第23話 ルシファー様、登録者数100万人になってた
『次のニュースです。政府は昨日発生したダンジョン暴走事件、通称ウエノスタンピードの影響を受けまして、全国各地に点在するダンジョンについて改めて調査を実施す事を閣議決定しました。軽症者八名と比較的大きな事故には繋がりませんでしたが、事態を重く受け止め国民の安全を守ると発表。それに伴い内閣支持率は……』
翌朝土曜日の朝のニュースでは、昨日の事件が大きく取り上げられていた。ダンジョンが世界中に現れて二年、『安心安全で楽しく稼げるダンジョン神話』が崩壊したんだ、当然といえば当然だろう。
ま、俺は昔からダンジョンなんて大嫌いだけどな。
「そういやウエノダンジョンってどうなんの?」
「最下層はともかくとして、他は暫くは残ると思いますよ。徐々に資源が枯渇して、やがて消える……そういう自然の摂理に戻るだけです」
台所からアスモデウスが朝食を運びながら答えてくれる。土曜の朝にふさわしく、コーヒーの香りが漂って来た。
「暫くって?」
「さぁ、神々の時間の基準は曖昧ですから……お待たせしました、朝食のカツサンドでございます」
「いいね、朝から豪勢で」
ちゃぶ台の上に載せられるのは、近所のパン屋で評判のカツサンド、インスタントじゃないコーヒー、それからレタスときゅうりの野菜サラダ。やっぱりいいよね、金があるってさ。
「ええ、チャンネル登録者数も無事百万人を突破し完全に軌道に乗ったと断言して良いでしょう」
具体的な金額は聞かなくたって良いだろう。登録者百万人ともなれば普通のサラリーマンより稼げている筈だから。
ではではご機嫌な朝食でも頂きますかね。
「それじゃいただきまー」
「甘いぞツバサよ」
が、俺が掴もうとしたカツサンドはしわくちゃの手に奪われてしまった。
「じじい……」
じいさんに恨みの籠った目線を向ける。久々に姿を見たと思ったらやることがこれか?
「なんじゃ、ここ最近忙しく動き回っていたワシに随分な言い草じゃな。それよりほれアスモデウス、頼まれていた書類じゃ」
じいさんはカツサンドを頬張りながら、A4ぐらいの茶封筒をアスモデウスに手渡していた。彼女は中身を改めると、すぐに深々と頭を下げる。
「ありがとうございます、先代様」
「書類って?」
「こちらでございます」
俺にも関係あるものなのか、仕方なくコーヒーを啜る俺に手渡してきた。で、中身はっと。
「代表者名変更完了届……?」
何この堅苦しい書類。
「会社名、学習塾アルカディア㈱。新代表者(取締役)氏名……黒井ツバサ。えっなにこの書類」
そうそう、確か秘密結社アルカディアって大本はじいさんが開いてた学習塾だったんだよな。んでその代表者というか取締役が俺になったと。
「おめでとうございますルシファー様。昨日を持ちまして貴方様は」
アスモデウスは足を正し、今度は俺に向かって深々と頭を下げて。
「社長になられました」
なるほど……俺が社長にね。しかも昨日のうちに、ね。
「すまん、身に覚えが無いんだが?」
何の書類にもサインしてないんだが?
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【我らが英雄】ルシファー様強すぎ問題スレpart146【見てるか自治厨】
657:名無し
もう人類の英雄だろこれ
ルシファー様居なかったらあの辺死体の山だったぞ
658;名無し
安心安全なダンジョンなんてなかったんやな……
まぁ美味い話なんてそうそう無いよな、ほんま世の中クソやで
659:名無し
今後もルシファー様居ればなんとかなるっしょ
660:名無し
>>659
その場に『居れば』いいんだけどな
一人しかいないんだぞルシファー様
661:名無し
>>659
マジでそれ
例えば二つのダンジョンが同時にスタンピード起こしたらどうすんの?
シャイニー強いけど勝てなかったじゃん
662:名無し
それはまぁそうだけどさ……
663:アスモデウス
安心なさい愚民共
ルシファー様の強さがようやく世界に伝わりましたので、『復活のルシファー』作戦は第二フェイズへと移行します
664:名無し
本物!?
665:名無し
アスモデウスさん! パンツ何色ですか!?
666:アスモデウス
この度我らがアルカディアは世界中のダンジョンを破壊すべく
xxx.arcadia.co.jp
戦 闘 員 を 募 集 し ま す
667:名無し
応募しました!
667;名無し
>>666
ガチの応募フォームで草
俺も就職する時が来たか……
668:アスモデウス
ちなみに下着は黒です
669:名無し
ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!
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