11話
初めてのイケメン登場!
カインさんもイケメンなはずだけどねw
離れに戻り、マリーにお留守番をお願いする。
「クレア様、ノックが5回だと出ていいのですね」
「えぇ、この屋敷周辺には悪意あるモノはこれませんの。使用人ならノックは2回しかしないので5回は私だけです。私が帰ってきた合図です」
「なんだか2人の秘密みたいですね、えへへ」
ニコニコとマリーは言う。
ちなみに5回の意味は愛してるのサインです。
外に出るとしばらくしてローズとカインが近づいてくる。
「おはようございます。クレア様、少しお耳に入れて欲しい情報があります」
カインからいきなり有益そうなお話が来る。
「えぇ、もちろんよ」
「はい、我々のクランのリーダーがクレア様のお話を聞き、お会いしたいそうなのですが宜しいでしょうか?」
もちろんいいですよ!このタイミングばっちりだ。丁度手詰まりになって来ていたので助かる。しかも第2王子派と争っているんでしょう?なら有益な情報を頂けるチャンス。
「いつでもいいわ。そちらに合わせるので会える日をまた教えてほしいわ」
「うちのリーダーはいつでも良いそうなので今日会いますか?」
ずいぶん早いね!この領地に居るの!?身軽なのかな?
「今日はギルドに向かおうとしてましたが良いでしょう。クランのリーダーさんに合わせて下さいませ。あと、お前知らないので教えて下さい」
「では、リーダーに伝えますね。リーダーの名前はケイトと言います。副リーダーはレイチェルです。ちょっと待って下さい」
そう言うなりカインはあの私の欲しい袋アイテムボックスから紙の様なモノを取り出す。
「紙をどうしますの?」
思わず聞いてしまった。
カインはニカっと笑い言う。
「見ていてください。よし、ケイト殿、只今より、クレア様から面会の許可を頂きましたのでそちらに向かいます」
そう言い終えると紙が急に折れて行き、鳥のような形に変わると飛んで行ってしまった。凄い!
感動している私にドヤ顔するカイン。
「今のは伝書紙と呼ばれる魔道具です。平民にも使える素晴らしいアイテムです」
「良いですわね。理が働いているのかしら?中々面白い仕組みなような気がします。作った方は素晴らしいですわ」
「クレア様が喜んで頂けて嬉しいです」
「はい、では早速ですが行きましょう。案内をお願いするわ」
それにしてもローズさんはずっと喋らず私の半歩下がってくっついてくるのだけど、昔の大和撫子的な何かですかね?
カインに連れてこられた場所は酒屋だった。
中に入っても繁盛していなさそうで人が居ない。
私がここっと聞きたい顔をしたらローズが察してくれた。
「クレア様、ここは隠れ蓑的な場所なのです」
なるほど、それなら納得だ。
しばらく待つ事になったので飲み物を頼む。
「俺は生な、クレア様も生はのまないにしてもワインやカシアとかもありますよ」
「……私、まだ10歳ですの。お酒を飲める年ではありません」
お酒は15歳からだとこの国ではなっている。
だが、私のこの発言にカインもローズもびっくりしていた。それに見知らぬバーの店長にも、何故だ?
「いや、クレア様の話し方や身体的に14〜15歳辺りかと思ってました」
確かにマリーみたいに可愛くないのだがマリーと同い年だよ?
