34話
お仕事忙しくて書くのが遅れました(´;ω;`)
私は周りを見渡しながら尋ねる。
「貴方達の仕える方は誰かしら?」
私はにっこりと微笑む。
すると睨んでいる使用人の1人が答える。
「それは王族でございます」
「でしたら私の行動や言っている事がわかりますよね?」
答えた使用人は少し困惑した顔になる。
「はぁ、もう良いですわ、話しにならないわね。ねぇ、貴方がここの使用人達の筆頭よね?」
そう言われた使用人は更に睨む。ここまで案内してくれた使用人に話をふる。
「はい、私は使用人筆頭のクリスティーヌと申します。名前は長いので愛称のクリスとお呼び下さい」
「ヨシュアは良いわ。私本当に気に入りましたの。あの子は使いなさい。ヨシュア達が戻って来たら邪険に扱わず貴方から情報を与えなさい。」
「畏まりました。私から与えるで良いのですね?」
「えぇ、何の情報かは貴方が決めなさい」
私とクリスのやり取りを理解出来なかったらしく、睨んでいた使用人が口を挟む。
「クレア様、申し訳ありませんが彼女達はアルノー殿下を蔑ろにする愚か者です。長もいくら侯爵家の令嬢の言葉だからとその様なお申し付けを受けるのはダメです」
……ダメねぇ。
監視役が居なくなったら言葉も選ばなくなったね。
私が第2王子派だったらこの発言でアルノーの立場が更に悪くなっていると思うのだけどね。多分、私の行動からその様な報告などしない。言いくるめられると思ったのだろう。
「私からするとあの子達も貴方達も一緒だと思いますがアルノー殿下はどう思われます?」
突然振られたアルノーはえっと漏らす。
「えっと、そうかな?皆も良くやってくれてますので一緒だと思いますね」
……これだから御花畑は。
私とアルノーの一緒は一緒じゃない。優しいだけじゃ現実では生きていけない。
アルノーには悪いが評価がガタ落ちだ。
私はダメな子を見る目でアルノーを見る。
アルノーは何が悪いのか分からず気まずそうにする。
「クレア様、貴方はまだ貴族の常識など身についていないのでその様な事が言えるのです。ここでは王族に対して失礼を働いてもいけませんし、公平にしないといけません。いくら、弟殿下の婚約者としてもです」
成る程、だから第2王子派だとしてもアルノーの不利な事をしてはいけませんよ〜なんて言いたいのだろうね。
私は目を細め彼女を見つめる。
「へ〜、公平にですのね」
大声ではないのに私の蔑んだ声がこの場では大きく聞こえる。
流石に不味いと思ったらしく更に言い訳を重ねる。
「王族には公平にです。公平を無くすには陛下が決めなければなりません。殿下はあくまで陛下の補佐をするのが仕事でございます」
要するに王より王権はアルノーが持っているに近いのだから第2王子派は大人しくしとけって事だろう。
クーデターって知っているのかな?知らないのだろう。
知っていてもあり得ないと思っているはずだ。
この平和ボケした国でこの手のネタが無いのが悪いな。
「だそうですが、クリス、これは貴方達の回答なの?彼女の回答なの?」
「彼女、リザベルの回答です」
リザベルと言われた使用人は顔をしかめる。
「まぁ、良いわ。他の使用人達はリザベルどうかしら?リザベルの言った事の通りかしら?まぁ、行動を見たらリザベルの言う事と変わらないのかしらね」
尋ねると皆が頷き肯定する。
言質は取ったしそろそろ言わせてもらいます。
「そもそも貴方達は誰に支えているのかしら?アルノー殿下?それとも私の婚約者?病に伏せている陛下?」
周りの使用人を見ながら冷めた口調で言う。
「王族へ公平に仕える身でありながら使用人内で派閥を作るなんて愚かよね?」
「貴方達は王族へ支え、政治等の権力など影響なく主人へ奉仕するのが役割でしょう。なのに使用人同士で互いに牽制し合い、客人である私に見破られ私の手間を取らせるとはどういう事かしら?それにね、使用人風情がいったい何時から貴族の真似事をするようになったのかしら?」
私は黒い微笑みで使用人達は達を見つめる。
