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ココとアカリの きせきのおはなし

作者: 雪鮫

この絵本は、ちいさな犬「ココ」とやさしい少女「アカリ」の、愛ときせきの物語です。

誰かを大切に思う気持ち、信じ続けることの力、そして奇跡が起こる瞬間を描いています。


私たちの日常では、小さな愛が大きな力を持つことがあります。

ココのように、弱くてもがんばって生きる存在に愛を注ぎ続けることで、時には思いもよらない奇跡が起こるかもしれません。

このお話を通じて、やさしさや信じる心がどれほど大切かを感じていただければ嬉しいです。


心温まるこの物語が、みなさんの心にほんの少しでも光をもたらしますように。

そして、ココとアカリが紡いだきせきの物語が、いつまでもあなたの心の中で輝き続けますように。

むかしむかし、小さなまちに「ココ」という ちいさな いぬがいました。

ココは しろくて ふわふわなけがわをしていて、みんなに あいされる かわいい いぬでした。

でも、ココは さむい ふゆのひ、ひとりぼっちで みちに すてられてしまったのです。


それから ココの さびしい たびが はじまりました。

ココは まいにち、さむいかぜに ふかれながら、たべものもなく あるきつづけました。

やっとのことで まちがわの こうえんに たどりついたココ。

そこには ふるいベンチがありました。ココは ベンチの したで ねることにしました。


けれど、ココの からだは よわっていくばかり。おなかは すいて、ちからも なくなっていきました。

それでも、ココは「もういちど、だれかに あいされたい」と ねがって いきていました。


あるさむいあさ、こうえんに ひとりの しょうじょが やってきました。

しょうじょのなまえは「アカリ」。まちに ひっこしてきたばかりで、ともだちを さがしていたのです。

アカリは ココをみつけると、その ちいさな からだと かなしそうな ひとみを みて びっくりしました。


「わあ、かわいい いぬ!」アカリは こえを あげました。

「でも、どうして こんなに やせているの?」


アカリは やさしく ココに てを のばしました。

ココは すこし こわがりながらも、アカリの やさしさを かんじて、その てを ぺろりと なめました。

それは、ココにとって おおきな ゆうきが ひつようでした。


それから、アカリは まいにち こうえんに きて、ココに たべものを もってくるようになりました。

ふたりは しぜんと しんゆうに なっていき、ココは アカリのすがたを みつけると、しっぽを ふるように なりました。


けれど、ココの からだは どんどん わるくなっていきました。

アカリは それに きづいて、おとうさんと おかあさんに そうだんしました。

さいしょは こまっていた ふたりも、アカリの おねがいに こたえて、ココを うちに つれてかえることを きめました。


アカリの いえは、ココにとって まるで ゆめのような ばしょでした。

あたたかい ベッドに、まいにち おいしい ごはん。

なにより、アカリという やさしい ともだちが いつも いっしょに いてくれました。


ココは げんきを とりもどし、にっこり わらうようになりました。

でも、ココは ながい あいだ のどが かわき、くうふくで よわっていたため、びょうきが すこしずつ ひろがっていました。


それでも、ココは さいごまで アカリと いっしょに いたいと ねがいました。

アカリも そばで いつも みまもり、ココを やさしく かんびょうしました。

ココは アカリの ひざの うえで ねむることが だいすきで、その ばしょが なによりの しあわせでした。


そして、ある ばんのこと。

ココは アカリの あたたかい てに つつまれながら、しずかに ねむるように いきたえました。

アカリは ふかい かなしいきもちに なりましたが、ココとの おもいでを こころに だきしめました。


アカリは まいにち、ココのことを おもいだしながら ないていました。

でも、ココは もう もどってこないと かんじていました。


あるひ、アカリは おとうさんと おかあさんに おねがいして、まちの ちいさな きょうかいに いくことに しました。

アカリは きょうかいの なかで しずかに いのりました。


「かみさま、どうか ココを かえしてください。もういちど、あのこに あいたいです。どんなことでもします。おねがいします…」


アカリは それから まいにち きょうかいに かよい、ココのために いのりを つづけました。

その ねがいは ほんとうに しんけんで、ココのことを いつも こころから おもっていました。


あるよる、ふしぎなことが おこりました。

きょうかいの なかが、きんいろの ひかりで いっぱいに なったのです。

アカリが おどろいて みると、そのひかりの なかから、ひとりの てんしが あらわれました。


「アカリ、よくここまで いのりつづけましたね」

やさしいこえで てんしが いいました。「あなたの ねがいは、てんに とどきました」


てんしは まほうのように てを かざしました。

すると、ひかりが さらに つよくなり、きょうかい ぜんたいが まぶしく かがやきました。

そのとき、なつかしい こえが きこえてきました。


「ワン!」


アカリが みると、そこには なんと、ココが うれしそうに しっぽを ふっていたのです!

ココは げんきいっぱいで、アカリに かけよってきました。


「ココ!」

アカリは こえを あげて ないて、ココを だきしめました。ココも アカリの かおを やさしく なめました。


「このこは あなたの もとに もどりました」

てんしは ほほえみながら いいました。「でも、いのちは たいせつな もの。にどと うしなわないよう、だいじに くらしなさい」


そのあと、てんしは ひかりのなかへと きえていきました。

アカリは かんしゃの きもちで いっぱいに なり、ココと いっしょに きょうかいを でました。


ふたりは それからも、しあわせな まいにちを すごしました。

ココとアカリの きずなは、だれにも こわすことが できませんでした。


そして、ふたりの ものがたりは ちいさなまちの みんなに つたわり、

「まいにち だれかを あいする ことの たいせつさ」を おしえつづけました。

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