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美人悪役令嬢は生きる為に悪役をあえて貫く  作者: イブ
4章 立ち直る悪役令嬢
76/80

76話

一度書いていた弟王子様の言い回しや流れが合わなく書き直しても表現が上手く出来ず、ウンウンと唸ってました↓


中に入ると様々な視線が刺さる。既に殆どの貴族達が集まっていた。私はそのまま中央まで歩き、叔父様の近くで婚約者様が来るのを待った。

食べ物も美味しそうだが手をつけない。叔父様も隣の貴族達とお話しをしているがただ話しているだけだ。異様な雰囲気。

周りを見渡しても食べている者は少なく、毒などは入ってはいないだろうが緊張感が互いにある。


300人近くの貴族が集まっただろう。急にドアの方からざわつき始める。振り向くと遂に現れた。

堂々と歩いてる姿は成人しているアルノーと全然違って王族の風格を感じさせる。アルノーが優しそうな顔つきだが第2王子は13歳と幼さを感じるが凛々しくワイルドな顔つきで若い女性ならばきゃーきゃーと騒がれていただろう。周りを見渡しても若い女性は私しかいない。

……成る程、私への特定しやすいようにしていたのね。

第2王子は私を見るなり爽やかに笑顔になる。見る人が見たら喜ぶのだろうね。私は寒気しかしない。その第2王子が私の前に来る。私は貴族として挨拶をする。



「お久しぶりですシーサー様。本日の招待ありがとうございます」



「あぁ、久しいなクレアよ。陛下が亡くなったと言う噂が流れてな。その真偽を確かめたく皆の者に集まって貰った。だが既に病体だった陛下を勝手に自領へ連れて行き、私からの通達を出しても半年の間音沙汰もなく陛下の死の噂が流れ始めてから噂の鎮静を図ったらしい。それが噂の肯定を意味しているとは思わないか?元気であれば陛下の姿を見せよとやり取りをしたが頑なに姿を見せる事を拒否する。ならば、皆の前で証言して貰おうと思った次第だ。陛下がいなくなったのであればこの国の舵をとるのは王族の役目だ。今の兄上は政治を任せるには酷な話ではないか。貴族とは利に敏く、優秀な者につく。兄上についていく貴族が余り居ないのなら私が教会から王座を公認される日が近いだろうな。意味は分かるか?」



白々しい。これは私に向けての言葉ではない。この場に居る中立派と第1王子派の者にだ。周りが静かに見守る中で私はシーサーに言葉にする。



「その様な事実が有ったのならばシーサー様の仰る通りですね。ですが私は公爵家としての立場でこちらに来ました。シーサー様は私の婚約者でありますがその旨をお忘れなく」



私の言葉にシーサーはフンと面白くなさそうにする。



「口が回る様になったようだな。貴様の噂もあながち嘘では無いのかも知れないな。もう良い。陛下はもう居ないらしいしな。小芝居は面倒だ。貴様も言葉の意味を理解出来るのなら全てを知る事を許そう。貴様はもう生かす気はない。真実位は最後に知りたいだろう?先程の言葉も本当の事だ。しかし、本当の目的は貴族の統一と貴様の婚約破棄と処分だ」



遂に来たようだ。予想していた言葉を貰った。ここからどれだけ言質に繋がるかだ。

私はワザとらしく目を見開き、笑いそうになる口を手で覆い、そんなぁと呟き膝から崩れる。

その姿を見たシーサーは満足そうに笑う。



「更に貴様は反逆罪の罪や様々な罪がある。それだけの事を貴様はしたのだ。死は免れないだろうな。私の軍隊を潰してくれたのも分かっている。どう言う仕掛けかは分からぬが貴様は移動手段を持っているのだろう?国に献上する気も無いのだろう。何か言い訳はあるか?」



