46話
決意です。
1週間近く悩んだ末、この様なお話になりました!
伝えたい表現が難しく、悩みましたが伝わればと思います。
倫理観は人それぞれなのでこう言う考えもあるんだなっと思って読んで頂ければ幸いです。
「クレア様、ここでなら人目もつかずに剣を振るえます。剣と言えど様々な種類がありその剣一つで戦術、戦い方扱い方は変わります。私が扱うのは大剣ですが教えるのは良く使われるショートソードです。この剣は切り先が鋭く、先端にいくに従って幅も狭くなってますので刺突などを交えた戦いをされる方が多いです。そして、この剣は元は人を戦う為の武器でもあります。昔は軽かったのですが人同士の争いが少ない今は魔物様に長さも80センチとクレア様の身長の半分位ですし、重めに設定されており1.8キロ位あります。ショートソードでも持てはしても振るうには力が必要です。ですが今回は持ち剣を感じ確かめ、武器に触れるだけで良いでしょう」
剣にも様々な特徴があるのだから全てを理解出来る訳がない。だから、一般的な剣を選んでくれたようだ。
「レイチェルは大剣を使うのですか?」
今は手持ちにないですがと言い話す。
「はい、私は女性としては大柄でケイトよりは低いですか身長は180センチは超えておりますし大剣を振るえる位には鍛えております。私の大剣はちょっと特殊でクレイモアに似たツヴァイ・ヘンデルと言う大剣です。重さも9キロもあるし長さも2メートルはあります。私の本来の戦いは魔物専用でありますので私のは大きめの剣を扱うのです」
そう言えば何時も鎧とマントばかりに気を取られていて顔しか見てなかったし大剣は見た事無かったと思い尋ねる。
「それは常に空間へ隠しているからです。そんな大剣を持ち運ぶのは私もキツイのでとある場所へあります。それに私も多少は女性ですので察して下さい」
あ、レイチェルさんが悲しそうに遠目を見始めた。大剣持っていて何か言われたのかな?
「それは置いておきまして、私も属性があります。私やケイトはコレでも騎士の家系です。なので私も時空の呪文に好かれまして常に自分の空間へ大剣をしまっております。私が剣を振るのは魔物です。その時に出します。後は対人用にスモールソードを持っていますがこれは護身用で実は切らないのです」
私はレイチェルの言葉の意図が分からず傾げる。
「そうですね、言うのは簡単ですが実際に見せてみましょう。ララン、見ているだけじゃ物足りないだろう?少し相手にしてやるから来なさい」
レイチェルはそう言うと周りの見学していたラランと言う私よりは大きな男性を呼んだ。呼ばれたラランは周りをキョロキョロしながら凄く怯えていた所を見ると実力差は歴然としている。
ラランは渋々出てきて自分の剣を構え、間合いを詰める。
レイチェルは片手で剣を構えているだけで何もしない。
ラランは痺れをきらしたのか踏み込むと剣を上げ素早く切りかかる。しかし、レイチェルは切りかかった剣を簡単に弾く。
弾いた弾みでレイチェルは回転しそのままの勢いで柄の部分で横顔を殴り、そして、ラランは吹っ飛んだ。
少し痙攣していたが動かなくなる。
「こういう風に剣を使う相手に受けで使い、攻撃は柄や空いている右手で殴るのが私の対人の戦い方です。これは幼い頃教わった戦い方です。騎士とは今では魔物狩りがメインですが私の実家は悪い事をした人を取り締まる役割でしたので捕縛する為にもこの戦いを主にしていました。クレア様に教えるのはただ持ち方と心構えと聞いてましたので私のこのやり方は参考にはなりませんがこういう戦い方もあるのだと頭の中に入れていて下さい。では、やりましょうか」
少し待ってとレイチェルに言い私はラランと呼ばれた男性の所へ行き、ヒールをかけてあげるとラランは起き上がり、感謝を述べると巻き込まれない様に先程より遠くへ移動した。
「では、始めましょう。レイチェル、剣の扱い方、戦い方を教えて下さい」
「了解しました。ではクレア様はまずは両手で持って下さい。そして、構える所からやりましょう。私の真似をして下さい」
そう言ってレイチェルは軽々と剣を持ち構える。
そう、胸を強調するかのように……
レイチェルさん、何時もは鎧なので気にしなかったのですが今日はラフなシャツのみでお胸が大きいなと本日思っていたのですが構え始めてからより意識してしまう。
はっ!既に戦いは始まっているのか!?
「……なるほど、胸を強調させ、まずは男や持たざる者達へ精神攻撃をする。戦い交じる前から戦いなんですね」
「意味が分かりません!別に胸を強調してません!」
レイチェルは顔を真っ赤にして胸を押さえる。
……だから、それは逆効果です。
「私はレイチェルみたいに胸がないのですがどう強調させたら良いのです?」
パットか?パットなのか?この世界にあるのかな?
