44話
昨日のうちに45話まで書こうと思ってましたが中々話が纏まらない。゜(´つω・`。)゜。
私は離れで落ち込んでいた。
何をやったらいいか分からず、モヤモヤする。
明後日にはお父様はワライクバへ向かう。
私はお父様を止める事も出来ずにいる。
ワライクバにはケイサツベライの皆が向かう。
魔物や貴族からの陰湿な襲撃には備えている。
どの貴族も自分達がやったなど言えないからだ。
ケイサツベライの皆が何をやっても問題ない。
しかし、お父様の粛清には何も出来ない。
それにお父様の粛清には私も絡んでいる。
私が使用人を生かす為に流した情報を上手く利用された。
数十人を救う為に何万もの命を失くす事になる。
これ以上ない失態だ。
私は怖い。
私の行動が他人の命を奪う事。
自分が生きる事だけを考えて来た。他人の命も奪うだろうと覚悟していた。
しかし、今回のは私が思っていたのと違う。生きる為、他人も私や周りに害をなすからこそ決断出来た。私に無関係の命が奪わってしまう。
それを考えると気分が悪い。
「……レア様?クレア様。大丈夫ですか?」
気が付いたらマリーが目の前に居た。
「えぇ、少し休みましたら大丈夫ですわ」
マリーにそう言うがマリーは心配しているようだ。
「クレア様、悩み事があるのなら私が聞きます。だってクレア様は私を救ってくれました。ならクレア様が悲しかったり辛かったら私はクレア様を助けたいのです」
「ありがとうマリー。でも今回のは私しか解決出来ないし、マリーに教えてマリーまで辛くなって欲しくないの」
私はマリーに力なく微笑む。
マリーは悲痛な顔になり私の手を握りしめる。
「クレア様、私がクレア様の事が好きだから助けたい、一緒に悩みたい、辛くても一緒なら乗り越えられると信じてます。ですので私にも同じ悩ませて下さい」
マリーは弱く微笑む。
私とマリーはしばらく見つめ合う。
ふぅと私は溜息をつく。
「マリーは時々強引だわ」
マリーも私も一緒に笑い始める。
そして、今日合った事をマリーに話した。
「それはクレア様が悩む事はないです。何故ならクレア様は民を思っての行動の結末ですのでそれを利用した者が悪いのです」
マリーの言葉は優しく包み込む。
「ですがクレア様は利用した者が許せないと言うのなら、立ち向かいましょう。利用してくれたから利用し返せる。お嬢様がワライクバの場に立つ建て前になるでしょう」
「マリーは私がワライクバで戦うのを望んでいるの?」
「いいえ、ですがクレア様はその為に色々と頑張っていたのを知ってます。だからクレア様は自分の進む道を歩んで下さい。私はクレア様の幸運を願うだけです」
「マリーありがとうね。私の事を理解しているのね。確かにお父様に隠れてワライクバに行こうと考えていた。だけどマリーのおかげで少し見えてきましたよ」
マリーは私の言葉に少し安心したようだ。
次の日、私はお父様との件で自分を見つめ直す為にケイサツベライに会いに行く事にした。
しかし、こそこそと外に出ようとしたらハルトがいた。
……これは予定外だ。
どうする?
バレてしまったら全てがおしまいだ。
色々とわたわたしていたらポツリとハルトは私に話しかけてきた。
「安心して下さいお姉様。僕はお姉様の味方だと伝えに来ました」
意味が分からず首をかしげてしまう。
「お姉様はいつも正しいです。お父様は僕が間違っていても正しいと周りに示せばそれは正しいと教えて頂きました。周りの使用人達も同じです。僕が何でも正しい。だから教養をつけ、学をつけ正しい判断が下せる様に様々な事を学びました。でも、そんな中、お姉様だけが違いました。僕が全て正しい訳がないと僕自身が分かってます。それでも何が間違っているのかが分からないのです。でもお姉様は違うと毎回教えてくれました。そして、お姉様のおかげで僕は気が付いたのです。正しい事は人それぞれであり、他者に自分の正しい事を認めさせる事が出来てこそお姉様がいつも言っていた事なんだって。たまにお姉様の言う事は理解出来ませんでしたが納得はしてました。だから、お姉様のやる事を僕は手伝います」
凄く感動できる?話だがクレア嬢はただ、弟に嫌がらせをしたかっただけなんです。
まっすぐに育ってくれてありがとう!そして、ごめんなさい!私じゃないけど私です。
このまま、良い子に育ってほしい。
「お母様が亡くなってから公爵家は変わりました。お父様も僕も使用人もです。僕は子供のままではいけなかった。大人達と渡りあえる知性が必要でした。そうやって自分を偽り、作り、取り繕ってます。でもそれが貴族としての求められるモノだと理解しました。しかし、皆が求める貴族の品性や教養を得ても何も変わらなかった。そんな中お姉様は何も変わらず自分であり続けています。そして、使用人の件や領地の件など僕には分かりませんがお姉様は解決しました。今のお姉様が何に悩んでいるのか分かりませんがお姉様は自分を信じて進んでいけば良いと思います。もしも、信じられないなら僕がお姉様を信じます!お姉様が間違っていても僕が正しいと言わせます!……だから、お姉様はお姉様でいて下さい」
初めてハルトの笑顔を見れたと思う。
心のままに動き、ハルトをそっと抱き締める。私の腕の中に収まる程小さい体でこの子は大きなモノを背負い抗いていた。
原作での盲信的な行動は理解出来なかった。
でも今なら理解出来る。大人っぽくてもまだまだ子供なんだ。今の笑顔が本当のハルトなんだ。私はこの子を歪ませたくない。原作は最悪の未来だ。お父様も何かに盲信的に行動していたしハルトも盲信的にクレアに懐いていた。
あの時はゲームにざまぁみろってなったが今はそうじゃない。
私にもハルトにもお父様にもまともに生きる権利がある。
シナリオ、物語など関係ない。
これは私の現実だ。
人が死に生きている。
私は生きる為に敢えて悪役を貫く。
お父様の貴族のモラルなど知らない。
第2王子派だって知らない。
私はハルトのおかげでやっと戦う事を決めた。
いつもお読み頂きありがとうございます!




