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3 獣人族の村

俺たちは数匹のスライムを倒した後村を見つけるため草原を彷徨った。

別に俺があの飛行魔法を使えたなら彷徨う必要などないが、今の俺は魔力切れのため使えない。

ジンによると、魔力が回復する時間はおそらく一人一人まばらな時間だと言う。


小一時間ほど草原を彷徨っている俺たちだが、いまだに村という村はない。たまに朽ち果てな馬車なんかがあるが何のヒントも得られない。


人という人もいなく困ったものだ。

ジンが何度か飛行魔法を練習しているがいまだにできていない。

すると、目の前に頭から二つの耳が生えた生き物を見つけた。いや魔物か?

俺が眉を顰めているとジンは手を俺の方に向けた。


それは待てという合図。


「あれは獣人族だ」

「獣人族?」

「簡単に言えば犬とか猫とかが人間の姿になった生き物だ。他にも犬が人間になった姿に酷似してる奴がいるがそいつは”コボルト”という魔物だ」

「なるほど…つまりあの人?犬?は味方だと?」

「獣人と言った方がいいな」


人とも犬とも判断できなかったので誤魔化しているとジンに怒られた。なるほど獣人だな。


「たとえ魔物じゃないからといって俺たちに襲ってくる危険性はないのか?」

「分からない。俺がみていた異世界アニメには初手で襲ってくる奴も友好的な奴も両方いたからな。そこは判断できないところだ。

だが、とにかく俺たちの方から攻撃はするな。悪印象になってはいけない」


ジンと俺は敵意を向けることなく花を採取している獣人に近寄る。すると、獣人は少し驚いた表情を見せたが特別俺たちに敵意を向けてはいない。


「あのちょっといいか?」

「はい、どうしました?」


遠くから見ると分からなかったが、小柄な少女だった。


「俺たちは今食糧を得るために村を探してるところなんだ。けどなかなか見つけられなくてな。もしよかったらなんだが村に招いてくれないか?村でなくとも食べれる動物や魔物を教えてくれるだけでいい。とにかく腹が減ってるんだ」


「(おいジン)」

「何だ?」


俺は小声でジンに話しかける。


「(いくら相手が少女だといえど敬語は使った方がいいんじゃないか?悪印象になるぞ)」

「(こっちの世界は敬語だと舐められるんだ)」

「(じゃあ少女は何で敬語なんだよ)」

「(…そこらへんは知らん。まあ小さいことは気にするな)」


本当に大丈夫だろうか。まあジンが言うならしょうがない。そういうことにしてあげよう。


「そうですか。あなた方が良ければ村にご案内いたしますよ。もちろん食事もあげます」

「本当か!?」

「はい。大変疲れているように見えるので」


まあそうだな。俺は実際魔力切れ。ジンはワイルドウルフを何頭も狩ってるんだから。


「助かるよ。ありがとう」

「村はこの近くにあります。歩いて10分ほどですよ」


そんなに近かったのか。


「あなた方はどこからいらっしゃったのですか?」

「どこから…まあ遠い地からだ」


間違ってはいない。


「そうなのですか。ご苦労様です」

「一つ聞きたいんだがいいか?」

「はい、何なりと」

「君たちのご飯はどんなものなんだ?」

「そうですね、私たちのご飯は…」


獣人族の少女が言うに、主に飼っている動物やワイルドウルフを食べるんだそうだ。


「ワイルドウルフって食べれるのか!」


食べれないと確信していたジンが驚いた表情を見せる。


「え、ええ食べれますよ。魔物から出てくる魔石を魔法で復元させたら肉が手に入るんです。アイテムとかはダンジョンでしか獲得できないですけど」

「………」


どうやらその情報は初耳だったようだな。ジンが知らない異世界事もあるんだな。なんか少し安心した。

しかし魔のエネルギーが収縮されている肉か…少々心配になるが今は食わずにはいられないな。


10分もすると村が見えてきた。

かなり小さな村のようで村の周辺には木でできている柵と門がある。そしてその門にはおよそ2メートルほどの男獣人族が槍を持ちながら堂々と立っている。


「やっぱり獣人族はでかいようだな」

「あんなのが何人もいるのか?」

「ああ。逆にこの世界では俺ら180センチは超小柄な方といってもいいだろう」


…まじか。かなり誇れるポテンシャルだった身長なのに。。


「ゲンマさんルイさんここ通してくれませんか?」

「そいつらは誰だ?」

「お腹が空いているようなのです」


獣人族の2人は俺たちのことを睨んでくる。


「何か持っていないか体のチェックをさせてもらうがいいか?」

「もちろん」


大きい手が体に巻き付いてきて少しくすぐったい。その後俺たちは無事中に入れてもらえた。中に入ると、俺たちに向けられる目線が少し気になる。


「ここの地域は獣人族以外あまり見かけないのです。だから皆さん、あなた方を見ていますが決して悪者扱いではありません。むしろ興味を寄せているのです」

「俺たちがお邪魔している側だからなんて事ないよ」

「ありがとうございます」


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