表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/19

第16章:静かな決意

ラブホテル「ルミナ」の一室。仮設の空間には、わずかな蛍光灯の光が淡く揺れていた。


仁、酒井、みのよ、そして管理人。それぞれが口をつぐんだまま、テーブルを囲んで座っていた。


しばらくの沈黙のあと、仁が低い声で言う。


「……ここまで来た。あとは、どう動くかだ」


「このまま警察に持ち込んでも無駄だろうな」

管理人がぼそりとつぶやく。「川口と西村の関係、事件の隠蔽……」


みのよが震える声で言う。


「でも……逃げるわけには、いかない。私は……母のこと、父のこと、全部知ってしまった。知らなければよかったなんて思わない。だから……」


言葉が詰まり、彼女の視線が宙を彷徨う。その隣で、酒井が手を組み、テーブルを軽く叩いた。


「なあ、世間に流そうぜ」


全員が彼の方を向く。


「ネットでさ、配信する。動画でも文章でもいい。写真も手紙も、ぜんぶまとめて、俺たちが持ってる証拠を“外”に放つんだ。隠しても、どっかに残る。警察に潰される前に、世間に叩きつける」


仁が眉をひそめる。「……炎上覚悟か」


「覚悟?もう決まってるだろ?」

酒井は不敵に笑って言った。「みのよの父親も母親も、命がけで逃げて、生き延びた。弦さんだって命をかけた。だったら、俺たちもやるだけだ」


管理人が小さくうなずいた。「昔の俺なら止めてただろうが……今なら言える。“やれ”。その覚悟があるなら、やれ」


静かに、4人が視線を交わす。


ここにいる誰もが、もう後戻りはできないと悟っていた。


仁がポツリと呟く。


「……やろう。俺たちで終わらせよう、この闇を」


部屋の空気が、静かに、しかし確かに変わった。


暴かれる真実、揺らぐ正義。

この一歩が、すべてを変える――その始まりだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