表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美人悪役令嬢は生きる為に悪役をあえて貫く  作者: イブ
4章 立ち直る悪役令嬢
67/80

67話

「では話を始める前に伝えたい事があるのじゃ。リリィとシリウスの生存を確認した。無事とは言えぬが生きている事は間違いない」



そう言われ私とレオンは安堵する。ハンデルン卿の元に来て3日目が経ち、初めて話を聞けた。



「リリィとシリウスにやられて現場に居た王国騎士も半分が使えない位に負傷したようじゃ。シリウスに剣で敵う者はワシ位じゃ。騎士団長も身が重かっただろう。その間にリリィに半分を仕留められておる。じゃが多勢に無勢じゃ。リリィとシリウスは捕まり明後日公開処刑される。ブルジェオン家はあの領のシンボル的な存在じゃったから一部の民達も騎士達に突っ掛かり鎮圧され、一緒に処刑されるそうじゃ。それだけじゃったらマシなんじゃがよく分からんが侯爵家が王国騎士に襲われシリウス達と共に処刑するそうじゃ」



……侯爵家が処刑?ナニソレコワイ。



「それって正気ですの?侯爵家を処刑って何かの間違いでは?」



「そうでもないんじゃ。王族は黙認しておる。王国騎士達のやり方を見守るという形の放置じゃ。悪い方へ転んだら我々の手から離れた暴徒でも言うのじゃろうな。上手く行けば国の為に働いた王に仕える騎士としてしゃ。やり方が汚いのぉ」



どの侯爵家も陛下との繋がりが強く第二王子からは目障りだろう。なら暴走を止める必要はないか。



「何だかんだ言って王国騎士達は踊らさられているのかもしれませんね。それで話の前にする話でもう私お腹いっぱいなのですがまだ話は続くのですか?」



そう肩を竦めるとハンデルン卿も同じ様に竦める。



「これで終いじゃ。じゃが、まさか、これ程愚かだとは思ってなかったのじゃが集団とは怖いのぉ。皆が正しいと思ってしまう。彼奴らからしたら第二王子から了承を得た戦争を侯爵家が止めようとした。所謂王命に逆らったとしてあの領の権力の象徴と武威の象徴である者を仕留め、さしずめ王国騎士の権威を見せつけたいのじゃろう。何時からか騎士達も腐敗しておる。止める者も居らぬ。更に騎士団長は真面目過ぎる。故にこの様な暴挙に出たのかも知れぬ。国中から騎士を集めて各地で支障が出ておる。これも騎士の必要性を示す為にやったようじゃな。全く、群れるとこうなるからワシは嫌なんじゃ。騎士とは守る存在じゃ。なのに集団になると間違えをおこすととんでもない事になる。正しく纏めれば集団でいる事は良いのじゃがな」



ハンデルン卿の言葉に私は頷く。



「それでどうしましょうか?私的には侯爵家を助けて恩を売りたいと考えているのですがハンデルン卿の作戦を聞いても良いですか」




ハンデルン卿はふむと頷く。



「そうじゃの。本題に入るかのぉ。ノルマンディー領の利点は港がある事じゃが数年前から大きな船を第二王子が造るように王命を出していた。500人はゆうに入る船を15隻あり、そのうちの10隻を王国騎士達は使用するようじゃ。明後日処刑した後に出航するらしい。作戦と言う作戦は今回はないかのぉ。ワシらが船にいる王国騎士達を鎮圧するから処刑はクレア様に任せよう。うちのジュリアスを使ってやってくれ」



「作戦は無いのです?それに王国騎士達の数に対してハンデルン卿の人数が少なすぎませんか?」



話を聞いている限り、相手は5000近くいるのに対してハンデルン卿は800人位しか動かさないらしい。



「王国騎士達は熟練者だが本当に強いのはごく一部じゃよ。少数で強い奴を潰せば後は勝手に状況に恐怖し潰れてくれる。作戦は力で捩伏せるしかないのぉ。何故ならコレは騎士対騎士の争いじゃ。向こうの正義を我等の正義で踏み躙る。それが奴等にとって一番のダメージじゃよ」



力で捩伏せても恨みが残りまた新たな争いになるのではないだろうか?



「どうしてと言う顔をしているのう。古き騎士達のほとんどが王国騎士につかなかった。4柱と言われているワシらもじゃ。と言っても騎士の7割は王国騎士についている。その者は欲に溺れた者や弱い者達ばかりじゃ。その様な者に本当の騎士を見せつける。これは船にいる連中への当てつけじゃ。既に船に攻撃するにあたって誰がどの船に居るか把握しておる。情報は全てワシの元じゃ。だからこそ、ワシの元にいる騎士達なら真正面から鎮圧出来ると踏んでいる。中途半端な争いは次の争いを産む。ならばここで根元から叩き折る。そうであろう?」



確かに今回は騎士の必要性をアピールする為の遠征だ。処刑はよく分からないが半数以上が王国騎士についている以上、こちらに負けたら何も出来ないだろう。私は気になっている事を聞いた。



