで本気を出さなくてもいいでしょうに。

 などと思いつつ、タスッタさんは山形県米沢市内を歩いていた。

 この周辺は米沢駅からは少し距離があり、観光地だということもない、どちらかといえば個性のない町並みである。

 例によって所用はすでに済ませているので、後は適当に周囲をぶらついてから船橋市にあるマンションまで帰る予定であった。

 時刻は午後二時過ぎであり、しかしこの季節はどんな時間であっても基本的には暑い。

 どうしましょうかね。

 と、焼けたアスファルトの上を歩きながら、タスッタさんは考えていた。

 とりあえず、贅沢はいわない。

 涼しいところに。

 できれば、冷たくておいしい食べ物か飲み物などもあるといい。

 いっそのこと、次に出くわしたコンビニにでも入りましょうかね。

 とか、タスッタさんは考えはじめる。

 コンビニも馬鹿にしたものではなく、最近ではイートインコーナーを設けるお店が増えている。

 周囲によさそうなお店がなにも見当たらないような場所に行き当たった場合、タスッタさんも何度か利用をしていた。

 お店の環境も魅力だが、扱っている食品なども開発段階でかなり研究されていて、おいしいものが多い。

 そう、決して、コンビニだからといって馬鹿にするべき要素は微塵もない。

 ……などと、この暑さでゆだった頭でとりとめのない思考を展開していると、「coffee」と書かれた看板や「氷」と描かれた幟が立っているお店が、かなり先の方に見えてくる。

 喫茶店か、それとも甘味処か。

 なんのお店かはわかりませんが、とりあえず、あのお店に入ってみましょう。

 そう決意をし、タスッタさんは足を速める。


 結論からいうと、フルーツショップだった。

 基本的には果物屋さんだが、果物を使った飲食物も売っている。

 お店の一階部分で果物を、二階部分が飲食店になっているようだった。

 なるほど。

 と、タスッタさんは、心の中で頷く。

 ここ米沢はお肉が有名ですが、果物の産地でもありますからね。

 きっと地元で採れたおいしい果物を食べさせてくるお店なのでしょう。

 タスッタさんは、願望混じりにそんなことを思いつつ、そのお店の中に入った。

 お店の中に入ってそれとなくお客さんの流れを見ていると、二階を利用する人も、注文と会計はこの一階で行うシステムであるようだった。

 果物やら加工した物やらを買って帰る人と二階へと向かう人、どうやら半々くらいの割合か。

 半端な時間であるせいか、混雑といえるほど人は多くなかったが、とにかくタスッタさんも数人ほど並んでいたその注文待ちの列の、最後尾に加わる。

 当然、「なにを注文するべきなのか」考えながらであった。

 アイスクリームに、ジェラート。

 ここのは、普通のとは違いそうだな。

 ああ、あのパフェ。

 写真で見ると、あんなに大きな果物がいっぱい。

 基本的に「冷たい物」を中心に選ぼうとするのだが、そうした縛りがあってさえ目移りがする。

 もともとタスッタさんは、フルーツ類が好物なのである。

 さて、どれにしましょうか。

 前に並んでいる人数がいよいよ減ってきて、タスッタさんは本格的に悩み出す。

 ここで大事なのは、「フルーツを使っていること」と、それに「冷たい食べ物」であることだ。

 だったらここでは、その両方のよさを兼ね備え、なおかつ、フルーツのうまさや甘味を相殺する要素がない、それだけシンプルな物を選ぶべきなのではないか。


「わあ」

 注文したフルーツ氷が目の前に置かれた時、タスッタさんは小さな歓声をあげてしまった。

 器に盛られた氷の上に、ソフトクリームと、それに色とりどりの果物がたっぷりと盛られている。

 山盛りの氷の上には、果肉入りのシロップがたっぷりとかけられていた。

 かき氷とアイス、それにパフェを折衷したような一品であったが、かなりおいしそうかつ涼し気な様子だったのでタスッタさんとしても文句はない。

 まるでない。

 これは、涼しくなりそうな。

 そう思いつつ、タスッタさんはまず上に乗っていたフルーツをいただく。

 メロンとか桃とかスイカとか、ちょうど旬の食材がふんだんに使われていて、かなり贅沢な気分になった。

 どれもよく冷えていて甘く、おいしく、なにより瑞々しい。

 たぶん。

 と、タスッタさんは推測をする。

 こういうお店ですから、注文を貰ってから材料を切って盛りつけているのでしょうね。

 とにかく、どのフルーツも新鮮でおいしく、それに切り分けられた一片がかなり大きかった。

 こんなにいっぱい、多くの種類のフルーツを一度に食べるのも、ひさしぶりですね。

 食べているうちに、なんだかその事実だけでタスッタさんは満たされた気分になってしまう。

 上に乗っているフルーツを、その三分の一ほど食べてから、今度は溶けないうちにと、ソフトクリームと氷を食べ始める。

 ソフトクリームはおそらく業務用の物をそのまま利用しただけだと思うのだが、かき氷の中にもゴロゴロとフルーツが入っていて、上にかかったシロップと氷と、それにこのフルーツを同時に食べるとなんともいえない気分になる。

 満足。

 うん、それ以外に、形容のしようがありませんね。

 冷たくて、甘くて、おいしい。

 なにより、フルーツの種類が多いので、食べていて単調に感じない。

 というか、食べても食べてもなかなか減らないような錯覚にさえ、陥る。

 それほど、盛りがいい。

 食べはじめてすぐに、額に浮いた汗など引っ込んでしまった。

 それにしても。

 と、タスッタさんは思う。

 これほど高級な食べ物が、この世に存在してもいいものでしょうか。

 今日のこの暑さと、たまたまふらりと入ったお店で想像以上の一品が出て来たというサプライズ効果も手伝って、タスッタさんはそんな大仰なことさえ、思いはじめた。

 今日みたいな日は、うん。

 こういう、冷たくておいしい物が一番ですよね。

 と、タスッタさんは、そんな風に思う。



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