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霊感ゼロの怖い体験談2

作者: 蓮見忍

 最初に断りを入れますが、私には霊感というものがまったくないです。

 そんな私が幽霊を見たのは二回、幽霊を感じたのは一回です。

 霊体験と言うには怖くないかもしれませんが、古い記憶を掘り起こしながら、それぞれ書き出してみました。

 一つ一つが短いです。




  ***幽霊を感じただけの話「死臭」***


 これは五年以上前の話になります。

 ある日、私の実母から、実母の三番目の夫に会って欲しいと、連絡がありました。

 元々実母の三番目の夫が末期ガンで余命宣告を受けていたので、その時が来たのだと思い、それなりに覚悟を決めて一人で病院に行ったのですが、ベッドに横たわる実母の夫は、舌が黒くカビが生えており、顔色も悪く、意識があるのかもわからない状態。

 病室内の角で実母から「さっき血を吐いたの。もう駄目だって」と、そうこっそり囁かれました。

 心の中でプチ修羅場になりましたが、そのままひそひそと三番目の夫の状況を事細かに教える実母。

 実母は言いませんでしたが、医者に危ないので親族の方を呼んで最後の面会をさせてあげてください、とかなんとか言われたのだろうと察し、親戚が来ていろいろ話した後、もう真夜中になったから帰っていいよと実母から言われ、大丈夫なのかと心配しながら帰路につきました。



 次の日、職場のロッカー室で着替えていると、実母から三番目の夫の訃報を伝える電話が入りました。

 実母が泣きながら言う長い話を要約すると、午後に葬式の打ち合わせをすると決まった、洗濯しに家へ帰っている間に三番目の夫が亡くなったとの事。

 私の心に悲しみより三番目の夫に対する哀れみと実母への憤りが込み上げて来ました。

 医者から危ないと言われていたのにもかかわらず、実母は家に帰り、三番目の夫は親族誰も看取ることなく天国へと旅立った訳です。

 外からはおしどり夫婦にたとえられていましたが、実母はお金を家に入れない三番目の夫を憎んでいました。

 いつ亡くなってもおかしくないのに、わざと私達親族を返したり、わざと洗濯しに家へ帰ったのかと邪推しましたが、そんな訳無いだろうと思い直し、葬儀の打ち合わせのために仕事を早退しました。

 


 父が亡くなったのは初夏の暑い時期でした。

 少しでもいいから涼を感じたいと思い、寝る際に窓を開けたのですが、何故か窓から嫌な気配するのです。

 寝具から窓までの距離は別の部屋なので十畳程。

 何かわからないけれど怖いと思っているうちに、肉が腐った異様な臭いが漂ってきました。

 窓を閉めないといけない!

 そう思うのに身体が動かないのです。

 得体のしれない恐怖を感じながら、窓を閉めることも叶わずそのまま意識を失いました。

 


 結局、夜に腐臭を感じる日々が続きましたが、納骨された日からそれが無くなり、今日に至るまで家の中で同じ事が起こった事はありません。

 ただ、おかしな事に同じ頃、子どもが家の中で怖がって泣いておりました。


「透明な人がいる」と言いながら……。






  ***幽霊を見た話「足」***


 それを見たのは、私が専守防衛な特別国家公務員をしていた頃の話です。

 私の職場では夜勤がありましたが、夜勤とはいえ何もなければ夜の12時には寝られるのが常でした。

 しかし私が夜勤につく日に事故が起こってしまい、特例で夜に備えて昼間から仮眠室で寝る事になってしまったのです。

 仮眠室は給湯室を兼ねておりまして、50センチメートルほどの高い段差がある所に畳があり、寝るときは布団を敷いて給湯スペースと畳のスペースをカーテンで仕切るようになっておりました。

 カーテンをしめても明るい中、カーテン方向に顔を向けて布団の中で微睡んでいると、何かが私の近くで動いていると感じました。

 目を開けて見ると白い二本のものが私の頭から足にかけて、歩くように移動して消えてしまったのです。

 私の目には切ってある大根のようなものが2つ、畳の上を動いて行くように見えまして、不思議だなと思いながらそのまま寝てしまいました。

 寝覚めてから変に思い、職場の人に仮眠室へ入ったのかと聞いたところ、誰も入っていないとの事。

 よくよく考えて見ると、もし人の足だったとして、カーテンと段差の間を動いたらカーテンが動くはずです。

 特に怖い感じもしませんでしたが、結局、何だったのか未だにわかりません。


 それよりも私は夜勤の時に掛かって来た電話のほうが怖かったです。

 夜中の2時か3時ぐらいに電話に出ると、相手のバックミュージックがオルゴールで、女性の啜り泣く声がずっと聞こえるのですよ。

 2回ぐらい遭遇しましたが、丑三つ時にやられると心臓にとても悪いので、そう言ういたずら電話はやめて欲しいですね。


  ***幽霊を見た話「多分カオナシの襲来」***


 独身で一人暮らしをしていた頃の話。

 昼間こたつでうたた寝をしているといきなり金縛りにあいました。

 身体が上に何かが乗ったように重くなり、仕方がないので目を開けると、至近距離に顔のない人が居てはあはあ声を出しております。

 見事に顔の目・鼻・口が影に塗りつぶされたようになっていて、明るい部屋の中だというのに何一つその人の表情に関する視覚情報が得られないのです。

 口がないのに呼吸が出来るとはどう言う原理だと驚きながら、金縛りを解こうと動かない身体を必死に動かしました。

 すると重さは無くなり、顔のない人はいつの間にか消え去ってしまいました。


 その頃、既婚者に付きまとわれていたので、その人の生霊なのかなと私は勝手に考えております。

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