「少し疑問に思ったのですが何故リリィ達は王国騎士に襲われたのですか?それにここの領には王国騎士がいませんし、私が来るまでに王国騎士を探っていてハンデルン卿は鎮圧をする気でいた。ならばここも襲うべきではないですか?」



そうなのだ。リリィ達相手に沢山の人数を当てられていた。



「戦争か、騎士とは守る者だ。しかし、漢ならば戦に生き戦で死ぬ。そこにワシが求めるモノがあるのなら参加する。無ければワシを敵に回すと思え……と伝えたのじゃが中立と思われたのじゃろう。頑なに反対していたのはシリウスじゃったからな。彼奴に気を取られていたからワシが動いているのは分からなかったのじゃろう。ワシよりシリウスは邪魔になると思っていたのじゃ。ワシでも彼奴と敵対は避けたいからのぉ」



なるほど、流石騎士と言うか貴族みたいな遠回しが少なく分かりやすい。なら私は処刑場で派手に暴れて逃げるだけだね。



「では、私とジュリアスが処刑の時間になって場を混乱させて、リリィ達を助けて離脱しますわ」



「クレア様、それでは王国騎士は何度もクレア様にクッてかかるじゃろう。ならば、真正面から捩伏せてくれんかのう。クレア様の実力ならば大丈夫じゃ。騎士に小賢しい事をしても無意味じゃ。では、また詳しい話はまた後で伝える」





そう言ってハンデルン卿と話が終わり、部屋から出るとジュリアスが待っていた。



「なぁ、じっちゃんとの話終わったか?なら一緒に手合わせしようぜ!」



それ女性を誘う台詞じゃないよね。



「私は騎士ではないので辞めときます。レオンでも誘ってはどうです?仲良くなる為にも」



そうなのだ。レオンに最初っから突っ掛かった所為か互いにいがみ合っているのだ。喧嘩までする位に仲が悪い。2人は何となく気が合いそうだがまるで敵を見る様に牽制し合っている。



「なんで彼奴といなきゃならねぇんだよ。俺はお前と一緒にいたいんだ。ダメか?」



えぇ、ダメです。前日ふったばかりなのに懲りずについてくる。ちなみに言った言葉はこれだ。



『貴方と私では身分が違い過ぎますわ。それに私より弱いのに側に置く必要はありませんね。なので今のは聞かなかった事にしてあげますわ』



ここまで言えば大丈夫かと思ったけどジュリアスは予想外な事を言った。



『なら身分も気にしない程強くなればいいんだな。構わないぜ。俺はお前に相応しい強さを手に入れたら俺はお前のモノだ。なら俺はまだ強くなるぜ』



その時のレオンの不機嫌な顔は忘れなかった。レオンも私の事を妹の様に思ってくれているから妹を取られたみたいに嫉妬しているのかもしれない。



「ダメです。私は貴方の事を好きではありませんので」



「俺は好きだぜ!お前の為なら何だってやってやるぜ!」



私は溜息をつく。



「何故、私ですの?貴方をコケにしたのよ?」



「じっちゃんもそうだが親父も自分より強い女に惚れるみたいなんだ。だから、俺もそうなのかもしれねぇ。親父も母さんに思いっきり打たれて頭を打った時にクラクラと世界がグニャとしたらしい。そして、頭が回らずクラクラとズキズキとする中で親父は気づいたらしい。その時には母さんに惚れていたってな」



……脳震盪ではないのそれ⁉︎

とりあえず、まだ俺様擬きなので生意気なガキのポジションでいいけどコレからもっと横暴になっていくのでしょう?余り懐いて欲しくないな。

いや、待てよ。今のうちに調教出来たら私の死亡フラグを回避しやすくなるのではないか?



「あら、ステキナオハナシデスネー。えぇ、その話を聞いて私考えが変わりましたの。でも私はやはり、貴方は苦手ですわ。私の理想の男性に近づいたら側に置いてあげなくてもなくてよ」



そう言うとジュリアスはぱぁっと笑顔になる。……何だろう。この笑顔を見ると心が痛い。



「まずは誠実な男性ですね、当たり前ですの。そして、私は貴族で公爵家の者よ。礼儀のなってない方は側に置くには難しいのです。それから、女性には優しい人は素敵よね。でも、誰にでも優しくするのはいいけど私だけを見て私を裏切らない男性ですわ。まだあげたらキリがないのでこれ位は守れる男性じゃなきゃ私には釣り合わないわね」



うん、自分で言っていて思ったけど今まで出会った男性は間逆だったわね。そして、自分の理想が高い事にビックリ。



「誠実には礼儀に優しさか。騎士になる為にも必要な事だな。分かった。クレアの為にも俺は絶対に身につけてやるぜ!」



笑顔で言われ、私は曖昧に微笑み返した。

これでどっちに転んでも大丈夫かなっと心の中で考えていた。

いつもお読み頂きありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