54話
お待たせしました!
書いてはいたのですが筆が止まってしまい、書いては消しての繰り返しをしてました。
このシーンが終わればまた更新は早まると思われますハイ。申し訳ございません。
筆が止まったので気分転換に短編を書いたら日間ランキング1位を頂いてビックリしました!週間も短編の方で見たら3位と表示されていて夢かなと思いましたが現実で嬉しかったです。
そのおかげでまた書ける様になりました!やはり、文章はまだ技量がないので皆様にむっ!って思わせてしまうと思いますが頑張って少なくなる様に努力します!
「……なんだ、今の声は?」
『君にも私の声が聞こえるようだね。聞こえて当然だ。聞こえない訳がない。ふふ、君は堕ちた側のモノだからさ。しかし、彼女は堕ちても私の声は聞こえないだろう。でも君のおかげで私と彼女の縁が結べた。感謝の印に君には死を与えよう。必ず死を運ぶ、お呪いだ。良かったな。君は碌でもない死に方が出来るぞ?そうだ、身体が引き裂かれ、惨めにも好きな女の前で情けなく死ぬ」
「この声は何なんだよ!意味が解らない!何処にいる!何者だ!あと少しであと少しで全てを手に入れたのに!俺とクレアの逢引を邪魔しやがって巫山戯るな!ふぎゅっ⁉︎」
そう喚く、ディオール伯爵は何もない空間から何かを弾き飛ばされたかの様に飛び、壁へ激突する。
「……あと、少しだったのに、あと少しで何もかも手に入る予定だったのに!畜生!何でだ!あの公爵があの時、まともにお前の不祥事を問い詰めていたらこうならなかったんだ!あの広場での戯言も公爵ならすぐに言葉を覆せれるのにお前に甘い!その所為で纏めて土地も潤えてお前も手に入っていたのに!ここを俺のギーベの領地にしてしまえたのに!くそっ!そこに何が居るんだよ!何なんだよ!聞いてないぞ!化物が居るなんて畜生」
思いっきり、私を睨みながらディオール伯爵は叫ぶ。
『化物、悪魔、何を捉えても的を得ているようで得ていない。当たりだがハズレだ。答えは混沌として全てが正しく、全てが不正解だ。君に私の名を呼ぶ資格は無いようだ。残念だ。いや良かった。さて、クレアよ、ここに居る呪文は束縛した。君の好きにするが良い』
呆然と見ていた私は確かに結界の呪文の気配を感じなくなったのでキュアをかける。
しかし、何故か全快せずにまだ身体が上手く動かない。
今までにない状況に混乱はしたが得体の知れない存在が呪文の効果に影響していると判断し、言葉にする。
「何者かは知りませんが助かりました。ありがとうございます」
『礼を言われても私は受け取れない。受け取らない。私は混沌、君に希望を与えると共に絶望も与えてしまう存在。私は善であると共に悪でもある。言葉を良い様に変えるなら無垢であり、純粋だ。君を助ける代償に外は酷い事になるだろたう。いや、なっている。だが、私は君を助けの呼びかけに応えた。応えたい。例え、周りが混沌とし、終わろうとも』
「……どういう意味ですの?」
『君は既に私の存在を理解しているのであろう?私がこの世界に顕現して、数多の因果が混沌とし、あるはずのない運命をあるモノとして、無いはずの運命をあるモノになる。ならば、代償は付くもの。君が言ったであろう?誰でも良いから私を助けてとね』
私はこの存在が管理者、上位存在と理解するとすぐに立ち上がり、外へ向かう。後ろからディオール伯爵が何かを言いながら追いかけてくるが無視だ。途中で第2貴族派達を見かけたが死んでいた。さっきまで睨まれていた相手が生きていない事実を私の周りの者達に当てはめると怖い。
失うのが怖い。
重い身体を動かし、外に出ると異臭を感じる。肉の腐った臭い、生暖かい鉄の臭い、様々な臭いが混沌としていた。
『君を助けた代償はこれだ。私が現れ、元々、消える命のその因果が変わった原因でもある。君がここに来なかったら皆は予定通り、死ぬ事を選べた。君が望んだから死か生か選択が増え、苦しむ時間が増えた。舞台は整っている。さぁ、君を助けた対価に私に君を見せてくれ』
……狂っている。素直にそう感じた。
だが、私が呼び寄せた、いや、この存在の話だと私がここに来るのもこの存在がここに居るのも決まっていたように聞こえた。その上で試されている?
