きみの居場所はどこ?
僕はわるくなかった。しょうがなかったんだ。
夜のデートで海にきていた。きみは死にたかった。だから僕と心中した。でも、僕はいやだった。こわくなって、海から這い上がった。
と、いってもーーそれは前世で、今世の話ではない。僕は、この海に家族と来てきみが目の前にいるから思い出したのだ。
きみが今世の妹の足を引っ張っている。
「お兄ちゃん、助けてッ」
僕は助かったあと、なんどもこの海にやってきた。警察署に行くべきだったのだろうが、僕は天邪鬼だから、きみが亡くなった海で死のうとした。でも、きみは毎回、不思議な力で僕を入水させなかった。
そして、その言葉の続きがある。言ったのだ。私を忘れたら許さない、と。
「いいよ、死んであげる。」
僕はきみとともに、海へと沈む。僕は前世を忘れていた。だから受け入れよう。でもね、僕ときみは兄妹なんだよ。異母兄妹なんだ。
「憎いよ、とても。」
死んだ今なら、きみを苦しめることができる。僕はわるくなかった。ほんとうに、しょうがなかったんだ。きみがわるいんだ。
ーータスケテ!ーー
「うるさい、黙れ」
きみがジタバタ動くが何発か殴る。もうきみは助からないね。ざまーみろ。
きみの居場所はどこ? 海なんだねーーじゃあ、地獄にしてあげる。