顔を真っ赤したレイチェルから怒られる。
「胸から離れて下さい!剣と胸は関係ありません」
周りは笑いを取れたがレイチェルには不評だったので真面目に握る。
しかし、思った以上に重かった。長さがあるのでそれ以上に感じる。2キロ位なら大丈夫だと思っていたがそれは前世の記憶であり今はまだ10歳の女の子だ。体は大きい方だと思うが筋トレなどしていないこの体で剣を持つのも一苦労だ。
すでに手がプルプルし始めて来た。
「良いですよ。そのまま構えていて下さい。そして、目の前には人が居るのを想像して下さい。その者はクレア様へ刃を向けております。そう、命を奪おうとしているのだから命を奪われる覚悟が必要です。向こうの方が執念や技量などが勝れば自分が死にます。だから、日々剣を握り振るうのです。それは自分が生きる為です。そして、生きる為に殺す。これは自然界と同じです。だから、悪戯に人の命を奪うのは私は嫌なのであの戦い方になりました。命を奪う大剣は魔物がメインであるのはそう言う事です。私もまた人の命を奪った事があり、辿り着いた自身の在り方です。そして、クレア様は命を奪う決意が必要です。決意無き者が剣を振るうとロクな目に遭いません。力はある、覚悟もある。なら決意するだけです。クレア様、目の前に振りかかって来た者を倒して下さい」
私はレイチェルが言った様に想像し、想像と向き合う。
そして、イメージは先程のラランが思い浮かんだ。ラランのように切りかかって来た者と正対する。
そして、タイミングを合わせ剣道の胴をイメージして切りかかる。
私の中で何かがスッと消える。
先程の動かなくなったラランのイメージが死と繋がる。
私は想像だが殺そうと考えた。今この手で殺してしまったのだ。
持っていた剣が落ちる。
手が震えているのは想像とは言え人を殺そうとしたから?それとも重たかったから?
私は両手を見る。
それを察してかレイチェルは私に申し訳なさそうな表情を作る。
「流石にラランでやり過ぎました。ですが、クレア様が望んだ事はそう言う事だと思います。今回は誰も死んでないですが次は分かりません。その気持ちに覚悟できますか?決意は定まりますか?クレア様は優しすぎる。イメージだけで他者を思いやれるのですからこのような事とは無縁でいて欲しかった。しかし、それを許さないのが現状だと言うのなら私はこうします」
私の震える手をレイチェルはぎゅっと握ってくれた。
「ね?これで震えは止まりましたよ」
レイチェルに握られると安心し、震えも無くなった。
私のモヤモヤも無くなった。
「ありがとうございます。これで少し気が晴れました。偽物で作った場ですがこれが命を奪った感情。慣れたくはないですね。私はこの先、行動起こす事で命を奪うのでしょう。だけど、この感情を忘れないでいたいです」
そう言ってレイチェルの手を握り返す。
「以上が私からお伝えする剣を通じての心構えや扱いです。剣を本当に扱いたくなりましたら一から今度は剣術をお教えします」
私はレイチェルに頷き、笑いかける。
「そうですね。剣を扱う中で違った見え方も有るかもしれません。その時はよろしくお願いします」
2人でいい雰囲気だったらケイトが近づいてくる。
「クレア様、納得の行く結果ですか?」
「そうですね。少し私の感じたかった事に触れたと思います。私は今回の事を肝に銘じ動きます。だから、ケイトや皆にも感謝しております」
ケイトは私の言葉を受け、何か考える。そして、意を決したようで言葉にする。
「レイチェルより聞いていると思いますが私もここにいる数人は騎士の家系の者が居ます。このケイサツベライは貴族に対抗する為に結成しましたが初めは本当に騎士の集まりだったのです。貴族に滅茶苦茶にされた者達を救っていったのがきっかけです。我々はそうやって集ったのです」
ケイトは一呼吸置き話を続ける。
「知っていますか?騎士とは領主と主従関係を結び、その土地を支えてきたこの国の先住民です。そして、騎士道とはこの国の神へ進行する教会の観念に基づくモノ。忠義、公正、武勇、礼節、奉仕など謳っているが言葉だけです。何故なら他所の国から来た平民達はその対象外です。騎士道とはあくまでも貴婦人を対象にしたものであり、平民達に対する扱いではないのです。弱いモノを守ると口だけなのです。本当に騎士として誇りを持っている者は今この国にどれだけいるのでしょう?そんな高潔な家系は残っているのでしょうか?私はもう諦め家を出ました。そして、民の為の騎士を目指しているうちに皆が同じ気持ちの同志が集まり今に至ります」
周りを見ると同じく嘆いているように感じる。
「今の騎士達は本当に騎士なのでしょうか?彼等に誇りはなく、何を胸張って生きているのでしょう?騎士の大義は果たせているのでしょうか?今の騎士達は剣ではなく何をふるっているのでしょうね?」
私はケイトの言っている事は分かったが何を言いたいのかが掴めない。
「クレア様、貴族は杖、騎士は剣の家紋が多いです。何故なら剣は騎士の誇りでもあるのです。剣に誓いを立て決意するのです。自分の生き方、信念をです。今のクレア様の様にです。ここにいる者も全て、古き騎士の生き方に焦がれ誓い、不正義の中に生きる事を選ばない。私はクレア様の覚悟と決意をしかと目にしました。最初渋ったのは騎士の決意を真似たのかと思ったからです。しかし、クレア様はこの国の騎士よりも立派な誓いを立てております」
ようやくケイトの意図している事が分かった。
私は知らずに騎士の領域に踏み込んでしまったのだ。
それでケイトは初めは私の行為に難を出したが私の本気を理解して自らの考えを言葉にしてくれている。認めてくれている。
「クレア様、今日の誓いはケイサツベライの皆が聞き入りました。そして、クレア様の決意を理解しました。クレア様もこれで立派な騎士の仲間です」
ん?何か全然違う方向へ進んでる気がする。
「ありがとうケイト。ですが、私は公爵家令嬢なので騎士とは名乗れないですわ」
ケイトはニカっと笑い、清々しい顔で言う。
「そうです。女騎士ではありません。クレア様は公爵家令嬢であります。王家の血も入ってますし領地の姫でもあります。ならクレア様は本日より姫騎士の称号を差し上げます」
18禁的な違うフラグが立ちそうなのでその称号だけはヤメテ!!
いつもお読み頂きありがとうございます!
 




