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57話

狂気、狂っていくのを書くのはやはり難しいです。

今のクレア嬢はバーサーク状態です。

感情を書くのは難しいですね。

おっちゃんの名前はあるのですが中々登場しません(笑)


混乱が収まらないこの場をケイサツベライの皆が平民を纏め、今後の方針を共に纏める為に彼等は残り、意識の無いお父様と共に領地に戻った。そして、私は屋敷の私の部屋に引きこもっていた。

只々自分の考えの足りなさを嘆き人と会うのも怖れ、私は震えていた。


人を失うのがこんなにも辛いとは分かっていたが理解していなかった。あれだけここは現実だと思っていたのに私は心の何処かでゲームの世界に居ると無意識に考えていたのかもしれない。

現実から逃れようとした時に気づいてしまった。前世の記憶を取り戻し自身のあり方を考えた時から私は私でしかなかった。

彼にもなれず本来のクレアにもなれず責任は私だ。

この責任から逃げる事は許されない。



『そんなに嘆く事はない。皆必ず死は訪れる。嘆いたから戻る命はない。君が望むのなら今回も私が助けてあげよう』



あぁぁあ……煩い煩い煩い。

何故まだ頭の中にいるのだろう。



『私はそこにいて、そこにいない。それに君は私の名を知った。なら君はのモノだ。私は君のモノだ。後は私を受け入れるだけだ』



意味が分からない。もう止めて、話しかけないで。

貴方がシッカー伯爵を唆したからこんな結果になったのでしょう!



『ふふ、なら聞こう。私の所為で君が苦しんでいる。なら私の所為にしたら解決だ。違う。君の所為で私が苦しんでいる。君が選択して失敗したから私はまた混乱を増やしてしまった。私の言葉は混沌として意味はないがこれだけは言えよう。君が強ければ、君が守られるだけの令嬢でなければ問題はなかった。何の為の魔術なのだ?その為に呪文を渡した訳ではない」



私は私が悪くない理由を探して、いつの間にかこの存在の所為までしている。段々、私が私で無くなってきている。



『誰もが現実から目を反らしたくなる。君は一度目を閉じ休むといい』



その言葉は優しく、なんだか解放された気分だった。



「……ふふ、ふははは!そうですわ!そうですわ!私は、私が強くなれば全てが解決しますわ!強さこそ正義で強いからこそ正せる。強くならなくちゃ、何ものも捩伏せる程の力を手にいれなくっちゃ」



なんだかふわふわする。自分が自分じゃない感じだ。私はまた皆と笑顔で会える様に強くなる。



『それでいい。それじゃダメだ。君は運命すらはね除ける位の強さを手に入れなくては君は幸せになれない』
















〜クレア〜


〜シャル〜


お嬢様が居なくなったのに気が付いたのはメリルさんだった。メリルさんは急に嫌な感じがすると滅多に見せない動揺をあらわにしてお嬢様を探す。


私もお嬢様が居そうな場所を探すけど見つからない。そんな中、メリルさんが書物庫の前で固まってました。



「……メリルさん?どうされました」



「ここだけが何の気配もないのです」



私は首を傾げます。誰も居ないのですから気配がないのは当たり前なのではないのでしょうか?



「意図的に何かがあるから気配を無くしたと言えば分かりますか?……しかし、その様な真似が出来るとしたら上位存在か、いや、ここまで綺麗過ぎる隠蔽は神級かもしれません。私でも太刀打ち出来るか分かりませんのでシャルルは下がってなさい」



か、神様⁉︎

私には理解の出来ない話が加わり更に良く分かりません。分かっているのはここにお嬢様がいるかもしれないという事です。



「メリルさん、お嬢様がここにいるなら私も行きます。お嬢様が危険な所にいるのに私が逃げると言うのは出来ないです」



「……そう。なら気をつけなさい。私も覚悟が決まりました。ではあけます」



中を鍵を開け開くと生臭い匂いがモアッと広がる。思わず私はうっと鼻と口を抑える。

辺りは真っ暗でメリルさんがロウソクに灯を燈すと部屋の中が少し見えたのですが私は絶句してしまいました。

辺りは赤、赤一色だった。

そう、大量の血で部屋は真っ赤に染まっていたのです。



『何故この場所に入れたかと思ったらヘビの成り損ないの使いの者か。なら納得できる』



「あら、メリルにシャルじゃありませんか!まぁ、どうされました?」



誰かの声が聞こえたのですがお嬢様以外周りには誰も居なく私は内心では怖くなります。ですが、お嬢様をちゃんと見れる様になったら思わず叫んでしまいました。



「どうしたのシャル?びっくりするじゃない」



「お嬢様、左手と右足が無いです!」



「あぁ、これですね。肉体って脆いものですね。レベルが上がればきっと肉体も強くなるのもしれませんが今は時間が足りなかったのです。なのでまずは呪文を従わせる事を優先しましたの。それに肉体はすぐに治りますわ」



