2話
またもや投稿です!
ダメだ、逃げよう。
四面楚歌とはこの事だろう。
貴族、王族、家族、使用人と今頼れる人材はいない。
どうしたらココまでの惨状になるのだろう?
うん、頭が緩かったんだよね。クレア嬢は可愛いは正義、可愛いから許される、私は全て愛されていると疑ってないと妹が言っていたっけ、実際に記憶を思い返すと本当にそう思っていたので頭を悩ませる内容だ。
このまま森を突っ切ると違う領地に行ける。
辺境で魔物も存在するらしいが原作通りならクレアは基礎値が高い、努力次第で生き延びる事は出来る。
このレイナス領である限り森には魔獣や魔物は居ないが危険な獣はいる。
ここに居ても未来はない。
という事で動き易い服に着替えすぐに逃げ出した。
しかし、逃げ出す事を諦める事になる。
体力がないのは分かっていたが数分も経たずにひぃひぃ言いながらまだ3キロ位しか進んでないのに30分はかかってしまった。
……これはまず体力作りも考えないといけない。
鼻につく何かの臭いを感じ、顔を顰めた。
鉄の様な生温い臭いだ。
ふと横目で見ると人が倒れていた。
ひゅっと息が漏れる。
これって死んでいるの?
恐る恐る近づき体を触る。
まだ温かく、口元に手を当て、呼吸も確認。
しかし、身体中血だらけである。
何か出来る事がないか考えるとクレアの記憶にあった。
そう、この世界は魔法が存在する。
ならこの傷も治せる回復魔法もある。
『傷よ癒せ・ヒール』
呪文を唱えると体なら何かが失うのを感じ、怪我が巻き戻しの様に癒えていく。
魔法がスゴい!分かってはいたが僕と言う記憶からすると初めての現象な訳で嬉しい。
感動している暇もなく、ここに居ても血の臭いで獣が来るかも分からないので倒れている子を抱える。
……重い。
いや、この子、今の僕と変わらない位の年の女の子なんだけどね、気を失うと重くなるって聞くけどマジで重くてぐったりしている。
こういう時は魔法だ。
しかし、クレアの記憶を辿っても炎魔術と回復系しか使った事がないようだ。
確か、ゲームでは身体強化の魔法があったはずだ。確か発動のセリフは、、、
『我が魔力よ、我に循環し力と成せ』
体が楽になった。これなら大丈夫だ。
と右手を掴もうとするとすかしてしまう。
よく見ると切断面が見える。この子、右手が切られてる!
ゾッとした。
体が血だらけだったし、右手まで見てなかった。
ヒールで治して右手は血はでてないがまだ治ってない。
とりあえずあの離れに戻ろう。
帰りは40分かかったが行きより楽だった。
使用人達は記憶が戻る前に癇癪起こして近づいたら燃やすと睨みつけたんだっけ?
このクレア嬢は御飯どうする気だったんだろう?
そして、記憶を思い返さなかったら使用人達はどうなっていたのだろう。
子供って怖いね!
とりあえず、女の子を寝かしたが起きるのは先であろう。
そして、この世界に冷蔵庫らしきモノが存在しているのに感動した!
御飯どうしようと思っていたら冷蔵庫に似た箱を見つけ開けると食材が揃っていた。
さすが公爵家!確か、王族の親戚だっけ?使わない場所の見栄はしっかりしている。
そのおかげで助かった。
ちゃんと料理のさしすせそがある!
異世界転生モノだと無いのが多いがこの世界は【マジ×マジ】に近いのだから現代の感性に近いのだろう。
では久々のお料理といきますか!
さてと出来上がりました!
御飯に味噌汁に玉子焼きの完成!
ん!質素だって?
バカを言うな!!
これはれっきとした日本の朝食だ!米が恋しかったんだよぅ!
クレアの記憶を辿ってもパンばかり食べて居たのだから恋しくなるのは必然だ。
そして、お米を堪能するには味噌汁と玉子焼きに異論はないのだ!
納豆とかふりかけとかの心の声が聞こえそうだがその様な食材はありません。無念!
