52話
投稿遅くなり申し訳ありません。
悪役令嬢を書いていたら本当の悪役令嬢を書きたくなって書いていました。
私達はお父様が行っている演説を止めにギーベの館まで向かった。
貴族街に行くと普段いない平民達が溢れかえっていた。
貴族街に平民が溢れかえる状況を貴族が許すのかな?貴族達は前もって居ないのかな?って思ったが第2王子派も絡んでいるし余計な考えを持つよりやるべき事が先だ。
ここに何万の人が集まっているのだろう?
そして、お父様の演説の声が響いているがこれは魔道具かな?
ぎゅうぎゅうに集まって通れないなと思ったが私に気がつくと平民達は道を開けてくれた。
中にケイサツベライの者達に気がついたので彼らが上手くやってくれたのだろう。
私は揺るぎない足取りでギーベの館へ向かう。
だが、私はギーベの館まで行かずに足を止めた。
広間があり、街を見渡せるそこに大きめの屋敷があった。お父様は二階のベランダから平民への罪とこれからの処遇について話している。
ここまでくると平民達は大半の者は諦めており、何かに祈っている者や受け入れている者といた。
『ーよって、其方等は領地を混乱に貶める一役を買った者を守っていた。以後の事を踏まえて其方等は叛逆を企てた者として粛清する。異論はないな』
タイミング良く、演説が終わった。
その問いに皆は黙り込み静寂が包み込む。
そんな中、私は息を吸い、声を出す。
「異議あり!」
驚いたのはお父様より周りの平民達の方が驚きを見せる。
お父様も私の存在を認知すると不機嫌そうな表情が遠目から分かる。
「お父様、もう一度お考えになって下さいませ。お父様、優しさを慈悲を与えるのは弱味を握られ、その隙をつかれると仰いました。この民達はお母様の事を知らずして、そして、我がレイナス領の民を迎え入れたに過ぎません。民達も我々と同じ様に彼のやった事を知っていたならこの様な事にはならなかったと思います。この民達もお母様と同じくして、その優しさの隙をつかれたのです。お父様はそれは貴族として批判しましたが彼等は平民です。平民に貴族の真似事を望むのですか?私はここにいる民を誇りに思います。お母様が与えた優しさを慈悲を今だに覚えて、それを受け継いでいた事に私は
彼等に救いの手を差し出すに値すると存じます!」
そう言うと民達は私を囲む様にひれ伏し、クレア様や感謝の言葉が飛び回る。
……なんか魔術の儀式でもしている気分になる。
しかし、お父様は私の言葉に耳を傾ける気はないようだ。
「ならぬ、既に決まっている事を覆すのは有ってはならぬ。其方も死にたくないだろう。こっちに来るがよい。この様な不祥事を犯したお前だが生かしてやるぞ」
私はお父様を見て、首を横に振る。
「お父様、私はそちらには行きません。お父様が行う事、これから起きる事も理解しての言葉なのでお父様が言いたい事も理解しています。しかし、ルイ・レイナスの娘でありますが、キャサリー・レイナスの娘でもあります。私はお母様の行った事を無駄と間違いだと言わせません。貴族として間違っていたのなら回りを正せば良い。お母様は自分の貴族としての信念を貫きました。なら娘である私がお母様の行いを否定する理由がありますか?私はお母様の行いを正す為に民を守らねばならない!お母様が愛した民を代替えの聞く道具みたいな扱いはさせません。しかし、落とし所は必要でしょう」
そう言うと私は手を上げる。
するとラクシエルがあの男を連れてきてくれた。そして、私の前に転がす。
「お父様。彼は昨日、私達が確保しました。街や村と言った沢山の民が今この場に来ている中であの勅令、森の中からある一本のトレントを探せと言っているのも同じです。皆が探して見つからないとなると彼の存在自体知らない民が大勢います。知らない民が知らない彼を探せとは酷な命令です」
私は一息つき、周りを見渡す。周りは私に希望の目を向け、必死に私の話を聞き漏らさないようにしている。
「なので、ギルドマスターに特例で忍びの依頼をお願いし、この男に関わった者、平民、富豪、貴族、全てを探し、落とし所を付ける者共を選別しました。平民と富豪は既に捕まえております。貴族は今からです。お父様の命令次第です」
私の言葉に真っ先に噛み付いたのはサンベルタン伯爵だ。
「貴様!貴族がそのような醜悪をする訳がないだろう!貴族に落とし所を付けるとは何事だ!」
私はサンベルタン伯爵のいきなりの叫声に笑みが溢れる。
「おやおや?何故、サンベルタン伯爵が御怒りになるのです?私はお母様の殺害に関わった者の話をしているだけで公爵家に害したのだから平民だろうと貴族だろうと平等に罪を与えるのは当たり前でしょう?公爵家の面子の為にです。それともサンベルタン伯爵は関わっているから慌てているのでしょうか?」
サンベルタン伯爵は顔色を真っ赤に染めて何かを言おうとするがお父様の睨みで一気に顔が蒼白とする。
「クレアよ、ここに居る民は其方が守るに値すると思いの言葉か?」
「はい、ここに居る民はしかとお母様の行いを受け継いだ民であります。それを利用しよう輩はもう居ないのです。今、この場で民を粛清なさればレイナス家は破滅へと向かうでしょう。民の替えは出来てもコレまでの民とは違うのですから」
お父様は深い溜息を吐く。
「一理あるな。しかし、どうして、すぐに調べがつけたのかが知りたい。クレアよ、其方は今まで何かをしていた様だがそれをこの場で明かす気はあるか?」
私は笑顔でドレスを摘み、笑顔で話す。
「この場で明かす程の事ではありません。でしたら、この事はご存知でしょうか?只今、ザイズでは民が謎のアンデッド化し、連絡がつかない状況であります。周りのギーベ達は警戒をし始めましたがこちらにはお父様が粛清なさってますので情報が回っていないと思い、この情報も伝えようと思っていました」
アンデッド化の話を伝えると第2王子派が急に狼狽し始めた。これは心当たりがないからこそ、対処が出来なくて怖いのだろう。
お父様は私の言葉を聞き、目を瞑る。
「本日の粛清はまずその男を先に粛清をする。そして、我が娘が調べた者共もだ。貴族は今は無理だが必ず、レイナス家の面子の為に粛清する。皆の者、今は生きている権利を与えよう。だが、決して忘れるな。我が娘から与えられた権利だという事をな。これにて解散とする」
そして、お父様はあのディオール伯爵へ何かを言うとディオール伯爵の取り巻きが私へ近づいてくる。
「クレア様、ひとまず、こちらへ来てください」
そう言われ、私はディオール伯爵の元へ連れて行かれた。
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