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pray for friend  作者: キャラメル★いろ
第2章 phantom
7/7

必然の出会い

私はフラフラと声のする方へ歩く。


その間にも、頭の中にはずっと私を呼ぶ声が聞こえていた。


やがて屋上に続く階段の前に立つと、その声はもう聞こえなくなっていた。


階段を上がり、屋上へ出る扉へと手を掛ける。


そこでようやく気付いた。


「あっ、鍵ないや…。」


普通屋上というのはなかなか入れてはもらえないもので、鍵も先生が管理している。

そして、[声が聞こえてきた]と理由でホイホイ鍵を貸してくれる先生などいないだろう。


再び重くなった心で、試しに一回だけドアノブを回してみた。


すると、キィーと軋む音をたてながらドアが開いたのである。


「あ、あれ?誰かいるのかな?」


そう思って恐る恐るドアから顔を出してみる。

しかし、人影らしきものは見当たらない。

もちろん、自分を呼んだと思われるものもどこにもいなかった。


「やっぱり…ね、」


今思えば、そんな都市伝説など小学生でも信じないだろう。

私はどうかしていた。


「さぁてっと、先生に鍵空いてたこと報告しなきゃ。今日はもう帰ろう。」


そして振り返ったそのとき。


「……っ⁈うわぁ!!」


いつの間にか、私の後ろに見知らぬ女の子が立っていた。

私は突然現れたその少女に驚き、悲鳴を上げながら尻餅をついてしまった。


「さっきからずっと、ここにいたんだけど。」


その少女は少し申し訳無さそうにつぶやいた。

しかし驚いた。今まで全くその少女の存在に気づかなかったのだ。


「あ、あなたが、私を呼んだ人…?」


「……えぇ。」


「あなた、それ、昔の制服…?」


その少女が着ている制服は、以前パンフレットに乗っていたこの学校の昔の制服だった。


「あなたは…誰なの?」


「私の名前は、中畑零。この屋上にずっといるわ。…"願い人"って聞いたこと、あるかしら?」


「…願い人……」


昔の、私の大好きな本に書いてあった。

困っている人々の願いを叶えて、みんなが幸せになるという物語であった。

"願い人"は、その存在は科学的に証明されておらず、あくまで都市伝説の中での存在であり、現実にいることはないとされていた。


「願い…人……。まさか、あなたが?」


「………。信じられないって顔、してるわね。」


それはそのはず。願い人などこの世にいないのだから。


「でも、あなた普通の人間に見えるよ。願い人なんて、そんな非科学的なもの…」


「そうね。でも、普通の人間には私の姿は見えないわ。」


「……え?」


「強い願いを持つ者にしか、私たちのことは見えないわ。試しにホラ、触ってみる?」


そう言って零は手を差し出してきた。

そっと触れようとすると、なんと通り抜けてしまったのである。

思わず自分の目を疑ったが、彼女の言ってることが仮に本当だとしたら。


「あなた、本当に…!」


本当にこの人が願い人だとしたなら。


私の願いも叶えてくれる?


藁にもすがる思いだった。


「あなたが本当に願い人だとしたら、ねぇお願い。私の友達を、シエを助けて!」


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