なのであるモノで今の心を満足するにはこのセットなのです。
はい、ですです。
箸も一応あるし、この世界でも生きていけそうね。
御飯を完食し、満足に浸っていると女の子が目を覚ましたようだ。
「やぁ、お目覚めかい?森で倒れていた所を助けたんだ。一応手当もしてあるが痛む所があるなら言いなさい」
貴族と言うか公爵家としての威厳や言葉遣いはどうなのって思うがクレアの記憶を除く限り、その様な教育をされてないので僕の記憶を使う事にした。
女の子は首を横に振ったので傷に関しては大丈夫だろう。
「あ、あの、私、さっき刺されたり切られたりして死にかけていたのに治ってます。何故でしょうか?」
恐る恐ると言った感じでお話する女の子。
「確かに貴方は私が見つけた時は死にかけていたね。ぼ、いえ私がヒールを使って治したわ。流石に貴方の右手を治す魔術は覚えてないね」
申し訳ないがこんな可愛い女の子の手首を切り落とす神経が分からないです。
僕なら捕まえて……これ以上は言えません!
僕の話を聞いて女の子は目を丸くした。
「あ、あのあの、私はお金も持ってないですし、治療代も払えません!どうやっても返しきれません!」
この慌てぶりは何だろう?
「お金目的や貴方に何かして欲しくてやった訳じゃない。ただ、あのまま貴方に死んで欲しくなかっただけよ。あっ!なら貴方はこれから私が助けたんだからちゃんと死なずに生きなさい」
これならこの子から何も取らないでおけるだろう。
こちとら貴族である。
そして、この子は見た感じ可愛いが平民だと思う。
お金も何も困ってないからクレア嬢は我儘になったのです。これ以上クレア嬢を甘やかしてはなりません。
女の子はありがとうございますと本当に感謝をしているのが伝わる。
「でも体の傷が残らなくて良かったよ。貴方可愛いからちょっと心配したの。それよりお名前聞いていいかしら?」
かしらって柄にもない言葉を使ってみたが違和感ない。
流石見た目お嬢様だ。キャラだね〜。
これを機会に少しずつ言葉を直すかね。
「はい、私はマリーナと言います仲の良い方にはマリーと呼んで頂いてます」
「いい名前ね、なら私もマリーと呼ぶね。私はクレアよ。好きな様に呼んでね」
「はい、クレア様」
いきなりの様に体が痒くなった。でもこの子からしたら命の恩人だからそう言いたくなるのかも。
「それより、お腹は空いてない?お粥を作ろうかと思ったのだけど食べれる?」
「お粥?なんでしょうか?ご、御飯を頂けるなんてその返す事も出来ませんのでもう大丈夫です」
う〜ん、これが文化か。
難しいね。
どうしよう。
あっ、ならこうすればいいか。
「なら、貴方の治した治療代を追加するわ」
そう言うと女の子は顔を青くした。
「貴方はこれから私のモノになりなさい。いい?」
その言葉を聞くとキョトンと首を傾げ、頷いた。
知らない人のモノになっていいの!?もっと貞操とかなんちゃらを考えて断ろうよ!
僕だってれっきとした女の子だった……。
あぁ、鬱だ。これが現実だ。
「なら、私が今から作る食べ物はしっかり食べなさい。貴方は私のモノなんだからまずは食べてそして、着替えなさい。そして、暫くは私のこの部屋から出ない事、いい?」
あの切り口を見て、間違いなく人に襲われたはずだ。そんな子を外に出すのはまずい。
ふと、疑問に思った。
この子が罪を犯したり何かした可能性もあるのだ。
余りに可愛くてそんなことしそうになかったので考えつかなかったが一応聞いておかないといけない。
「それと何故貴方は追われていたのか聞いても良いかな?」
それについては少し躊躇ったようだが頷いた。
……何故躊躇ったのだろう。
お粥を作り終えて、右手を無くしたマリーにあーんをしてあげた。
最初は断ろうとしたが命令したら素直に食べてくれた。
遠慮していたが一口食べたら凄く幸せそうな顔をして喜んでくれたので気分がいい。
雛鳥の様に早く早くとスプーンを待っているマリーが微笑ましくて、心が癒された。
服もちゃんとしたクレアのお下がりの服を用意して渡す。
右手は痛々しいが血はヒールで止まっているのでズキズキするみたいだが大丈夫のようだ。
落ち着いてからマリーの話を聞いてみると気分が悪くなるような話だった。
次も早く投稿します!