村人Aの日常
僕の住んでいる村は宿屋や鍛冶屋、食事処に屋台など様々な建物があり、村とは思えないほど賑わっている。
そして、この村にやってくる冒険者は少なくない。
「ありがとうございました!またきてくださいね!」
外に出ていく冒険者を見送った。今日で20人目だ。食器を片付けながらお昼の忙しいこの時間も慣れたものだ。
「今日もありがとな、メル。」
キッチンの中から声が聞こえてきた。
「ガロンさん大丈夫ですよ。やりたくてやってるので」
そう僕は答えた。
僕の名前はメル。10歳だ。この村に生まれて物心ついた頃から冒険者を沢山見てきた。
ずっと見てきた冒険者たちの話を聞きたい想いが強くなって、2年前からガロンさんの『かまど亭』を手伝っている。
「メルが『手伝われてくれ!』って言って来た時はさすがにビックリしたけどな。今となってはこの店の看板と言っていいほどだからなぁ。」
「褒めすぎですよガロンさん。ガロンさんのご飯が美味しいから皆さん来てくれてるんですよ。」
「ははは、まぁそれもあるけどな!メル目当ての連中もいるんだぜ?ほら、この前来た…」
そんな話をしてるとガロンさんの言葉を遮るように
「おーい、メル!!注文いいかー?」
僕の名前が呼ばれた。
「はーい!今行きまーす!ガロンさん行ってきますね。」
話の途中だったけど、お客さんに呼ばれたので僕はお客さんの方に向かっていった。それを見ながらガロンさんは、
「冒険者だからって臆せずに話とかを聞きに行けるからお前は人気なんだよ。そういう所が羨ましいぜ。」
そう呟いた。
これはゲームだと村人Aとして位置づけられるような僕、『メル』の日常のお話です。