そう言うとお嬢様はハイヒールを唱え五体満足の元の身体に戻ったが私はお嬢様のやり方が狂気にしか見えません。



「クレア様、邪神に心を奪われましたね。今救いだ……」



ばたりと隣に立っていたメリルさんが倒れてしまいました。

私も恐怖でへなへなと地面に座ります。



「シャル、私が強くなって、このニャルラトポテフを従わせる位強くなったら帰って来るから、お留守番をお願いね。ふふふ」



私は頷く事とお嬢様が何処かに行くのを見送る事しか出来ませんでした。













〜シャル〜


〜クレア〜


『外に出て良かったのかい?』



「あそこで手に入いる呪文は全て従えさせたわ。後はあそこに居ても強くなれないわ。なら自分も強くしなきゃまだ強くなれないわ。私は強くなって皆に許されたいの」



『ふふ、君の望む道は混沌としている。私が居なくてもだ』



この世界に生まれてから私は私の運命シナリオを知った。その運命に逆らう為に力をつける。



「〜〜〜〜〜〜ラララ♪」



『歌とは機嫌が良いみたいだな』



今の私は気分がいい。

沢山の呪文を全て従えさせた。いや、奪ったに近い。でもそれは些細な事だ。相性が合わないのなら呪文が合わせれば良いのだ。身体の中で怯える呪文達に私は満足する。




「嬢ちゃん!こ、ここに居たのか!」



……誰だっけ?何でここにいるのだろう?



「……嬢ちゃん。そんな、お前さんだけはそんな目をして欲しくない。嬢ちゃんは全てを背負い過ぎる。まだ俺の声が解るなら話そう」



『どうする?知り合いだろ?』



そう言えば知り合いだった気がする。なら話を聞いてみよう。



「何のお話し?」



「嬢ちゃんのおかげで沢山の死ぬ人間が救われたんだ。犠牲を嘆くだけじゃ前には進めねぇ。嬢ちゃん、自分を責めるのは違う。その感情は偽善だ。そいつは悪事よりタチが悪い。相手だけじゃない己自身すらあざむく毒になる」



「……あ、あぁあぅぁ!」



聞きたくない聞きたくない聞きたくない!



「嬢ちゃん!」



「近づくな!私に近づいたら殺す」



「……分かった。嬢ちゃんは嬢ちゃんの考えがあるんだろ?なら子供を見守るのが大人の役目だ。大人からの忠告だ。嬢ちゃんはまだ戻れる。最後に一つ、ちょっとした話をしよう」



「……何よ」



「昔な、平民のクセに良い女を捕まえて幸せな家族を気づきあげた奴が居るんだ。だけどな、娘が孫を産んでから其奴の幸せは壊れたんだ。孫が貴族と恋をした。爵位も高い貴族だ。それだけならまだ良い。違う貴族に孫は無理矢理連れて行かれた。そして、孫は死んだ。これは良くある話だ。だけどな、俺は娘の旦那に文句を言った。すると良い金になったとホザいた。初めからその男はその目的で俺の娘と結婚したらしい。だからかバチが当たった。貴族に娘もその男も殺された。とばっちりに俺の嫁もだ。俺は運良く命だけは助かったってしまった。だから其奴は平民も貴族もクソだと思っている。だけど、そんな俺にもかけがえのない仲間が出来た。そして、命を預けても良いと思ったお方が出来た。嬢ちゃん、いや、クレア様。俺達はクレア様を戻るのを待っている」



……私は、私が分からない。この人ももう分からない。私は何の為に強くなるのだろう。ねぇ、ニャル、私は何をしたら良い?



『ふふ、まずは北に向かおう。魔物を狩りながら強くなれば良い』



そっか。そうだったったね!なら北へ向かおうね。




今の私は何も見えていない。何も聞こえない。何も知らない。

次や次の章からクレア嬢はバーサーク状態なので操作できません。

なので次の章ではとある少年に変わると思いますが数話だけだと思うので第三者から見たクレア嬢をお楽しみ下さいませ!


いつもお読み頂きありがとうございます!

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