78話
「この度は本当に感謝している。其方には多大な恩が出来てしまった」
「いえ、私はただやるべき事をしたまででございます」
王との謁見の間に私は居る。
シーサーとの決着をつけてから数日が経った。
あの日は混乱と混沌が重なり、何をしていたのか思い出せないくらい天手古舞だった。
ごっそりと貴族を粛清しなくちゃいけなくなった陛下は悩んだ末に貴族の粛清に爵位の剥奪と使える者は再度忠誠を誓わせて様子見と様々なやり取りが行われていた。
それでも貴族の数不足は仕方ない。この国には奴隷制度は廃止しているが粛清する貴族の中に魔力が高い者は奴隷に近い扱いで命だけは助け出した。
特に私の断罪を受けた者は粛清せずに魔力が足りない領に派遣し飼い殺しの予定になった。
生きていても地獄だし、死んでも神々の牢獄行きなので救いようがない。
その者達はシーサーと元宰相と面談を求め、彼等を罵った。それ位は許そうと陛下が許可した。
話を聞く限りシーサーは憔悴していて、他人と会うだけで怯える位に変化したそうだ。何があったかは知らない。
だが、元宰相は逆に堂々と罵声を浴びて平然としているそうだ。寧ろ満足した表情で反省が足りないと周りは言う。
彼等の処刑は決まっている。後日だ。私はその日までこの地に止まる事になっている。
その間に貴族の在り方の見直しと国民の在り方を考える事になった。この地に住む民として、平民にも何かしらの役割を与え、恩恵を与えるべきだと主張してみた。貴族の間ではこの地に住まさせてやってるのに更に恩恵を与える事に反対する者も当然出てくる。
私はただ、案を出しただけで王都は王都で今回の件で色々と変わるだろう。
私は私で成功してみせる。
そう言えば私達が大変だった時にアルノーが何をしていたかと言うと王妃の救出してたらしい。
ヒモでマザコンだったのかとイラっとして、アルノーに嫌みったらしく大変だったのに貴方はどこでのうのうとしてましたの?って聞いたら私達の混乱に紛れて幽閉されている王妃を救い出せと陛下から言われたそうだ。
救い出す時にウチの使用人候補3人組が参加したらしい。
と言うより3人組の1人のカリンが幽閉された場所で王妃を匿い死なない様にしていた様で救出した時は憔悴して王妃は今、休養中だ。
あの場に居てもアルノーはただ見ているだけだったと思うので王妃を救い出した功績を作ったのはアリだろう。
ヨシュアとアンリーはクリスから公爵家の使用人になる事を聞いて初めは不満だったようだがゴタゴタが続き、事を終えたカリンから今までの事情を聞いて手の平を返した様に私に感謝している様だ。元より国に支えるより、人に支える使用人だった。王族の使用人になる位に優秀なので今後は良い駒になるはずだ。
他にも沢山の事があるがひとまず話は終わりだ。
「以上を持って、クレア・レイナスの褒美とする」
私がアルノーへ言った3つの条件を陛下は認めてくれた。更に貸しばかりあるので非公認だが私からのお願いは融通がきく。
この公約は既に周りの貴族達の耳に入っている。噂にして流したからだ。私の領で悪戯しようとしても無駄だよとアピールだ。私が出した案は実は自らやる事だったと知った貴族達の反応はまちまちだ。とりあえず、馬鹿にしたり興味が無かった貴族達はしっかり覚えた。後が楽しみです。
陛下からの賜りを受け形式を終えた私は本当の舞踏会に参加した。
第二王子派が激変した為、参加者は少ないかと想像したが前回と変わらない人の量だ。見渡すと第二王子派は肩身が狭い様で端から私を睨んでいた。中には私の呪い付きの者まで参加している。あの様子なら扱いが悪いので私に逆恨みしているだろう。しかし、私に何かすると呪文が発動する為何も出来ないでいる。周りも私の行った事を知っている為、ちょっかいをかけれないと言う感じだろう。自業自得だ。
私は楽しげに第二王子派を見て微笑む。そして、すぐに場を離れた。彼等の悔しがる顔は見ないであげる。
赤の礼装を着ている私は凄く目立つ。クリス達が短時間で仕立ててくれたらしい。メリルもそうだが使用人って何でも出来るんだね。
目立つだけで誰も近寄らない。どの貴族も私に怯えているようだ。敵意を持っている第二王子派の方がマシに見えてしまう。まぁ、仕方ない。なので私は料理を楽しんだ。
陛下が入場し貴族達と挨拶している中で私は壁でぼーっとする。
陛下が挨拶を終えた様で私へと視線を向けてきた。すると周りも一気に視線を向けるのだから私はギョッとしてしまう。
仕方ないので陛下の元へ向かう。叔父様も陛下の近くに居たので早く話を終わらせて叔父様の元へ行こうと思う。
私は一礼して挨拶を交わし、すぐに場を離れようとした時だった。
「クレア、少し待ってくれ」
アルノーが私を引き止めた。私は遠慮なく嫌そうな顔をして応える。するとアルノーは何の前触れもなく私へ言う。
「私は貴方の事が好きです。貴方が望む王へ私は目指します。貴方が認めてくれた時、貴方を私の妻に迎えたい」
急な告白に私は唖然としてしまう。陛下に目を見せると目を逸らしやがった。私は溜息を吐き話す。
「先程、陛下と約束を取り付けました。私は結婚せずに生涯を過ごすと決めています。貴方は王で世継ぎを作るのも仕事です。私ではない誰かと結ばれて下さい」
