表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美人悪役令嬢は生きる為に悪役をあえて貫く  作者: イブ
2章 行動開始する悪役令嬢
37/80

37話

明日は休みなので次の章まで進めたいと思います♪

私はこれまでの事を話した。

使用人の件、ギルドの件、騎士の件なども第2王子に関係あるのはしっかり伝えた。



「……そこまで深刻化していたとは。私が不在の間、皆には迷惑をかけたな。それにクレア、この度はすまなかった」



陛下は本当に申し訳ないと言う表情をする。



「それにルイがまさかその様な状況に陥るとは思いもしなかった。彼奴は私と相続争いが嫌だったと聞いている。影で王の仇になりそうな貴族を囲って、私の立場を分かりやすくしてくれた。そして、其方の母親と出会ったと同時に周りの貴族の反対を押し切って、相続権を破棄し今の地位に落ち着いたのだ。しかし、ルイも本当は王へなりたかったのかと思ってしまい、彼奴の行動に疑問を持たなかった自分が情けない」



陛下が悪いわけではない。弱っているので更に弱気になっているのだろう。



「お父様は私にも分からない様にしてました。私もお父様と仲違いする事も覚悟してました。しかし、お父様は私にだけは私のお父様でいてくれたのです。ですから私はお父様の違和感に気が付きました。私はお父様を助けます」



陛下へ私はしっかりと目を見て意思を伝える。



「そうか、ルイを頼んだぞ。しかし、彼奴がそこまで力を付け裏でそこまでやっていたのか」



「そうですな。我々もあの子が納得する為、アルノー殿下の成長の為にも見逃していたのだがそこまで大きな事になるとは思っていなかったのじゃ。やはり、裏であの子を手引きしている奴が問題じゃな」



私もそう思ってしまう。この国の宰相が付くからバランスが崩れたのだ。



「その通りだと思います。彼が第2王子に付いたからパワーバランスが崩れたのですから。それも上手く隠してますので黒幕の情報だけは掴めてません」



「ん?彼奴はそこまで大層な奴ではないであろう?」



重鎮の一人が首を傾げる。



「そうでしょうか?皆様は彼の情報を集めているのですか?」



私と重鎮の人達で話が噛み合っている様で噛み合ってないのに気がつく。



「……ふむ。互いに情報を得ている誰が第2王子についているか言えば解決じゃろう」



「それもそうじゃな。クレアよ、まずは其方からじゃ」



私は頷く。



「はい、宰相です。彼は4年前に第2王子と接触してから表面上は中立ですが肩入れしております。優れた者による完全なる支配を考えているようです。選民主義の考えが傲慢に現れております。平民との共存ではなく更に支配し貴族の国を作ろうと考えています」



重鎮達はびっくりしている。あれ?皆の予想はまさか違うの?原作通りだとそうだったので間違いはない。



「……びっくりしたが納得も出来てしまうのぅ。儂等が言っていた人物はデュオルグ伯爵の事じゃ」



「……へ?」



思わず変な声が出てしまった。まさかこのタイミングでその名前が出てくるとは思わなかった。

原作で登場するデュオルグ伯爵は亡霊貴族だ。

この国で悪事がバレてしまい居られなくなった貴族だが正体は魔物に成り損なった悪意だ。

そう考えると色々と欠けていたピースが当てはまる。



「皆様、ありがとうございます。やっとこの全貌が明らかなりました」



私が1人で納得していると周りは知りたそうにしている。



「何が明らかになったか聞いても良いのか?」



原作の話をしても良いのか迷ったがここで第2王子が王になる危険性を伝えなきゃいけないと思う。



「はい、私の知るデュオルグ伯爵は亡霊貴族です。彼はこの騒動が終わると今までの悪事が王族に知られ、粛清されるのですがしぶとく生きており、何年も潜伏して今度はこの国に復讐します。ただ、その復讐も失敗に終わり彼には未来はありません。しかし、第2王子が王になった時の彼は知りません。宰相が第2王子の加担している事実は知ってますがそれだけではこの国が魔に溢れかえり滅ぶなんてあり得ないと思ってましたがデュオルグ伯爵が絡んでいるのなら納得出来ます。彼は既に人の身じゃなく魔に成していると思われます。何故、第2王子派が魔物を扱えるか疑問に思ってましたがデュオルグ伯爵が魔になっているから出来る反乱だと予想出来ます」