デュオルク伯爵が生きていた時点でそう言われると解っていた。デュオルク伯爵が何故ここに居るのかも考えるとシーサーも似た魔道具を持っているのかも知れない。



「何故私がその様なお言葉を頂けなければならないのでしょう?軍隊とは何処かに戦争でも起こす気だったのですか?」



私の言葉にニヤリと笑うシーサー。



「何を今更。私についた者は戦争を前提に話はつけている。既に指揮も考えておる。また新たにこの国を築く、その為の戦争だ。争いは国を発展させる。平和に腐敗した国の革命の時は今だろう?騎士達が勝手に動いたが私の家臣達が騎士を追って魔族共を我が国の発展の基礎になるはずだった。その部下達を全て崩壊させた罪は重いぞ?」



……シーサーは本当に私が何を言わなくても全てを語りそうだ。いつかの記憶で自らの演出に酔い語る者も居ると聞いた事がある。シーサーの事だろう。きっとシーサーにとってこれは私への最後の時間だろう。



「築きあげてきたモノを壊してまで争いをするつもりですか?国を繁栄し平和を作るのが王族の役目ではないのですか?」



確かに程よい争いは文明を発展させるが争いが加速し手に負えなくなると文明は破滅する。私の知る未来がそれだ。それを理解しているのか?



「何を言っているのだ?その結果がコレだ。兄上の様な腑抜けが生まれるのだ。今まで守ってきたのは平和という名の衰退だ。貴族同士の派閥を作ることで未来に破滅を延長しただけだ。この国の崩壊は自分達が良く知っているだろう?ならば壊してしまえばいい。壊して作り直せばいいではないか。くだらん事を抜かすな。繁栄し国を発展さする事が平和へと繋がる。そこに我が国が当てはまるだけだ。他の国は知らん」



それでは略奪戦争をすると宣言しているのと一緒じゃない。私はシーサーの言葉にびっくりする。



「シーサー様は何を目指しているのです?それでは略奪者と考えが変わりません。それに話からすると平民達はどうするのですか?」



シーサーは私の問いかけにつまらなさそうにする。



「争わずして何を得るのだ?停滞し文化も発達せず、変化もないこの国に未来はあるのか?この大陸には帝国の存在がない。昔はあった様だが滅びている。どの国も自国を守るので手一杯だ。だから、領土を拡げるなどと発想が出てこない。ならば私がこの大陸を統一して帝国を作る。私はこの国に収まるほどの器では無い!それを私の生涯を使って証明してみせよう!平民?元より貴様らは平民に情をかける事をしたのか?そんなのは一握りの変わり者だけだ。今更捨て置け」



言いたい事はわかるが思想が過激過ぎて私にはついていけない。領土を広げそこをくれると言われたら今の貴族ならついていくのだろう。



「争いだけでは得られないモノもあります。それだけの思想があるのならまた別の道も有ったのではないのでしょうか?」



「何を言う。王の政は現状維持だ。貴族は現状に満足している。平民は現状に甘んじている。この国は私が何しようと終わっている。ならば、私が全てを変えてやる。その為には戦争だ!戦いが国を発展させる!文化を築き、栄え、勝利者は富を得る。私はこの世界を変えてやる。貴様らみたいな平和ボケした者は必要ない。平民と何が違う?今の現状で良いのだろう?ならば、失う事を考え得る事は考えない愚か者共よ。私はただ切り捨てるのみよ」



冷めた目でシーサーは私に話す。



「……何故、私にはいえ、公爵家には話さなかったのですか?私は貴方の婚約者では無かったのですか?」



シーサーは嘲笑うかの様に私を見下ろす。



「貴様らはその一握りだったではないか?それに私は公爵家が嫌いだったのだ。理由はそれだけだ」



……同属嫌悪を感じたのだろう。

だがそれだけの理由でお母様は殺され、家族は滅茶滅茶にされた。もう良いだろう。これ以上聞いたら殺してしまいそうだ。


シーサーはこの世界でなければ戦で国を導く王と慣れただろう。だが、この世界は神が居て魔物が居て、人が居る。また、在り方が違い、前世とは違う。だから、未来はこの国の滅亡で魔物しか居ない。それに国の発展ならばやり方は戦以外にもある。しかし、シーサーはそのやり方を受け入れないはずだ。


互いに理解はしても納得は出来ないだろう。私が争いで得る事を否定している様にね。


いつもお読み頂きありがとうございます!

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