16話
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「その前に確認したい事がありますの。ギルドに所属している証明書か何か見せてもらえませんか?」
「ギルドカードの事でしょうか?構いません」
渡されたのは重みのある銀色のカードだ。触り心地は良いが見た感じただのカードだ。
「これがギルドカードですか。何も書かれていないただのカードみたいです。これ仮に失くして私が拾ったら私のモノと偽って使う事は可能なのでしょうか?」
「クレア様、そう思いますよね?」
カインはそう言うとギルドカードを私から取る。
すると銀色のカードに文字が浮かぶ。
「この通り、持ち主にしか有効では無いのです。持ち主以外が持っていてもただのカードなので意味をなさいない。他にも情報公開」
カインがそう言うとカードから光る文字が浮かぶ。
書いてあるのはカインの名前やPTめい、ランクなどの個人情報と受け付けている依頼はありませんの文字だ。
「この通りです。自分のスキルを見たり、他にも様々な事が出来ます」
このギルドカードはいい。
「形状はこれだけですか?」
「形状?どう言う事ですか?」
「この手の身分を明かすモノは」
すると以外にもユグルから私の疑問を答えてくれた。
「あっ!そういや、傭兵ギルドの連中はダグが同じようだったよな」
「クレア様、そう言われましたら商業ギルドは入ったら必ず名刺と言うものを与えられるらしいです。ただその名刺には個人しか持てず、どう言う理屈か分からないのですが簡易の自己紹介の紙を複製出来るとか聞いた事あります」
ローズも同じ様に知っていた様だ。
「私は魔法使いギルドに所属してますがそう言うのはないですね。登録は私の肩にある刻印ですね。これは魔法を効率良く発動する為のモノです。ちゃんと悪事に走った時はこの刻印が戒めとなるので消えないこの刻印がある意味魔法使いギルドの者だと示してます。それに魔法使いギルドとは非公式のギルドになります。会員は本部に申告して魔法使いの刻印を刻んでます」
サリーから興味深い話が出たが今回は話の内容が違うので後で機会があったらまた聞こう。
「公式のギルドには必ず何らかの身分を示すモノがやはりあるのですね」
この事がちゃんと知りたかった。今後の為に。
「それじゃ、確認も取れましたしギルドに向かいましょう」
ギルドに着くとやはり周りの冒険者は私を空気の様に扱う。
……こう冒険者と言えば絡んできたりするバカが居たりするのがセオリーだと思うのだけど行儀いいのかな?しかし、シカトされている感じがしてちょっとイジメにあった気分だ。
「ようこそ冒険者ギルドへ。お嬢様は今回はどの様なご用件ですか?」
安定のユンファさん。
ニコニコと近寄ってくる。
「どうも、今回はここのギルドマスター居ます?」
ユンファは珍しい顔で惚ける。
「ギルドマスターでしょうか?構いませんがどうなさったのです?」
「えぇ、最近の領地の荒れは私のお父様も困ってます。領地を管理するのは私達貴族の仕事ですが民を守るのは王よりこの国への貢献する事により権力を許された冒険者ギルドのお仕事ではありませんか?見た感じ仕事してる方々はよさそうじゃありませんの。以前視察に入った時は良かったのに何か原因があるとしたら、もしかしたらここのギルドの長の質が悪いんじゃないかと思いまして一度お会いしようかと思いますの」
ユンファは凄くにやけそうになっている。いや、にやけているな。
「そうですか。その様な件でしたら早急に伺いましょう」
そして、ユンファは私に近づき小声で話す。
「お忍びですか?それとも公式にですか?」
「お父様には内緒ですので非公式でお願いします。平民の噂などお父様は聞かないので私の名前は出しても良いですわ」
私の名前を使って仮にお父様の耳に入っても信じないだろう。
「畏まりました。ではこちらの中へお入りゆっくりしていて下さい。すぐに呼んで参ります」
ギルドマスターをシメるといったらユンファは気が緩んでいる様だ。
「流石ユンファね。平民にしとくのが惜しいわ。それに冒険者ギルドの副マスターなのは更に惜しいくらいだわ。貴方位有能な人材が居るのならギルドマスターが急に一身上の都合でお辞めになっても大丈夫ね。いや、ギルドマスターからしたら貴方みたいな有能な部下が居て助かっているのかな?それでこのギルドは成り立っているって聞いても私驚きませんわ」
ユンファは珍しくニヤニヤした表情を見せる。
「まさか、クレア様にもそのようなお言葉を頂けるとは思っていなかったです。コレでも幼少期は貴族の一員でしたので、有能かどうかは自分では判断がつかないのですが皆様からそう言って頂けると自信に繋がります。では、呼んできますね?その後ろの冒険者達も一緒でしょうか?」
「彼等は今私の護衛なのよ。ギルドマスターを信用してないの。所詮は見知らぬ平民、貴方の様に貴族とのやり取りが出来るとは分からないのですから。それでも1人で会わないといけないのかしら」
「いえ、仰る通りです。では、暫しお待ち下さいませ」
満足そうなユンファを見送る。
「あの〜、先程の話を聞く限り私達は居ても良いのでしょうか?」
サリーが不安そうにする。
「安心なさい。もし、難しい話が聞こえてきたら貴方の愛しのユグルみたいに聞いてますって装って寝ておけば良い」
「え、いやっ!?クレア様?俺は寝てないですよ!」
「……いえ、貴方は口数が少ない時は心の中でサリーとイチャイチャしているのがでしょう?」
「なんで俺の心の中が分かるんだ!?」
「バカユグル!否定してよ!恥ずかしいじゃない!」
……この空間で2人でイチャイチャし始めるとは越えたものの余裕か。悔しくないもん!