私の話す事にやはり、皆が驚いている。実際に私も未来の話をされたら、あら、厨二病の方かしら?ってなる。

皆の聞きたい事を代表するかの様に陛下は私に尋ねる。



「少し待て、まるで未来を知っているように話すが其方は未来を見えるのか?」



何度も心の中でツッコむが未来視は出来ません。



「未来は見る事は出来ませんが可能性の話なら知っております。ではないと無知な私が此処までの事は出来ません」



陛下は私の言葉を聞いて何かを整理しているようだ。

陛下が話を止めると重鎮の一人がまた聞いてくる。



「要するにこの先起こりうる可能性を幾つか知っていると解釈しても良いのじゃな?」



その通りだ。皆に伝えたい事を聞いてくれて良かった。



「はい、仰る通りです。この話はあくまで可能性の話であるかも知れない未来です。そうならない為に私は動いてます」



重鎮の方は少し顔を顰める。



「そうなると確実に彼奴を王には出来ぬな。政治を任せれても国を任せれないとは彼奴も困ったのぅ。もう少しバカであれば救いようがあったが有能だからこそ有害になるとは考えモノじゃな」



陛下は何か整理をついたようだ。私に視線を合わせる。



「すまないが彼奴の事をするにも時間がかかると思う。半年はかかるが良いか?廃嫡するにも粛清するにも準備と根回しが必要だ。それに宰相も確実に粛清しなければならぬ。それまでアルノーよ、お前が抑えとくのだぞ」



アルノーは頷く。隣で重鎮の方はホッホッホと笑う。



「儂等も久々に国の為に動くのも悪くないのぅ。場は儂等が整えてあげようぞ。あの手の者達は自分が追い込まれているのを知らずに追い込んだと思い込み色々とボロを出すものじゃ。陛下よ、儂等も今回ばかりは動くとしよう」



重鎮の方々は顔を合わせ、頷き合う。



「さて、この国は平和すぎた。だからこその騒動じゃ。魔族戦争以降平和を手にしたこの国は着々と腐っておったのは理解はしていたが我々個人では直す事は出来なかった。だがそろそろこの国も綺麗になっても良いじゃろうて。貴族の数が減るのは痛いが早いうちに国直しが出来て良かったと考えよう」



あれやこれやと話が纏まっていく。コレで私の役目は終わりだ。

重鎮の方々や陛下、アルノーが動いてくれる。

後は皆の行動に合わせるだけだ。



「クレアよ、再度言わせてほしい。ありがとう、感謝しておる」



陛下にお礼を言われ、私は頭を垂れる。顔を上げるとアルノーも同じ様に私に頭を下げた。

私はこの様に感謝されるとは思ってなかったので何だかむず痒い。



「では第2王子派にくれぐれもバレないで下さいませ。陛下、後はお願いします。私も自分の出来る事をします」



陛下ににっこりと笑いお辞儀をする。そして、振り向きアルノーを見つめる。


「そして、この国の為にもアルノー、甘さは捨てなさい。優しさは貴方の武器で良い所です。ですが、それが仇となるのも理解したはず、なら此処に居る侯爵家の方々に沢山学びなさい。貴方の優しさは民に向けるものであって敵に向けるものではない。敵に向けた時点で優しさは甘さに変わり、守るべき民を傷つけます。本当に守りたいものを考え、時に非情を覚えなさい。貴方はもう王になる方なのですから」



私はアルノーへ微笑む。



「ここまでお膳立てしたのですから民を大事にする王になりなさい。陛下を治した件のお代はそれで良いですわ。では皆様、やるべき事を終えたので私はそろそろ帰りますわ。失礼します」



私はこうして王族との取引も無事に終えた。

私は王城でカリンとクリスと少し話をして領地へ戻った。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜ロナウド〜


本当ならアルノー殿下の付き添いをするはずだったが第2王子についている貴族に絡まれてしまい、アルノー殿下とクレア様の謁見に間に合わなかった。クレア様は今回、自領を荒らされたとお怒りになっている様だが自作自演だろう。第2王子派が策を練っているのも知ってはいるが肝心の尻尾が掴めない。

社交でも第2王子派が多すぎて情報を集めるのも難しい。

アルノー殿下についている貴族も今後の保身について考え始めている。その気持ちは分かるが殿下へ誓いを立てた貴族として良いのかと聴きたくなる。

急いで向かうと殿下と偶然会い謝罪をする。しかし、よく見ると殿下の隣に綺麗な女性がいるが彼女がクレア様であろう。一度もお会いした事はないがあの公爵家の領主が溺愛している程可愛いと聞いていたが可愛いと言うより綺麗だ。

私を試すかの様にジッと視線をぶつけてくるクレア様に思わず思考を考える。

いや、どうにか私が殿下の元へと行こうとしている内に場所を変えようとしていたではないか?