『本来、在るべき未来を捻じ曲げる。それは相当の因果が混沌とする。ならば、私の存在は君には必要。君はそうまでして変えたいのだろう?君の言葉を借りるのなら死亡フラグを』
「……⁉︎助けてて頂いたのは感謝しますがこの状況を作り出したのが貴方なら私は貴方を拒絶します」
『否定、あぁ、素晴らしい。負の感情を感じるのに肯定。私への感謝の善の感情が混じり、混沌とした感情。やはり、君を助けて良かった。しかし、私がこの状況を作り出したのかとの問いには否定も肯定、両方だ。君がこの状況を作り出したかも同じ答えだ』
「なんだが、悟りが開けそうな喋り方ばかりで要領得ませんね。感謝の言葉も伝えましたので私に何かしらの要求も無さそうなのでもうお話は終わりましょう。私はこれから民を守る為に色々と考えないといけませんの」
そう言うとそこにいた存在が感じなくなるのが分かった。
すると後ろから声が聞こえる。
「待てと言っているのだ!」
振り返るとディオール伯爵が他の第2王子派の者達と追いかけてくるのが見えた。
何とか逃げようと身体を動かすがまだ身体に痺れが回っており走れない。
すぐに追いつかれると思ったが知らない誰かが私とディオール伯爵の間に突然現れた《・・・》。
私はその者を見ようとしたら目の前に居たディオール伯爵と目が合った。
そう、ディオール伯爵の上半身が降ってきた。
気が付いたらその者はディオール伯爵が居た場所に居て、ドサリと音がしたが下半身が倒れた音だとディオール伯爵の亡骸を見たら理解した。
急な出来事で怖くなり、私は動かないはずの身体をがむしゃらに動かし、走り出した。
後ろから悲鳴が響くがただ逃げる。只管逃げる。
そして、先程の存在の言葉を思い出しゾッした。
ディオール伯爵の死に様を彼は予言した。知っていた。
私は先程の者も何が何か分からないが早くここから離れなくてはいけないと本能で感じだ。
館の外に出るとお父様と他にも貴族達が居た。
お父様は私を見るなり、思いっきり睨みつけた。
それに圧倒的な重圧を感じ、私はお父様を畏怖してしまう。
「お前は何者だ?」
前世の記憶を思い出しだ時、クレアでは無くなったと思ったがここ数日で沢山の人と関わり、クレアとして生きていると実感した。
だから、お父様に蔑まされている、この事態に心が苦しく、悲しくて涙が溢れてくる。
「お、とう……様?私は私です。何故、私にその様な視線を向けるのです?」
「貴様がこの現状を作り出したのだろう!娘の姿で偽りおって、消え失せろ!」
やはり、前世の記憶を思い出したからお父様との距離が開いたの?
あの時から、お父様と仲違いばかりでお父様の気持ちが分かったと思ったらまた分からなくなる。
分からない。分からないけど心が空っぽになっていく。
「……いい。もう良いいや。お父様なんてもう知らない」
さぞかし、惨めな姿をお父様に見せているだろう。私は溢れる涙をそのままにお父様を見つめ、絞り出す様にお父様に告げる。
その私の姿を見て、お父様が僅かに目を見開く。
「まさか、クレアなのか?ディオール伯爵の所に居たのではないか?」
何を言っているのだろう。もう、どうでも良い。私は何をしたかったんだっけ?
「ディオール伯爵?あぁ、彼でしたら私を犯そうとして来たので逃げてきたのです。そうだ、そうでしたわ。私はその対価に民を救わなければならないのでしたっけ?」
私はふらふらと立ち上がると後ろから何か声が聞こえてきましたがどうでも良くなり、何を言われていたのか解ろうとしなかった。
『良かったのかな?彼は君の大事な家族だったのだろう?彼に言われた事が図星で悲しいのかな?』
「家族?……あぁ、そうでしたわね。私はクレアであってクレアじゃない。お父様が知っているクレアは今の私が殺したようなモノですわ。なら、私はお父様の言う通り偽りの存在かもしれない。私は何なのでしょう?」
『君も混沌とした存在だ。私と同じようで同じじゃない。君が何なのかは君が決める事である。だが、君は民の為に立ち上がりのではなかったかな?』
「えぇ、私の本来の目的でしたわね。……あれ?私は何をしたいのかしら?助ける……平民……襲撃……そうでしたわ。思考が低下してました。心が追いついてないとはこう言う時を指すのでしょうか?まぁ、良いです。こうしている間に助けられる方が助からない状況になっている。なら早く行かなくては行けないわ!」
私はもう1人じゃない。仲間がいる。ならやる事は一つ。
身体強化をして皆の所へ私は走り出す。
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