「コレでもマリーと同い年です。確かにマリーみたいに可愛くありませんがその反応あんまりじゃありませんの?」
「あ、いや、クレア様はどちらかと言うと大人びて美しいと表現できる方です。その機嫌を直して頂けませんか?」
なんかご機嫌取りによいしょされている気分で少し膨れてしまう。
「あっ!そうだ。クレア様に紹介された宿かなり良かったですよ!」
エルザの宿はやっぱり良いようだ。エルザの宿の話が出てきて嬉しくなったので機嫌が直る。
「ふふん、でしょ?私は人を見る目があるのです」
「ですね、あの婦人はタダならないと思いましたよ。なんか全ての情報を持ってかれた気分です。それに泊まりに来ない奴もたまに来るのですが何者かと思う身のこなしで凄かったです」
あれ?私の時とは違う?私の時は必要な情報を与えてくれたのだけど……あれ?なんで欲しい情報をすぐに分かったのだろう。いや、不自然だ。あの時は何も考えてなかったのだけど改めて見るとエルザは何者だろう。狸の寝床ね、私も行ってみようか。
「すまない!待たせたな!」
外から入って来たのは短髪のイケメンだ。それに紫色のショートヘアの女性。
「貴方がクレア様で間違えないですね?私はケイトと申します。以後お見知りを」
「副リーダーを務めてます。レイチェルと申します。私も以後お見知りを」
いきなり入ってすぐに流れるように跪く姿に違和感が無かった。びっくりした。
「こちらこそお初にお目にかかります。レイナス・クレアと申します。どうぞクレアの名でお呼びくださいませ」
ケイトと言うイケメンはびっくりしている。
「本当にあのレイナス家の令嬢がね」
「はぁ、どう言う事でしょうか?」
急に言われたので私も苦笑いしてしまう。
「いえ、私3年前にクレア様との面識がありまして、その時、クレア様は私の主人であった伯爵を没落させた姿を見ていたので今の現状に大変びっくりしてます」
……ごめんなさい。ごめんなさい。あれは私であって私じゃないの!?
これ、仕事失って貴族に恨みがあるの私にじゃないの?
もうね、体から血の気が無くなるよ。
「そうでしたか。仕事場を失う事になってしまって申し訳ないです」
「いや、アレは助かりました!あのハーメルン伯爵は平民をおもちゃにする方で有名でして潜入して確かめてましたがクレア様が没落させなければ沢山の方々が被害に遭ってました」
クレア嬢の記憶を見てもニタニタ笑いながら近づくハーメルン伯爵の顔を思い出して理解した。気持ち悪かったので色々理由つけて父親に頼み没落させたのだ。クレア嬢は良くも悪くも素直なのです。
「では、担当直入に言います。我々はクレア様レイナス家につこうと思います。本来は貴族に属さずであるのですが予定が変わりましたしクレア様の考えを持つ方に味方するのが一番だと幹部達と話し合いました」
「ちょっと待って、レイナス家に着くのはやめて欲しいわ」
そう言うと皆がびっくりする。そう言う話をする為に来たのだから。
「それはどういう意味ですか?」
そりゃそうおもうよね。
「言葉の通りです。私の今までをご存知でしょう?私は今お父様より離れへ家の監視下から無くなりそれで私はやっと行動出来る様になりました。レイナス家と私では考えが違います。着くのでしたら私について下さい」
ケイトは考える。
「つまり、今までの行動は自分を動かす為にワザとやっていて、これから行動を起こす為に動いているのですね」
「そうです。ただ、私個人には権力はありません。ですので無かった事にしても良いです。しかし、その時はつかなかった事を後悔する事でしょう」
私はなるべく不敵な笑みを浮かべた。
「組織としては保留にしときましょう。ただ、私としては貴方と協力したい。どうかな?」
「寧ろ、それを願ってます」
だいたいの話が纏まってきた。
「それと貴方はこれから何をなさるのか尋ねても宜しいですか?」
「それはシッカー伯爵のご退場とギルドの正常化、貴方達の信頼を得る事がまずですね」
そう言うとレイチェルが話に入る。
「貴方は何を知っているのですか?」
「さぁ、何でもは知らないわ。私は私の知っている事しか知らないわ。そして、今後、貴方達が第2王子派と争って全滅するかもしれない未来も想定はしてもまだ知らない」
ゲームの知識だが、カマをかけないと情報が掴めない。
「……どうやら、我々が窮地に立っているのも知っている様だね」
原作だと1年経たずに消えるはずだ。この頃から何かしらあったと予想はつく。
「そこで取り引きよ。私に貴方達の情報を提供しなさい。第2王子派の貴族の情報よ。些細な事や悪い事全部何もかもよ」
「それは一方的過ぎて取り引きとは言わないと思う。我々も命を賭けて集めたモノだ」
そうだよね。なら私は大胆不敵に笑う。
「貴方に第1王子と面識のチャンスを与えてあげる。これなら問題ないでしょ?」
悪い事してそうな雰囲気が書きたかったのですが如何でしょうか?
お読み頂きありがとうございます!




