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赤ちゃん生活

感想ありがとうございます。勢いとノリだけで書いてるので展開とか諸々ジェットコースターですがお付き合いいただけると嬉しいです。


「__、__」


 何かが聞こえる……歌?


「『眠れよ眠れ、良い子よ。どうか良い夢を』」

「ぅ……」


 パチリと目を開けると、目の前に美女がいた。金髪碧眼の包容力ありまくりな女性、慈愛に満ちた笑みがなんとも神々しい。聖母かな?


「……あら、起きてしまわれたのですか?」

「ぁう……ぁー?」


 全くと言っていいほど呂律が回ってない。というか待てよ、なんか体が不自由……て、あ。そういえば転生させられたのか、私。つまり今はベイビーと。


「……ふふ、おはようございます。ファイン様、よく眠れましたか?」

「あー」

「お腹が空いたのですか? 只今ミルクを用意して来ますわ」


 そう言って聖母(仮)は私をゆりかごらしきふかふかの場所に置いて部屋を出て行ってしまった。


「ぅー……」


 体は起こせない、今は生まれて二ヶ月くらい……でいいのかな。多分きっとそう。ふくふくのおててに触るだけで分かるぷっくりほっぺ、見事な赤ちゃんである。

 今いる部屋は……天井と壁くらいしか見えないけど、ざっと見る感じ広いしおしゃれなお屋敷の一角っぽい。転生先としては申し分なさそう。……と、部屋を見ている間に聖母さんが帰ってきたみたいだ。


「お待たせしました。失礼いたしますね」


 お、この世界に来て初めてのご飯だ。意識が戻るまでの食事はノーカンとする。


「あぅ、んー……」


 うん……生温いミルクだ。多分普通の赤ちゃんからしたら美味しいんだろうけどいかんせん記憶が邪魔して微妙にしか思えない。まあ綺麗なお姉さんの腕に抱かれて食べさせられてると考えたら何でも美味しく感じてくるかも。……ちょっと変態くさいな今の言葉。


「よし、よし……」

「ぁう〜」


 ところでこの聖母さんは一体どなたなのか。私のお世話係? にしては綺麗なドレス着てらっしゃるんだけど……もしかして、母親だったり?


(……いや、あの神様女性だったよね? もしかして愛を前に性別とか関係ないぜってやつですかね?)

「ファイン様はゼア様によく似てらっしゃいますね。目元なんて瓜二つで……」

(仮にそうならこんな綺麗な人に手出したんだあの神……どの世界でも神って大抵どうしようもないな)


 神に対する私の好感度だだ下がりだ。まあ私、あの色ボケ神の血を継いでるらしいんですけど。なんか嫌だな。


「さ、おやすみの時間ですよ」


 抱かれたまま軽く揺られる。精神は十代でもガワは赤ちゃんだからか、あっという間に眠気が襲ってきた。


「『眠れよ眠れ、良い子よ。どうかいい夢を』」

「ぅ、……」




 そんなこんなで始まった赤ちゃん生活だが大抵食っちゃ寝の生活だったので特別語ることはない。赤ちゃんの成長は早く、私は気が付けば三歳になっていた。今では歩くも喋るも自由自在……とはいかないが、ある程度はできる。


「かあさま、かあさま」


 あ、ちなみに例の聖母さんはやはり私の母親でした。なんとこの小さくも立派なお屋敷で一人、私のお世話をしているらしい。私に転生というアドバンテージがあって普通の赤ちゃんと比べて比較的大人しくお世話しやすいとはいえ、流石にワンオペ育児にこのお屋敷の管理を両立するのはハイパーウーマンすぎる。うちの母親スペック高すぎワロタ。


「ファイン様、どうされたのですか?」

「このご本を読んで欲しくて」


 私が手に持ってるのは少し分厚い歴史書。頭のスペックがいいのか、それとも幼児ボーナスか知らないが言語の大抵は理解できたのだが歴史書などの難しい本にある特別な言語は少し難しく一度誰かに読んでもらわないと理解ができないのだ。この世界について手っ取り早く知るには本を介して知識を得るしか幼い私にはなく、こうして恥(?)を忍んで母様に頼むしかない。


「分かりました。ではこちらの方に」

「はーい」


 母様の膝に乗って読んでもらう。神様の子だからと異常な所も見逃してくれるからありがたい。こういう所はあの神に感謝したいものだ。


「__で、当時のメテア王国にエリナス帝国が戦争を仕掛け……」


 今私たちが住んでいる国がメテア王国、なんでも最高神の次にすごい神の名前から取っているらしくこの国の王子様はメテア神から祝福を受けて生まれるらしい。


(私には誰か祝福与えたのかなぁ。(最高神)からもらっててもおかしくはなさそうだけど)


 仮に最高神から祝福をもらってたら私生まれながらにチートとかいうやつになるかもしれない。やだなぁ、ああいうの。私は比較的平凡に生きられたら十分なんだけど。……神の子として転生するのを承諾したやつが何言ってるんだ、という話になるが。


「かあさま、最高神さまのお名前を冠した国はないの?」

「そうですね……ゼア様は世界の主ですから、世界統一をした国が現れない限りその国名は使われないと思いますよ」

「へえ……」

「本来ゼア様は祝福も人には授けられませんが、ファイン様には特別に与えているそうですよ」


 あ、やっぱりそうなんだ。


「あと大地神であるメテア様に知性の神スティア様、戦いの神アレナ様、恋の双神愛の女神アーティテ様に美の女神プロディ様、海神セイドア様、冥界の王テスア様……他にも大勢、天宮に住まわれる神の多くはファイン様の生誕を祝い祝福を授けたと神託を賜っております」


 多いなぁ。どう考えても持て余す祝福の数。一人に与える祝福じゃないって供給過多起こってるよ。


「祝福は謂わば神からの贈り物、神からの愛の象徴。ファイン様が多くの神に愛されており、フィナは嬉しい限りです」


 母様、フィナは元は敬遠な一信者だったらしい。貴族の一人として生まれるも教会で殆どの人生を送り、ずっと神……ゼア神に祈りを捧げていたとか。そこからまさかの見初められるなんてトンデモ人生歩んでるなあと思います(神の子より)


「……かあさま」


 母様は優しくて賢くてそこらの女性なんて目じゃないくらい綺麗な人だ。三年の間懸命に世話をされて一切情を感じないほど私は冷めていない。


「わたしはかあさまといられたら、それだけで幸せだよ」


 まあつまり、正直な所。私は母様のことが結構好きだ。だって優しくていろいろ教えてくれる綺麗なお姉さんとか好きにならないわけないじゃないですか。しかもこれでもかと愛情を注いでくれるんだから。転生させて放ったらかしのどこかの神とは違いますわ。


「ファイン様……」


 母様は感極まったように私を抱きしめた。


「この私でよろしければ、いつまでも傍にいますよ」


「……うん」


 ふと、昔の家族を思い出す。ああ、こんな感じで暖かかったんだよなぁ。

 転生後の私もいいのかもしれない、そう受け入れられた日な気がした。

一話一話が短いということで区切ってた部分を丸ごと載せてみました。以前の方がいい、こうした方が読みやすいなどありましたらまた感想いただけると嬉しいです。

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