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美人悪役令嬢は生きる為に悪役をあえて貫く  作者: イブ
1章 一人ぼっちから始まる悪役令嬢
19/80

19話

投稿です!

何だかふわふわした気持ちになる。

暖かい何かが身体の中に入ってくる感じ、誰かが私を呼んでいる。



「ガハッ!あ、あれ?皆様どうなさったのです?」



目が覚めるとカイン達が心配そうに見ている。

上を見るとラクシエルが泣きそうな顔をしていた。

……状況を把握しました。




「私どれ位気を失ってました?」



ローズが答える。



「2分も経ってないはずですが私にとっては凄く長く感じました」



身体が動かない。

流石に強力な呪文との契約だったので体の負担が凄い。

何気にラクシエルに膝枕して貰っている事実。

このまま膝の上で眠っていたいと本能が言うがアレだけ派手に炎が暴れさせたので遅くなるのは色々問題だ。



「コレが呪文ですの。皆様如何でしたか?」



皆の顔が曇る。



「コレは貴族が偉い理由が解った。この力を使ってこの土地を管理していて、俺たちが使わせて貰っているのか」


「私は魔法使いで良かったと思いました。呪文の危険性を見れて理解しました」


「俺には無理だな。当事者で契約終わったら呪文をもう見たくないって思うだろうな」



「私の妹をこの様な辛い思いまでして救って頂いたのに私は初めてお会いした時の無礼を悔やんでしまいます」



皆さんは思った通りの反応だ。まぁ、今回は上位の呪文なので切羽詰まった契約でした。本当はもっと怖くないのだけどね。



「クレア殿、少しは良くなったか?治癒魔法をかけてはいるが気休めにしかならないのだ。すまぬ」



ラクシエルは落ち込む。

あの暖かい何かはラクシエルの治癒魔法だったようだ。



「大丈夫ですの。ラクシエルもありがとうございます」



一呼吸置いて唱える。


『我、癒しの理を制し者なり、元ある形へ戻れ、リーフヒール』


巻き戻しの様に体が治っていく様はいつ見ても奇妙で気持ちの良いモノではないね。


カイン達は私の呪文を見た事があるので全ての傷が治った事に驚きはしないモノのラクシエルは凄い驚きようだ。



「はぁ!?殆どの傷が後に残っても不思議ではかったし、今後も介護が必要な程身体に損傷があったのにどうしてだ!?」



「お伝えしてませんでしたね。私は聖属性の呪文をこの国で知られている全てを従えさせてますの」



ラクシエルの間抜けだ顔を初めて見た。



「これでも私はギルドマスターで貴族の事はそこそこ知っているのだが一属性の魔術を全て覚えた貴族、いや、王族は聞いた事ないぞ?」



そりゃそうだ。

原作では第1王子が炎と水と風と土の4つが使えてるだけで天才と言われていていたがその上をいくのがクレア嬢なのだから。

本来なら一つの属性の呪文なんて1つか2つ従えさせるのがやっとだ。

王族でさえ、4つまでしか扱えないが本来、炎、水、土、風、光、聖、溶、氷、木、雷、時空、無、ユニークとあり、ユニークには闇、空、音、塵などの他にも確認も取れてない様々な呪文がある。

その全てをクレア嬢は扱えるのだ。余りにも可哀想な設定をしたのだから能力位は慈悲で能力は高い。この事に関しては開発者様々と言う事だ。だが、原作では当て馬の為にしか使われてないのだがね。

身に宿すのは人間の常識内で4つが精々だ。

それ以降は呪文達が喧嘩して身体を壊すからだ。

まぁ、今は4つ以上の属性持ちはこの国には殆どいないのだが。

初代国王は7つの属性を使いこの国を創りあげたと言われているのを察してもらえればクレア嬢への良い加減な設定は理解してくれるだろう。

だが、そのおかげで今の私は助かっている。

これから起こり得る未来は能力位を上げなかった、周りを制御出来なかったから起きた事で少しずつ直していけばきっと私もちゃんとした未来を掴めるはずだ!



「これでも私も王族の親戚ですわ。初代国王の血を引いてますの。それに極める事は出来ましてよ。それをしないのは死に対する恐怖故に呪文へ手を出さないのです。高確率で死にますからね。先程の呪文も『インフィルノ』と申しまして、イフリートの管理下にある呪文ですの。その呪文との契約ですの」



ラクシエルは私の言葉に何か引っかかったようだ。



「クレア殿が天才だと分かったし納得しよう。先程の呪文は私も知っている。伝説級の魔術だ。まさか、炎の最上級の呪文を従わせたいと言っていたので『ファイヤーブレス』かと思っていたのだがな。聖属性のあの凄い呪文も見たのでクレア殿の事は呪文について詳しくのだろう。イフリートとは何だ?初めて聞く呪文だが」



いや、RPGではプレイヤー目線でイフリートも中級なのですがね。イフリートの呪文を従えさせる事により、塵の呪文への影響が変わる。

うん、長くなるのでその話は置いておく。

これって英霊や精霊や神族の類いが管理している理を借りるって事は知られてない?