使用人も気づいたようだ。
顔が青ざめていく。
「ねぇ、リザベル?貴族の真似事したいなら私とやります?良いですよ。全てを失いたいのなら私は受けて立ちますよ?」
リザベルは更に青ざめる。
「いえ、私はそのようなつもりでは……」
「つもりってどういう意味かしら?そのような意識は無かったと?ならその無知なまま貴方はここで人生を終わらせてしまいましょうか?」
リザベルは私の言葉に泣き出しそうになる。
「使われる身でありながら使おうなんて考えをするなら貴方は使用人失格よ。恥を知りなさい!」
アルノー殿下は何か思ったのだろう、私と使用人のやり取りに入ってくる。
「その辺りにしてあげてくれないかな?彼らは私を守る為にやった事だ。クレアの言う事は分かるけど許してほしい」
私はアルノーの言葉を聞いた瞬間頭の中がカッとする。
「……貴方もいつまで被害者のつもりなのです」
ダメだ。抑えられない。
「貴方は優しくて人の痛みを知る方です。本来なら民を想い、国を守る事の出来る王になれるでしょう。でもね、貴方のその優しさじゃなく甘さが貴方の弟のやる事を増幅させ悪化させたのが分からないのかしら?」
私はアルノーを思いっきり睨みつける。
「被害者ぶるのも良い加減にしなさい!貴方が優柔不断で甘いせいで弟も制御出来ず、民は荒れ、沢山の犠牲が出てる。貴方がしっかり自分の責任と王としての自覚を持っていたらこんな事になってなかった!私のお母様も殺されずに済んだ!私は王家を許さない。恨んでやる。憎んでやる。私の家族も私のこれからの人生も壊した貴方を許さない」
分かっている。これは八つ当たりだ。でも言わなきゃ止まらない。
第2王子が私の人生を壊した。でもアルノーがもっとしっかりしていたら私は確かにお母様も居て、お父様もちゃんいて、まともな人生になったのかもしれない。
言っても仕方ないのは分かるがアルノーにははっきり言いたい。
そんな中、私の気持ちを代弁するかの如く、結界で弱まる攻撃的な呪文が表に出てくる。
アルノーは私の呪文を見た瞬間、身を固まる。
使用人達も同じだ。
発動しないはずの呪文が現れ顕現の一歩手前だ。
この結界でも発動出来る呪文なら何をしても無意味だと使用人達も思ったのだろう。
緊張感が漂い形は王を守ろうとする。
実際にインフィルノが発動したら王城は一瞬で燃え落ちるだろう。それ位強力なのだ。
「な、何を言っている。私は何も知らないぞ?」
アルノーは私の言葉に困惑する。
「私のお母様は貴方から王権を得る為に第2王子が指示を出し殺し、私と婚約する事でお父様を縛りつけ駒にした。貴方は何も知らないで何もしないで弟に王権を取られる悲劇の王を演じている間、私は敵しかいない現状から始めた。貴方はいつまで守られているつもりなの?」
私はアルノーを見つめる。
アルノーは私の言葉を受け、私の怒りを理解したのか自分の不甲斐なさに気がついたのか苦痛に顔を歪ませる。
「其方が言いたい事が伝わった。私が不甲斐ないばかりに周りを争わせ、悪戯に民を虐げていたのは私もなのだな。それを気づかず何もせずに居たのであれば私に付いていた貴族が離れるのは必然、私は何と愚か者なのだろう。そして、其方等の事を勘違いをしていたらしい。申し訳なかった」
アルノーは政治に弱くても考えが悪いわけではない。むしろ、頭は良い方だ。
私のやり取りと私の言葉で少しは理解したのだろう。
「今更理解しても遅いですわ。後戻りも出来ず、貴方達王族は平和ボケした今のこの国を滅びへと一歩近づけたのです。戦を知らない国が悪戯に争いを覚えたら後は利を求めいずれ破壊するでしょう。ですがそうならない為に私はアルノー貴方に会いに来たのです」
私はふぅっと息を整えると呪文は身体へと還る。
そして、私は悲しそうな顔をしているアルノーににっこり笑う。
「それと私は貴方が嫌いですわ」
後1話くらい殿下と話しちゃうかもしれません、、、
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