48話
本日は休みなのと物語が少し纏まったので2回目の投稿です!
屋敷に入ろうとしたら呼び止められた。
誰だろうと振り向くと第2王子派の主力のディオール伯爵だ。
彼は第2王子が王に着いた時の宰相として迎え入れる事を条件に彼は第2王子派についたはず。
「あら、ご機嫌麗しゅうございます。ディオール伯爵」
貴族の挨拶ってこんな感じで良いのかな?
記憶を辿ってもクレア嬢がまともに挨拶している姿がない。
「クレア様がお屋敷に入る姿を見かけましたのでついお声をかけてしまいました。お急ぎでしたか?」
ディオール伯爵は微笑み、私へ尋ねる。
ディオール伯爵の対応を見る限り失敗ではないはずだ。
「えぇ、大丈夫ですわ。ディオール伯爵、私に何か用がございますか?お父様からなるべく婚約者以外の男性と関わるのはと言われておりますので用がなければ失礼しますわ」
ディオール伯爵は私の言葉に笑う。
「失礼、貴方の父上は心配症なのですね。私も父上になればそうなるのだろうか。私の事はコンドラとお呼び下さい。貴方も同じ派閥の者ですからね」
取り敢えず私は微笑みで返事を返す。
「ハハ、まぁ、良いでしょう。今回は貴方の父上とお話があったのと別に貴方にも少しお話がありましてね。いや、クレア様にも私のお話を聞いていただけたらと思いまして」
私にお話?
お父様と同じ様に扱うって事かしら?しかし、私にそんな価値はないはず。
何を考えているか分からないので断っておこう。
「お父様のお仕事の事でしたら聞いても分からないので遠慮しておきます。では、中に用事がありますのでこれにて失礼します」
「そうですか。私がお話するのはレイナス公爵の事とは別でしたがクレア様に必要なかったかな」
私は中へ入ろうとしようとしたのを止める。
後ろを振り向くと含みのある笑顔があった。
……何か探られている?
お父様の件以外となると私の行動がバレている?
いや、お父様も分かっていなかったからバレてはいないはず。
しかし、勘付かれている可能性は捨てれない。
平常心のまま、またディオール伯爵と対面する。
「ふふ、私のお話が気になります?」
ディオール伯爵は愉快そうに言葉にする。
私は悟られないように笑顔を貼り付ける。
「お父様以外の話と仰ったので断る理由が無くなっただけですわ」
「そうですか。まぁ、良いでしょう。これからのお話を聞いても他の方へ伝えないでくださいね。我々第2王子派の大事な情報です。レイナス公爵も不利になるのでね。それにこのお話はレイナス公爵にも話をしていませんのでお話が誰かの元へ伝わったら貴方が疑われてしまうかもしれません。気を付けて下さいね」
「へぇ〜、重要な情報ね。……なら何故私にその様な情報を教えて下さるのかしら?意図が読めないのですが」
ディオール伯爵はふぅとワザとらしく溜息を吐く。
「私もそう思います。貴方を陥れる為かと私も思ったのですが違うようです。我々のお慕いする殿下の将来の妻に対しての行いではないと思ったのですがある方がこの情報を教えて来るようにと仰るので仕方なくです」
ある方?……誰だろう。
その情報次第で私の反応を探る為に来たのか。
しかし、私の社交での評価通りだと判断してディオール伯爵はペラペラと話してくれているのだろう。
後から不敬だの何だのと言われない為の保険。
私に話しても理解されないだろうとの傲り。
思わず笑ってしまいそうだ。
「分かりましたわ。私もお慕いする婚約者の関係する情報を聞きたいですわ」
お慕いもしてないのにちゃんとお慕いしているアピールをしておく。
「まずはここレイナス領のギルドのユンファと言う男を処刑しました」
いきなり聞いた事のある名前に動揺する所だったが笑顔を崩さなかった。
「ギルドですか?その男が何かしたのですか?」
「えぇ、ウルシバ伯爵の駒でして、我々の動きに合わして冒険者を送って我々の邪魔をしていたので処刑されたのです」
可笑しな話だ。
ユンファは第2王子派について色々と動いていたはずなのにこのタイミングで切り捨てられるのは何故だろう。
取り敢えず、驚いたフリをして話を合わせておく。
「まぁ、貴族に楯突く平民が居たのですね。処刑されて当然ですわ」
ディオール伯爵は目を細める。私も笑顔のまま、ディオール伯爵の視線を逸らさない。
「そうなのです。我々が考えていた計画を毎回タイミング良く、冒険者を送るのは誰かが裏でやっているのかと思っていましたが気のせいでしょう」
つまり、ユンファを使い冒険者を送っているのが私だと思っていたようだ。
まぁ、ギルドマスターに依頼して毎回送っていてユンファは逆に依頼の邪魔をする側だった。
「ではもう安心ですわね。でも計画って何でしょう?」
「えぇ、ユンファからは有益な何も情報がなかったので問題は無いはずです。計画についてはお教え出来る内容ではないので申し訳ない。ただ、我々が一歩前進に進む為に必要な事なのです」
魔物を放つなんて計画は言える訳ないか。
「分かりました。この話はこれまでにしましょう」
確かに有益な情報をありがとう。
ユンファの妨害も無くなったし、私がギルドマスターと繋がりがある事はユンファは知らない。
ならユンファから情報を引き出しても私には辿り着かない。
だが何故、私にこの話をしたのだろう。
「あぁ、一つ言い忘れていました。クレア様は見事に使用人達を処罰したそうですね。流石公爵家令嬢です。コレで身動き出来ますね」
私は微笑みを崩さなかったが目を顰める。
「どう言う意味かしら?」
「いえ、父上のやっている事に疑問を感じているのでしょう?そして、我々のやり方も気に入らない。そんな所でしょう」
ディオール伯爵は何か確信があるかの様に言う。
「やはり、意味が分かりませんね。謎解きは苦手ですの」
「クレア様が父上の粛清を止めたがっていると耳にしましてね。止めたくなりましたら私の元へまた来てください。貴族としてなら協力しますよ」
何だかネットリとした視線が身体に感じる。
「私は私の出来る事しかしませんの。ディオール伯爵、ありがとうございます」
10歳の子供にそんな視線を向けている時点でディオール伯爵は敵だ。
と言うより第2王子の婚約者だという事忘れているのか?
取り敢えず気持ちが悪いのですぐに離れる事にした。
いつもお読み頂きありがとうございます!