「2人共、コレからギルドマスターが来るんだ。イチャつくのは後にしろ」
ローズとカインが2人をからかいながら注意する。顔を真っ赤にしたサリーを見て優越に浸っている私は別に羨ましいとは思ってないぞ。
そんなやり取りで時間を潰していたがコンコンとノックがなる。入るように言うとユンファと若い女性が入ってきた。
「クレア様、こちらがギルドマスターのラクシエルです。では、私は外に居ますね」
そう言ってユンファはすぐに外に出て行く。
「今、副マスターから名を聞いた様だが、ラクシエルと言う。この度は私の不手際で貴方の時間を取らせた事を謝罪する」
ラクシエルと名乗った女性は見た目が凄く綺麗だ。
服は露出度が高いが嫌な露出度じゃない。踊り子を連想させる服だが腰にスカーフを巻いており中が見えそうで見えない辺りこの女性理解している。それに出る所が出ており褐色の肌に流れる様な銀の髪が腰まで伸びており頭を下げるとより輝いている様に見える。
顔もキリッとしていて出来る女性って感じで良い。
「ねぇ、この女性をずっとお持ち帰りしても良いかしら?」
「クレア様、流石にそれは人身販売と変わりませぬ」
ローズがツッコミが入る。
「冗談ですわ」
ラクシエルさん、私の本気の言葉に顔が強張っている。
つい本音が出てしまった。
失敗失敗だね!
「では座りなさい。ギルドは貴族との交渉などは本来してはならない。王族が決めたルールですが知ってますよね?」
「あぁ、知っている。それに貴族は立ち場は上だがギルドマスターは王族の権限で貴族よりやれる事は多い。貴族からの横暴も守られている。それでも貴方はここに来られたのだろう?噂通りの方のようだな」
「噂がどれを指すのか知りませんが私の事をご存知の様ですね。ユンファは私の噂は知ってますの?」
「そうだな、私が知る限りだと複数の貴族を没落させたなど貴方の怒りを買うと破滅しかないと聞いたな。だから、貴族の間でも貴方には近寄らないのが暗黙のルールになっていると聞いておる。使用人達にも対してもよくない噂を聞いた。まぁ、父が純血派の貴族であるから仕方ないのだろうがな。ユンファは噂までは知らないだろう。貴族と繋がりがあっても貴方は良くも悪くも貴族達には耳に入れて欲しくないのだろう。特定されて没落したくないしな。だから平民にはこの手の話は流れてない。だが我儘で恐ろしいお嬢様だと認識はされておるだろうがな」
……凄い言われようです。
傷ついてないもん。貴族からハブられているの位分かってるもん。ふん、四面楚歌だと思ったんだからね。
いじけそうになる心を直し話す。
「ユンファが知らないのならいいです。それにしても私って凄い言われようですね。平民に話が回ってないのは良かったです」
「貴方はそれを聞くためにこちらに来たのかい?」
「あら、せっかくのお話ですよ。もっと交流を深めましょう」
「そうしたいのだが貴方が言うようにギルドの不祥事の後始末をしなくてはならないので時間を短めにお願いしたい」
「それは今まで起きた不祥事?それともコレからおこる不祥事?どちらの方でしょうか?」
私は不敵に笑顔を作る。
ラクシエルは私の言葉に警戒心を出す。
「……ただの我儘なお嬢様じゃないようだね。それについてはノーコメントだ。我々の不祥事は我々で解決する」
今の私はきっと悪役の顔をしているだろう。
「素直に言いなさいな。弱味になる話はしたくないと」
ラクシエルから怒気が出る。
それに合わせてローズが私の前に出て来て、後ろでも3人の動く気配を感じる。
「あらあら、私は貴方に怒らす事を言いましたか?それは申し訳ありません。貴方が無能なので私の平民達が減っているのが現状でしょう?それを指摘しただけで貴方が怒るとは思わなかったのです。許して下さいますか?」
「申し訳ないが話し合いをする気がないのなら帰ってくれ」
「話し合いは今してますわよ」
「本題に入れ。何を話し合うのだ」
私はすっと悪役顏から微笑みに戻す。
「冒険者ギルドの今回の首謀者の件は私が解決するので貴方は私のモノになりなさい。あと、訓練場所借りても良いかしら?」
私の言葉にラクシエルはポカンとする。
「貴方は何を言っているのだ。ギルドは貴族と癒着してはならないのだ。ましてや貴族のモノになるなんて問題外だ」
「あら、ギルドマスターである貴方は要らないわ。確かに色々やってもらうけど貴方にあって貴方を欲しくなりましたの。貴方を私に従わせる切り札もあるのよ。貴方の秘密、この場で言われたくなかったら私のモノになりなさい」
「ギルドマスターの私じゃない私を……」
ラクシエルは少し悩む。
「意味が分からん。私はギルドマスターである以上仕事と私情は分けている。だから組織を任されておる」
「そう、なら言っても良いのね?」
そう、ラクシエルの事を私は一方的に知っている。
「何を言うのか知らんが貴方に従うようなやましい情報を持ち合わせておらん。言いたいなら言えば良い」
だからまた前世の知識借りるね。
「私が欲しいのは魔族のラクシエル・シュバルツ貴方よ」
ラクシエルの顔が完全に固まった。
お仕事が忙しく仕上がりが一話しか出来ず思ったより話が長くなると予定がずれちゃいました。
いつもお読み頂きありがとうございます!




