第1話 重なる不幸と1つの幸運？
不幸とは重なるものであると言う言葉がある
昔何処かで見たサイトでは不幸が重なる理由は神が自分に試練を与えてきたからだなんだと書いてあった
だとすると今日重なった不幸の全ては神様が俺に与えてきた試練なのだろうか
成程…だとしたら神様…
「厳しす…ぎや、しね…ぇか…」
突如現れた鉄柱に胸を貫かれながらそんな益のないことを考える
なんでこんなことになったんだろうなぁ…
確か…
──今朝
「やっべ遅刻じゃんこれ…」
家出る時間3時間ぐらい遅れてる…
あーやっぱ壊れてんな目覚まし時計、スマホでアラーム設定しとけば良かったなぁ…
まぁもう遅刻は確定してるしゆっくりしてから家出よ
「おはよ真菰」
「もう昼休みだよ了真…」
挨拶をする俺にジト目を向けるこの女は夜染 真菰、中学からの付き合いで俺、朽木 了真の親友である
「なんでこんな遅くなったの？朝凄い暇だったんだけど私」
「お前俺の他にも友達いっぱい居るしそんな事なかったろ」
「でも1番仲良いの了真だし…」
「いやそりゃ嬉しいけれども」
なーんかこいつのファンの子らから凄い恨み籠った目向けられてんだけど…
こいつ昔から背高くて王子みたいな感じやったからなぁ…
ファンが出来るのは納得やな、俺からすると良い迷惑だけど
あの方に近付かないで薄汚い男がって言われた時は笑ったよね
「今朝何か目覚まし時計ぶっ壊れてたんだよねー」
「何時起きたの？」
「10時」
「家結構近いしもっと早く来れたんじゃないの？」
「いや不幸に見舞われまくって…」
「不幸？」
「2回車に轢かれかけて階段から転がり落ちて鳥に糞落とされたのよ」
「家からここまでの10分で…？」
「うん………」
「ど、どんまい…」
なんなんだろう今日…
俺を轢きかけた車どっちも同じ車っぽかったけどなんなん？何したんや俺
──放課後
「じゃっお疲れ了真」
「お疲れー真菰」
午後からの授業を全て終えて帰路に着く
今回は警戒に警戒を重ねて進んで行こう
不幸は重なるからな
「迷った…」
俺もう高校2年生なのに完全に迷った…
何処なのよここ、何で来ちまったんだよここ
確か余りにもおぞましい蝶みたいなん見つけたから写真撮ったろって思って追いかけて森に入ってたらここに…
うーん余りにもガキすぎるな理由が
いやガキではあるけれども
てかあれは蝶だったのか…？めちゃくちゃデカく見えたけど…いやそんな生物居るのかねこんなコンクリートジャングルに
まぁ俺はノーマルジャングルで迷子なんですけどね！ハッハッハ！
「虚しい…」
スマホの充電も何故か切れるしこの森入ってから体調が可笑しいし…何だこれも不幸か？重なりすぎだろ
まぁとっととこんな所から出よ…う…ん？
ジジジ…
何だ…？空に穴が…
ズドンッ！
「………は？」
気付けば空に穴が開き、そこから何かが降ってくる
降ってきた物が鉄柱だと認識出来たのは、それが体を貫いてからだった
「ガッ…な…んだこれ…」
ドサッ
力が抜けて支えられなくなった体がその場に崩れ落ちる
熱い…熱い…熱い…胸が…熱い…苦しい…
大きな怪我をした時は怪我した位置が暑くなる…あの時も、今も
死が間近に迫ったからか今までの思い出が頭を駆け巡る…
クソみたいな思い出や嫌いな奴らの顔が過ぎりもするがそれよりも多くの親友や叔父さんや晴ちゃんの顔や彼女らとの思い出が頭をすぎていく
昔は死んでも良かった
幸せなことなんて1つもなくて、希望も何も無くて…それでも今は大切な人たちがいる
「死にた…くな、いなぁ…」
さらばだ友よ、10年は引きずってくれよな
───現在
あぁ確かこんなんやったなぁ…
でもなんかさぁ
「しぶ、とく…ね…？」
もう走馬灯過ぎってから多分10分は経つよ？
ゴキブリなの？驚異的な生命力過ぎるよ？
昔見た事あるけど子供がいる母ゴキブリは頭無くなっても3日くらい生きるらしいよ
どうでもいいけどね
これが神様から与えられた試練なら厳しすぎるけどそうだったら神様もビックリだろうよ
胸貫かれてんのにまだ生きてんだから
あぁでもなんか頭にもやがかかって来てるし視界も霞んできたな
良し、今度こそさらばだ現世
先に死んじまう俺を許してくれよな友よ
もう一度言うが10年は引きずってくれよな
あぁ…
もう…意識…が…
これで…救われ…
<ごめんなさい…ごめんなさい…>
…？何だ…？誰の………声だ…？
──？？？後
「あれ何で生きてんだ俺」
あれーさっき死んだはず何だけどな…
ならあれか？死後の世界か？
まんま過ぎるんだけど景色
森で死んで死後の世界森なことある？
んーでも服変わらんし…あれそういや鉄柱ないな、めちゃくちゃ痛いけど胸
痛みがあるって何でなんだ？やっぱ現世なんかねここ、尚更意味分からんけど
<状況確認は終わりましたでしょうか>
わーおファンタジーだなぁ…
頭の中に声が…
頭の中に…声が…
ん？
「誰！？」
<落ち着いてください>
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