60話 レオン
書き始めたと同時に終わりは書いてました。
本来なら8話位で終わろうと思ってましたが思ったより内容を細かく書いていました!
早く結末を投稿できる様に騎士編を書きたいと思います!
非日常とは突然やってくる。
俺は目の前に振り下ろされる鎌の様な足で迫り来るのをただ呆然と見つめていた。
俺は強さを求めていた。だがら、修行を兼ねて森の見回りをお父さんの代わりにするのが日課だ。
普段、強い魔物が存在しないはずなのに今日に限ってスパイダー系の巨大な魔物と遭遇してさまった。そして、俺も強くなったのだからと戦ったが剣で切れず、いつの間にか逃げる事しか出来なかった。気が付いたら俺は捕まっていて蜘蛛の化け物にただ殺されるだけだった。
そんな時だった。
目の前が一瞬で焼けたと思ったら蜘蛛の化け物はただの炭カスになっていた。
俺では太刀打ち出来ないあの化け物を倒す化け物に俺は殺される。相手が変わっても殺される事実は変わらない。そう思っていたが良い意味でハズれた。
「……大丈夫?」
凛とした声が響き渡る。蜘蛛の糸に掛かった俺は見向きも出来ない。
「絡まったのね。なら助けるわ」
そう言うと糸が焼けてなくなった。助かったと振り向くと俺は固まってしまった。
ボロボロのマントを羽織った女性は汚れているのに金色の髪が目立ち、戦いを知らなさそうな白く透き通るような肌に緋の眼の美しい女性だった。
この女性があの化け物を一瞬で殺したのだと思うと身震いする。それと同時に彼女の強さを知りたい。
「……まだ。あの獲物はいるようね。ふふ」
そう女性は言うとニヤッと笑顔を顔に貼り付け降ってきた数体の化け物を剣で応戦する。その姿は不謹慎ながら美しかった。
ただ、踊る様に避け、剣を振り下ろし、肉を割き、ただ壊すだけ。理不尽に化け物はただの塊と化す。
この時、俺は俺の弱さを知った。騎士の息子として強さを求めていたがもっと強い力に俺は魅力されてしまった。
「18匹か。まだ足らない。まだまだ殺さなきゃ強くなれない……」
ものの数分もただずに化け物達は死んでしまった。
ブツブツと彼女は呟くが何を言っているかは聞き取れない。彼女の目を見るが焦点が定まっていなかった。
何かに取り憑かれたかの様に見える。そう、何故だかまるで自分を見ているみたいだ。
彼女は全てを殺し尽くしてただ終わった事に呆然としていた。
フラフラと歩く姿は先ほどの美しさはなく痛々しく俺は思わず声をかけてしまった。
「なぁー」
声をかけようとした瞬間、遠くでフラフラとしていた彼女はぶれたと思ったら目の前に居た。丁寧に首元に刃を当てて……
「……人間?あれぇ?何で目の前に人が居るの?」
彼女は俺を見ると首を傾げた。
「さっき蜘蛛に捕まっていたのを助けてくれただろ?」
彼女にそう伝えると更に首を傾げる。……彼女と意思疎通出来る自信が無くなってきた。
「そうだっけ?助けたなら御礼はいらない。それより強い魔物って何処に行けば会える?もっと私を殺してくれる魔物を狩りたい。ふ、ふひぃっ」
俺と彼女の始まりは綺麗なのに残念な人が初めての印象だ。
「この辺りは強い魔物はそこまで出ないぞ。それより剣を仕舞ってくれ」
彼女はキョトンとするが自分が俺に刃を当てているのに今気づいた様な素振りを見せ仕舞ってくれた。
「そっかぁ〜残念。今度は何処に行こうかな〜」
そう言って彼女は俺がまるでいないかの様に見なくなった。
何故だか分からないがいきなり刃を当ててくる危険人物だけどほっておいてはいけない気がした。だから、俺は何か声をかける為の言葉を考える。
「そうだ!助けてくれた君の名前を教えてくれ!俺はレオンって言うんだ」
彼女は名前と呟くとう〜んと唸る。自分の名前を覚えてないのか?
「私の名前?名前って何だっけ?え〜とク、ク、クー……うぅ、うぅあぁああああっ!」
クまで言って彼女は頭を抱え、叫びだした。大丈夫かと近寄ったら彼女は糸が切れた人形みたいにダランと崩れ落ちてしまった。
「……クーって名前なのか?それよりこれからどうしよう」
ここは魔の境界の森の中だ。見回りでここに来ているが魔物も存在する。
……危険人物でも命の恩人だし、女性だし、ほっとけないよな。
俺は彼女を抱え、森から出る事にした。
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