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プロローグ
「う…うぅ…」
とある小学校の保健室。足に深い切り傷を負って泣きじゃくる私の傍らに、暗い面持ちでキミは佇んでいた。
「…ごめん。あたしのせいで…」
その子がようやく口を開き、こう言った。違うよ。全然、キミのせいなんかじゃないのに。
「……うぅ…」
泣きながらも首を横に振る。
足の傷がズキズキと痛む。でも私には、キミが自身のことを必要以上に責めていることの方が嫌だった。
私はなんとか声を絞り出した。
「…ちがうの……。きずが……痛いんじゃないの…。私…は……、私は……」
キミは少し驚いた顔をして、私に告げた。
それは先程のような謝罪や、自分自身を責める言葉ではなく、強い決意だった。
「これから先、どんな困難なことが待ち受けてたとしとも、あたしが護ってあげる。だからさ…」
キミは今までにない、本当に優しい顔で言った。
「だからさ、笑ってよ、ね?」