大鎌
4日後。
全員各々の部屋で外出の準備を始めていた。
そんな時、トキの部屋に誰かが訪ねてきた。
リオ「入っていいー?」
トキ「ん・・・あぁ、どうぞ」
気怠げに返事をする。
リオ「さんきゅー」
それに答えると、少し足早に部屋に入ってきた。
トキ「もう出発?まだ早い気がするけども」
リオ「まぁ時間はまだ余裕があるよ」
トキ「・・・じゃあなんでここに?」
リオ「まぁあれだよ。ちょっと話したいことがあってね」
リオの表情が若干曇る。
それを見て察したトキが、質問を投げかける。
トキ「・・・なんだ?雀の話か?」
リオが少し驚いたが、直ぐに表情を作り直した。
リオ「そうだね、ちょっと辛いかもだけど、大丈夫そ?」
トキ「まぁ・・・多分」
リオ「じゃあ話すね」
トキ「・・・」
リオ「単刀直入に聞くよ」
トキ「なんだ?」
リオ「雀を生き返らせる方法があるって言ったらさ、信じる?」
余りにも真面目な顔でビックリなことを言い出すもので、若干トキも動揺する。
トキ「・・・急に凄いこと言い出すな」
リオ「突拍子も無い話なんだけどね」
トキ「信じるか信じないかと言われると・・・まぁ信じたいかな?」
リオ「ふ~ん」
トキ「それで?流れ的にリオがその方法を知ってるのか?」
希望を抱いて、トキが尋ねる。
しかし、リオの答えはトキの希望とは違うものだった。
リオ「いや?分かんない。」
トキ「・・・は?」
リオ「私自身は知らない」
トキ「えぇ・・・いや、リオ自身は知らないってことは、他の誰かが知ってるってことか?」
リオ「ざっつらいと。ここから少し離れた街にね、治癒に長けたすごい魔人がいるんだってさ」
トキ「その人なら蘇生が出来るってことか?」
リオ「ハッキリ出来るって言ったわけじゃないらしいけどね。出来そう・・・くらいの感じ」
トキ「はぁ・・・」
リオ「時間があったらさ、今度行ってみない?」
トキ「まぁ・・・いいけども」
リオ「よし!決まり!!!」
そういうと部屋のドアまで歩き出し、ドアノブに手を掛けた。
リオ「んじゃ、私はこれで。出発の準備しといてね~」
トキ「あぁ、了解」
バタン。
再び静かになった部屋の中で、トキは悩んだ。
トキ(蘇生か・・・出来るものなのか・・・?てか、それってカノン達にも伝えてるのか?)
全員に伝えるなら、出発のタイミングで言えば良いものを、
わざわざ部屋に来てまで伝えた理由が分からなかった。
トキ(そういえば、パルスに魔人の蘇生が可能か聞かれた時に、リオは聞いたことないって返事してたよな・・・)
色々と気になることはあったが、今は雀の墓参りが優先だった。
カノン「よーし!それじゃ出発!」
トキ「墓地の場所は分かるのか?」
カノン「大体の場所は把握してるよ」
ルカ「お供え物とかって持って行った方がいいですよね?」
リオ「私はビール持って行くよ。」
パルス「雀さんってお酒飲んでたんですか?」
リオ「最近は飲んでなかったけど、少し前までは酒好きだったねー」
ルカ「一応僕もハニワ持ってきたんですけど・・・」
カノン「ハニワ・・・?」
ルリシア「センスない・・・」
ルカ「ヒドい!!!」
そんな他愛の無い雑談をしながら、一行は墓地へと向かって行った。
数十分後。
パルス「着いたね~」
カノン「墓地なんて初めて来たよ」
トキ「ん?」
ふと、トキが人の気配を感じ辺りを見渡す。
そこそこ広い墓地だが、カノン達以外どうやら誰も居ないようだ。
パルスとルカやルリシアが先を急ぎ、既に墓に水をかける用意をしている。
トキ「あれ?そういえばファリスってどこ行ったんだ?」
カノン「ファリスなら山に戻って行ったよ。機会があったらまた訪ねてみよう」
トキ「そうだったのか」
パルス「ほら男子!早く行くよー?」
ルカ「そうですよ男子ー」
ルリシア「はやくー!」
カノン「ごめん今行くー!」
トキ「分かった分かった!」
リオ「私を男子として括るな!」
パルス「てか皆!墓地でのマナー知ってる!?」
カノン「ハウスで習っただろ・・・でも良く考えたらハウス内で使うことないよな・・・」
ルカ「あそこって、無駄に日常生活のマナーとか教えて来ますからね・・・」
ルリシア「ぼくでもしってる!」
わちゃわちゃしつつ、雀の墓石の前に座り込み、お供え物を置いたり、水をかけたりしている。
全員で目を瞑り手を合わせる。
その時だった。
???「こんにちは。」
全員(・・・!?)
バキイイィィッッ!!!!
