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第12章:新事実
薄暗い駐車場の隅で、黒いフードの少女は小さく震えていた。仁がゆっくりと声をかける。
「……まずは名前を教えてくれないか? 怖いのはわかる。でも俺たちは敵じゃない。」
少女はしばらく沈黙した後、か細い声で答えた。
「……みのよ。竹下みのよ。」
仁の目が一気に見開かれた。
「……竹下の娘……か?」
酒井が静かに息を飲む。
仁は震える声で問い返す。
「待てよ……お前、つまり……母と竹下は……夫婦だったのか?」
みのよは俯いたまま、かすかに頷いた。
酒井がじっと彼女を見つめ、言葉を選びながら訊ねる。
「え? 親父を殺したのか?」
みのよは首を横に振り、か細い声で答えた。
「違う……。家に帰ったら……父はもう、亡くなってて……動けなかった。」
彼女の言葉は震えていた。
「それで……サイレンの音が聞こえてきて……怖くて……逃げたの。」
酒井と仁は言葉を失い、静かな闇の中でお互いの顔を見た。