しかし、クレア様は私の事を興味なさげについて来る様にとだけ言うと何故か陛下の寝室まで向かった。


殿下はクレア様への警戒は無くなっており、寧ろ信頼している家臣よりクレア様を信用しているように見える。しかし、クレア様は殿下を邪険にしている節を見せるので私が居ない間に何があったのか知りたいと思ってしまう。


着くと中にあの例の司祭がいる。彼は前から態度が悪く、貴族の中でも特に嫌われている。しかし、性格はともかく実力能力は認められている。なので陛下の病体を管理できるのはあの司祭位しか居ない。だから今では更につけあがっている。

あの様な者が才能があると手が付けられないと身に染みた。

案の定、公爵家令嬢であるクレア様を見ても察する事もなければ知ろうともしない。

この様な態度だからもっと出世したのに彼は実家と同じ子爵以上の爵位が上がらない。

クレア様が幾ら成人していないとはいえ、爵位の上の方への態度とは思えない。

それを咎めようとも彼が陛下を見なければ命が繋がらないのを知っている為、この場の全員が何も言えない。

この国の内部は既にダメになりかけているな。

だが、クレア様は怒りもせずに何も気にした様子もなく彼と話をする。

……本当にあの噂の公爵家令嬢なのだろうか?

気がついたら何故かクレア様が陛下を治す流れになっていた。

聖の属性持ちだとしても呪文を従えさせるのは難しい。

幾ら、クレア様がその属性の呪文を持っていても回復は無理であろう。司祭はあれでも上級貴族でも難しい上位呪文【ハイヒール】を従えさせている。

だが、私は良い意味で予想は外れた。

英雄達が従えさせていたと言う呪文を扱うではないか。

特に最後の呪文の雰囲気の神々しさや雰囲気に圧倒されてしまった。

私の聞いた事のない呪文を使い、あっと言う間に陛下は目覚ましたのだ。

これが公爵家か。爵位の重要性を理解した。

そして、クレア様は自身に起きた全てを語った。

私の解釈だと婚約者に陥れられ復讐の為に自分を偽り、他人を騙し、そして漸く自由を得て、年数をかけ、そうまでしてこの場を設けたらしい。

私なら無理だ。

素直に強いなと思ったと同時に恐ろしいと感じた。

クレア様の政治や交渉のセンスは貴族同士の化かし合いにも通用するだろう。女性にしておくには勿体無い。

そして、クレア様の事を私達が信用し始めたと同時に私達が裏切れなくなるよう確証は無いが無視出来ない情報を流し第2王子の話へ変えた。クレア様は自分が語った事を信じない選択肢を与えず会話の主導権をクレア様が握って話が進む。そして、纏めて無事に話が終わった。

私は始終驚かされてばかりでただ聞く側だった。


最後に殿下へ叱咤の言葉を聞い帰っていった。

私達もこれ以上は陛下の体調を気にかけて退室した。



「私はクレアの言う王へ成れるだろうか?」



唐突に殿下は聞いてきた。



「成れるではなく成るのです殿下。私はそれを信じてます」



「……そう、であるな。クレアに気に入られる様に私も努力しよう」



……ん?

もしかして殿下はクレア様に惹かれたのか?

少ししか会っていないが凄く気が強くて、まるで全てを見透かしたような印象があり扱い辛い女性だった。見た目も成人していると言われたら納得してしまいそうなほど大人びており、言動も違和感ない。あれで10歳と言うのだから末恐ろしい。

まず、あれ程気の強い女性を結婚相手にしたいかと聞かれたら困る。



「そうですね、なんだかんだ言っても殿下にあれだけ気にかけてくれる女性ですから認めて貰えると思います」



「そうか、そうだな!私はクレアに認められたい」



これはもしや?



「はい、殿下なら大丈夫です。クレア様は殿下にとって素敵な女性なんですね」



遠回しに聞いてみた。

殿下は頬を赤らめる。




「あぁ、クレアとは初めて会ったが本当に素晴らしい女性だ。私は今日、初めてを沢山経験した」




これは間違いなく殿下に春が来た!

私は殿下の言葉に相打ちをする。



「あぁ、またクレアは私を怒ったり罵ったりしてくれるかな」



そうですね、素晴らしいですねと相打ちするが聞き捨てならない言葉を聞いた気がする。だが嬉しそうに話す殿下に疑問どう聞いていいのかわからず私は心の中で訪ねた。



……怒られたり罵られるのがお好きだったんですね殿下。

ここで少しだけ恋愛?要素が現れたかもです。恋愛なのか疑問ですがね?

純愛ではないのは確かです!


お読み頂きありがとうございます。

沢山のブックマークありがとうございます!

活力になります!

感想もお待ちしております!

ではまたです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