未来からきた転校生
今朝の教室はいつもより騒がしい。
どうやら転校生が来るらしい。
「女の子らしいよ」
「男って聞いたよ」
予鈴が鳴って、皆が席につく。
おしゃべりはおしまい。
私達の先生はとても厳しい。宿題を忘れると廊下に立たせるし、給食を残すのも許さない。
ガラリと教室の扉が開いて、先生がきた。
「きりーつ」
学級委員が声を上げて、皆は席から立ち上がる。先生はいつものように威張りながら、教室に入る。「れーい」
学級委員の声に皆は頭を下げる。
私達の先生はとても厳しい。起立や礼が揃わなければ、何度もやり直しをさせる。
「転校生を紹介する」
先生は教室に転校生を招き入れた。
「先生」
転校生の女の子が、先生に声をかけた。
「先生はおかしいと思います。皆、先生を怖がっています。先生はおかしいです」
彼女の言葉に、礼のままで頭を下げていた皆はビックリして頭を上げた。転校生は、眼鏡をかけたお下げ髪のおとなしそうな女の子。
先生も驚いているみたい。
私は、私達がおかしいなと思っていた事をハッキリ言う彼女を『未来からきた人みたい』と思った。