「イフリートとは神族から堕ちた精霊ですの。まず、呪文とは理ですが私達貴族は当たり前の様に扱ってますがどうやって創られたか、呪文が現れたり複数の人間が扱ったり出来るか考えた事は皆様ないのでしょう。精霊や英霊などの管理者が居ますの。ファイヤーブレスはイフリートではなくサラマンダーと言う精霊の言霊、いえ呪文ですわね。あと、正確に言えば一つの呪文しか発動出来ないのではなく1人の精霊の呪文は1つしか発動出来ないのでイフリートの管理下の呪文とサラマンダーの管理下の呪文は同時に発動出来ますわ。ただ、違う属性同士だと反発したり、精霊同士が仲が悪いと発動出来ませんわね」



神話級の呪文も辺境の先にある場所へ向えば覚える事は出来るって言ったらラクシエルはびっくりするかな?



「なるほど、魔術とは奥深いのだな。魔法は自分の力を使うのだが魔術とは上位の存在の力を借りる力だったのか。ならあの強さなどは理解出来るな」



ラクシエルは納得したようだ。



「確かに魔術は強力ですの。私みたいな力の無い子供でも魔術で人を殺せます。しかし、魔法は自分を高めたら魔術をも超えますよ。呪文は結局管理下の10の1も無い力を借りているだけですからね。英霊とは大体が元々この世界の一流の魔法使いですの。私はまだ魔法は扱えませんの。魔法を扱えるように練習してますの。ここ2年あれば目覚めますわ。魔術は無力な私を守るそれまでの力ですわ」



私の発言にカイン達もびっくりしている。



「魔法って練習したら我々でも扱えるのですか!?」


「おいおい、クレア様はこれからも強くなるのかよ」


「クレア様!私も魔法を使える様になりますか?」


「魔法ってそんなに凄いものなの!?」


……いっぺんに言われても困ります。



「魔法とは自身の可能性ですよ。魔力がある方は魔法を使えるチャンスはありますね。開花するかは別モノです。魔国みたいなマナが豊富な場所なら必ず開花するはずですが、この大陸なら想いが願いがカギで発動する事もありますね。練習あるのみです」



ラクシエルは困った顔をする。



「クレア殿の知識はどこで手に入れたか気になる位博識だな。しかし、今回の様ないきなり死にかけるのはもう止めてくれよ」



私もあまり死にかけたく無いので了承する。



「ハイですの。コレは今後、身を守る為に対抗手段として覚えましたの。後はお家に帰ってから他の炎の呪文も従えさせますわ。前回ので解ったのですが強い呪文を従えさせれましたら下位の呪文達はすんなり受け入れてくれますの」



ラクシエルの顔が引きつる。



「危険では無いのなら文句は言うまい」


そして、真顔になる。



「どの炎の魔法も魔術も変わらない。この魔術達は身を守るより攻撃する方に特化している。確かにファイヤーウォールなどの防御魔術もあるが戦いからは逃げられんぞ?戦いの中で自分も誰かをも守る事は出来ん。この魔術は抑止力にはなっても守る事には向かないと心得ておきなさい」



そんなのは十分に心得ている。向こうが襲ってくるのだから守るより攻めた方が良い。守るとは言葉の綾だ。

立ち向かうモノを焼き尽くし、自分を守る。

だから、この力が欲しかった。この現状で第2王子に襲われてももう怖くはない。



「私は私に刃向かうモノを全て叩きのめすのです。私の運命は神でもなく私が決めますわ!」



「……そうか。クレア殿が知っている未来は戦わないとダメなのだな。だが、君が言ったのだ。魔族の私が欲しいとね。なら私は出来る範囲で君の力になるさ。もう、君が知っている未来は少しは変わったのでは無いのかい?君が戦わない未来を私は望む」



……そうか、カイン達もケイサツベライもエルザもラクシエルも仲間になったんだ。



「……ありがとうございます。私はもう1人ではありませんね。少し視野が狭くなってましたわ。では、私はもう大丈夫なので着替えても宜しいですか?」



私の言葉に皆さんは慌ててそっぽを向いてくれた。




訓練所から出るとユンファが惚けていた。

あの炎は見えていたのだろう。その証拠に野次馬達が逃げていく。



「ユンファ、ありがとうございます。コレでギルドマスターも解ってくれたでしょう」



コクンとユンファは頷く。



「とりあえず、来週に領地を視察に行こうと思います。お父様も帰ってくる前に確認の為にです。ワライクバ辺りをまずは見に行こうと思ってます」



私がそう言うとユンファはギョッとする。



「クレア様、ワライクバは余りに何も無いところですし、来週じゃなくても良いと思われます。最後に回るのが良いと思われます。その隣のザイズ辺り如何でしょうか?美味しいモノが多く素晴らしいと思いますよ」



ユンファの慌てて様に私は悪い笑みが溢れそうになるが堪える。



「そうですの?近くですので楽で良いかと思ってましたが隣から行けば楽しそうですね。ありがとうございますわ。ザイズはまだ私は行った事無いので良い経験になるでしょう。考えておくわ」



ユンファはホッとした顔をするのをラクシエルはしっかりと見た。コレからどうなる事だろうね。

後はラクシエルのお仕事だ。


「では、私は帰りますわ。またね、ユンファ」



私は途中までローズ達に護衛してもらい家に帰った。

いつもお読み頂きありがとうございます!

次で1章終わりです!

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