トキがポケットに入れていた骨の笛が砕け散る。
頭上から女性の声がする。
全員が、すぐに頭を上げて姿を視認しようとした。
しかし、まぶた以外の全身が一切動かない。
それどころか口も動かないため、言葉を発することも出来なかった。
まるで全身が鎖で縛られているように、動きが制限される。
???「ちょっと質問してもいいかな?」
・・・声は聞こえるのに返答出来ない。
そして、この身体の制限が、魔力によるものではないとカノンは察した。
パルス(なにこれ・・・!?身体が・・・というか言葉すら・・・何も出来ない!!)
リオ(身体が・・・!どうなって・・・いや、この声とこの技・・・どこかで・・・!)
カノン(これは魔力じゃない・・・かといって、殺意とかそんな安っぽいものでもない・・・!)
???「君達ってさ・・・もしかして魔人?」
その瞬間、カノンの口だけが動くようになる。
カノン「まっ・・・まずは貴女が何者かを・・・!」
???「質問に答えて貰える?」
その時、地面に何か金属の物が擦れる音が聞こえた。
カノン(金属・・・?武器だ!相手は何か武器を持っている・・・!恐らくだけど、コイツは味方じゃない・・・!)
???「早く。」
カノン(どうすればいい・・・?正直に答えるべきか・・・?相手が魔人だとして、どう答えればいい?)
(こうなったら・・・一か八か!!!)
「・・・人間だ。」
トキ(敢えて嘘をついたか・・・!)
リオ(どうなる・・・!?これが吉と出るか凶と出るか・・・!)
???「へぇ・・・」
少し間を開け、再びカノンに話し掛ける。
???「ウソ、ついてるよね?」
カノン「・・・!?」
トキ(バレるか・・・!?)
リオ(身体が動けなくとも蒼龍なら出せる・・・!でも、墓地というこの場所で魔力を使う訳には・・・!)
???「・・・君のことでしょ?個室404、赤劍の魔人・カノン」
カノン「なぜ・・・!」
???「噂になってるよ?ハウスから脱走した魔人がいるって・・・」
「あっ、赤劍の魔人っていうのは私が適度に作った二つ名だから気にしなくていいよ。」
カノン「一応聞くけど・・・魔人って知ってて僕らをどうするつもりなの?」
???「え?殺すけど?」
カノン「・・・だろうとは思ったよ・・・」
パルス(相手が敵なのは分かったんだけど!一切身動きが取れない状況でどうすれば・・・!)
リオ(やるべきか・・・!?蒼龍を・・・!)
???「まぁ言ってしまうと、その『鎖』を付けてる対象に攻撃することは出来ないんだけどね?」
カノン「鎖・・・!?」
???「だから一度解かないといけないんだけど・・・墓地内で人殺しは避けたいんだよな・・・」
「移動させよっか。闇黒・デジョネーター」
そう唱えると、カノン達の身体を黒い光が包み込まれる。
数秒後、その姿勢のまま何処かへ転送されていた。
普通の草原のようだ。
???「墓地から1km・・・まぁいいでしょう!闇黒鎖・解除」
全員の『鎖』が消える。
すぐさま立ち上がり、各々戦闘体制になった。
声の主は、小柄な少女であり、身の丈よりも大きな鎌を持っている。
???「最初に自己紹介だけするね?」
少女はクルリと一回転して、鎌を構える。
???「私の名前はメサ。本名な別だけどそう名乗ってるよ。短い間だけどよろしく。」
カノン「・・・!」
自己紹介が終わると同時に、全員同時に技を放った。
カノン「赤劍・ブレイド!!!!」
トキ「魔拳・一閃!!!」
ルカ「紫電刀・天!!!!」
リオ「蒼龍・突流!!」
ルリシア「プロトコル・翠槍・解!!!」
パルス「赤銃・スナイパーライフル!!!」
劍、拳、刀、龍、銃弾、槍。
全てが凄まじい速度でメサに向かって飛んでいく。
しかしそれよりも速く、メサが鎌を振るった。
ヴオンッッッッ!!!!!!
・・・全て消滅した。
鎌に触れた攻撃が消し飛ばされる。
ブシャアアァァッッ!!!!
トキの腕の肘から下が消滅し、断面から血が吹き出た。
ルカの刀も半分以上が消滅している。
リオの龍に関しては、頭部が一刀両断され、胴体も全て消し飛ばされた。
トキ「うっ・・・!?」
ルカ「刀が・・・!」
危険を感じ、2人が後方へ避難しようとする。
しかし、鎌はもっと素早く動いており、一瞬にして2人を切り裂いた。
2人共腹を切り裂かれているが、鎌によって股関節から肋骨辺りまでが消滅していた。
ズギャギャギャギャギャギャギャギャアアッッッッ!!!!!!!!!
目にも留まらぬ速度で2人を切り刻み、1秒経つ頃には、ルカとトキはそこから居なくなっていた。
カノン「何が起こって・・・!?」
メサ「いつもの口上を言っておくね。魔人は全員殺す。誰であろうと絶対に」
続く
きなです。メサさん初登場回です。わざわざ活動報告にも書いてたのでね。ちなみに登場が想定より1話遅れたのは内緒