しかし、今回のアルノーはめげなかった。
「あぁ聞いている。だけど貴方から好きになって結婚を申し込ませる事は可能だろう?結婚の破棄とは貴族同士の利益の政略結婚だ。しかし、貴方は自由結婚については触れていない。王族である私が先に想いを伝える。私を差し置いて悪意ある策で結婚を取り付けた際には貴方を必ず奪うしその者には私から重い罰を必ず受けさせる。だが、貴方が好きになり互いに愛していたのなら私は諦めよう。もう一度言う。私は貴方に相応しい男になり君を私に惚れさせる。私はクレアが好きだ。覚悟していてね」
直球で言われた私は思わず顔を真っ赤になってしまった。
何を言っていいのか分からず、背のデカイアルノーに対して上目遣いのまま睨む事しか出来ない。
先程の陛下の賜りを適当に流してしまったのが失敗だ。結婚の種類がいくつもあるなんて知らないよ。やられた。
しかもアルノーの言葉を紐解くと王族を差し置いて私を貶めとの結婚は許さないと公共の場で公言し、王族は私を取り入れようと発言している。私へ擦寄る貴族も増えるだろうし面倒な事を押し付けてくれたな。
しかし、私への悪意も減るだろう。
狙ってやったのならその発想を政で発揮してほしい。
「その宣言は待ってくれ!」
次は何だと振り向くとレオンが居た。私は何故レオンが居るのか首を傾げる。
「アルノー殿下よ、私はクローバー家のレオンです。今回の舞踏会でクローバー家の養子になった事を発表しました。以後お見知りおきを」
……え⁉︎聞いてないよ!助けた侯爵家の養子に何時なったの⁉︎
「クレア様との結婚破棄は王族の策略による男への失望です。私はクレア様が辛かった時、側にずっと居ました。私は今のままではクレア様の力になれないのは分かってます。ですから、クレア様と近い立場を得て再度言います。私は生涯を通してクレア様を笑顔にしたい。隣で笑顔を見ていたい。アルノー殿下でもクレア様の隣は譲れません」
レオンはどうしちゃったの?まるでそれじゃ私の事を好きみたいな発言だ。
何がどうなっているのかもう分からないよ。私はちゃかすように苦笑いをする。
「レオン、貴方までどうしたの?」
「クレア様、私は貴方の事が好きです。他の誰かに取られるのならこの気持ちを伝えようと思いました。先程の話からして政略結婚が出来ないだけで愛を伝えてはダメではないはずです。私もクレア様もまだ成人してません。結婚するには時間が必要です。私は貴方と供に過ごせる者になります」
レオンの笑顔に私は恥ずかしくて顔が見れなくなった。
……クローバー・レオン?
あれ?確か、悪徳騎士に襲われ侯爵家に養子になった熱血ヒーローってレオンだったの⁉︎
後でリリィやシリウス達と話し合わなくてはいけない!
「おいおい!その話、俺も混ぜてくれよ!」
……次は何なの?
騎士服で登場したジュリアスに目を向ける。
「クレアは貴族の男にも失望して男嫌いになったって聞いたぜ。それにクレアより弱い奴は側に置きたくないそうだ。俺はクレアの事が好きだからな。これからもっともっと強くなってクレアに認めてもらう。それにお前達の言い方だとクレアを一人占めしたいと言っているんだろう?お前達の一方的な感情をクレアに押し付けている。クレアの答えも無いままだ」
アルノーがジュリアスに向かい話す。
「君は誰だい?貴族でないのにこの場に入ってくるとは警備はどうなっている?」
ジュリアスはその言葉を待ってました登場言わんばかりの笑顔になる。
「俺か?俺はジュリアス・ハンデルンだ!お前達が言うハンデルン卿の孫だ。この世界で一番強い男になる者だ覚えておけ!そして、未来のクレアの騎士だ。」
愛だの何だのと語る前に行動しようぜ!とばかりにジュリアスは私に跪く。
……もう私は恥ずかしくてなってその場から逃げ出したのは仕方ない事だと思う。
いつもお読み頂きありがとうございます!
沢山のブックマークや評価感謝です!
今後も色々とクレア嬢の話は考えてました。メイド3人組のバカっぷりやヨシュアの秘密、領の運営改革などが次の話の予定でした。
ですがお察しの通り、文が未熟故にこれ以上書くとダラダラとなってしまう可能性がありますので第二王子編までとします。
次の話もとお声が多ければ第二王子編をもっと見やすくしてから書こうかと思います。
次のファンタジー枠は食いしん坊かロリコンか迷った末、ロリコン令嬢の話を書きます。
内容はテンプレの冤罪と婚約破棄からの僻地の誰もいない領に行きます。領地改革しながら、将来領内に他種族の子供達を招いて戯れる為に頑張ります。
まぁ、子供好きの令嬢の話です。
恋愛枠は可愛げの無い妹を元あったストーリーを肉付けしていきます。好き勝手私が楽しむ為に主人公の日常を考え投稿していこうと思っていたのですが投稿当初の沢山の方々が見て頂いていたようで怖くなり早めの爆弾を投稿したのですが見事に友人から誰もが見れるのだから見せる小説を書きなさいと正論で怒られたのでほとぼりが冷めるまで投稿は控えてました。百合にならない程度にまた再開させます。
残り2話ありますがありがとうございました!




