let's restart!
「……」
目を覚ますと、知らない場所にいた。一面に広がる知らない花々、青く澄んだ空、ネットで映えスポットだなんだと紹介されてバズってそうな景色。
「ここ、どこだろう……私、さっきまで__っ、」
(そうだ、私刺されて……)
慌てて起き上がり、刺されたであろうお腹の辺りを見た。
「……あれ? 傷がない」
しかし、あるはずの刺し傷……塞がった跡すらもどこにもなかった。いや、それだけではない。体が異様に小さい、というか視界が子どものように低い。
「何がどうなって……」
「__ああ、やっと目を覚ましたかい?」
ふと、視界に影が生まれる。
「……」
顔を上げると、そこには思わず息を呑むほど美しい女性がいた。
「あれ? おーい、もしかして私の姿に見惚れちゃった? いやぁ、無理もない。なんせ世界で最も美しいなんて謳われた美貌、異世界人とてこの世界と美意識は大差ないみたいだね」
「……」
今度は別の意味で言葉を失う。何この人、自画自賛がウザい。……というか、待てよ?
「異世界人? ……私が?」
「あ、そうそう。説明がまだだったね。まずは自己紹介から。――私は君の住んでいた世界とはまた別の時空にある世界を治める神の一柱、彼らの頂点であり最高の神。最も位が高い神様さ」
「神様……」
なんてくだらない嘘、と言いかけて改めて彼女の姿を見ると自分の疑心も嘘のように納得してしまった。この上なく美しい姿、神秘的な装いはどこか厳かであり生物としての直感が目の前にいる〈この方〉は格上の存在だと告げている。
「……納得してくれたみたいだね。さて、説明を続けよう。まず前提として、ここは君がいた世界ではない。私たちが治める世界だ」
「じゃあ、なんで私がここに?」
「そりゃあ簡単さ、私が呼んだ」
『こう……彷徨ってた手頃な魂をぐいっと指先で引き寄せる感じ。例えるなら君の世界にあるヨーヨー釣りみたいな?』と言う神様。何故世界的に見て比較的マイナーな遊びを知ってるんだこの神。
「……つまり、私は死んじゃったのか」
まるで他人事、しかし言葉にしたとしてその事実は呆然と心の中で浮いていた。
「そう落ち込むことはない。私の世界では死後行く場所は決まってるが……君は幸運さ。〈やり直す機会〉を得たのだから」
「〈やり直す機会〉?」
「君たちの世界に伝わる言葉で言えば……転生、と言うのが正しいのかな。君を私たちの世界に転生させるということさ。なんと今から豪華な特典付き! 快適な転生ライフを約束するよ」