第十二話 夕方のお楽しみ
「みんな、ミッチについてくるのだよ! 今日こそお宝見つけるのだよ~!」
「きっと迷うけど……揺ちゃんに合図すれば安心にゃ……」
あらためて地下ダンジョンへ挑む途ちゃんと珠ちゃん。後に続く他のパーティーメンバーは、お父さん、美星ちゃん、彩ちゃん、私。このダンジョンは、元はと言えば自動増改築AIのエラーでできたものだけれど、様々な物資が手に入って実用的だし、何よりおもしろいから、そのままになっています。今日も役に立つものや、おもしろいものが見つかるといいな♪ 絨毯を敷いたようにふかふかで歩きやすい通路を進んでいくと……早速、彩ちゃんが何か見つけたみたいです!
「壁にアヤシイ穴はっけーん! こういうとこに、お宝はあるんだよね」
通路を進むうちに現れた小部屋の中。確かにその壁の下の方に、意味ありげな窪みがあります。でも、小さくて深そう。
「こんなこともあろうかと! 高性能マニピュレーターを持ってきてまーすっ!」
テッテレー♪ という効果音をサイバーゴーグルの内臓スピーカーから鳴らしながら、彩ちゃんが取り出したるは、普通のマジックハンド。でも、こんなときには役立ちます!
「うーん……これでも届かないなぁ……。あとちょっと……」
彩ちゃんは、マジックハンドをめいっぱい伸ばしつつ、体を穴に突っ込んでいきます。魅惑的な光沢のスーツに包まれた可愛いおしりが、ふりふり揺れていますね♪
「あ、取れた! 真空管だ、大当たり~♪ あれ、抜けない……? うそ、おしりがつっかえてる!? パパ、助けて~っ!」
お父さんが彩ちゃんの細い腰を掴んで引っ張ると、するりと抜けました♪ 一安心ですね!
「真空管、三つもあった! ふたつで十分だよね、ひとつは戻しとこ」
続いて現れた小部屋には、トランポリン!
「わふー! めちゃくちゃ跳ねるのだ~♪」
「楽しい、にゃ……! パパも、いっしょ……」
早速乗って飛び跳ねる途ちゃんと珠ちゃん♪ お父さんも引っ張られていっしょに跳ねます! おっとっと、お父さんがトランポリンの上で転んで、大の字に倒れてしまいました。トランポリンは柔らかいから、全然痛くはないはずだけれど、びっくりして、きょとんとした顔をしてしまっています。――ぱしゃり。そんなお父さんの写真を撮ったのは、美星ちゃん。
「パパの可愛いお顔、ゲット。これは、誰にもあげない。……美星のひとりじめ♡」
お父さんを助け起こしながら嬉しそうに頬を染める美星ちゃんは、ずっとシャッターチャンスを狙っていたようです。だから、ここまで大人しかったんですね。美星ちゃんはアイドル活動の一環で、自分や家族の写真をよくSNSにアップしているけれど……大量のお父さんコレクションは、“ひとりじめ”だそうです♪ でも実は、お願いしたら、私たちにも分けてくれるんですよ♪
その後も私たちはダンジョンを歩き回りながら、かにかまやサバ缶、たわしや古新聞、何かが入ったフロッピーや昔の映画のビデオテープといった様々なアイテムを手に入れつつ……最初の、壁に穴のあるお部屋へ戻ってきました。穴の中に真空管がひとつあるので、間違いありません。
「……迷った?」
誰ともなく、そうつぶやくと。壁に突然モニタが出現しました! 揺ちゃんです!
「そろそろ時間。お迎え」
呼ぶ前に登場した揺ちゃんに、彩ちゃんも驚きます。
「ゆっちゃん、ずっと見てたの!? いつから!?」
「彩が穴にはまって、おしり振ってるときから」
「見られてたかー」
「記録映像も残ってる。カモン」
揺ちゃんがサムズアップすると、天井が開いて夕焼け空が見え、私たちが立っている床がそのままリフトになってせり上がり……純白の巨大ロボットの胸へと吸い込まれていきました。
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名称未定ロボットのコックピットへ吸い込まれた私たちが、それぞれ適当な席に着くと。最前席に座っていた揺ちゃんが、360℃モニタへ極太明朝体でメッセージを表示しました。
『搭乗人数:8名 過不足無?』
あれ? 乗っているのは、揺らぎちゃんの他にお父さん、美星ちゃん、彩ちゃん、途ちゃん、珠ちゃん、私。七名のはずです。
「ばれたわ……」
「!」
私の隣の空席から声がしたかと思うと、そこに座っているのは凪ちゃん! 完全に気配が消えていました……!
「セキュリティは完璧ね……」
『当然!』
凪ちゃんが囁くと、モニタにはメッセージとともに得意げな揺ちゃんのお顔が大写しになりました♪ でも、凪ちゃんはいつから私たちについてきていたんでしょう?
「お狐さんに会ったときから……。凪はいつでもお父さまのおそばに……♡」
つまり、実は……今日ずっとお父さんにくっついていたんですね! お父さんは驚きつつも、見守ってくれてありがとうと凪ちゃんをなでなでします♪
「それでは……」『発進』
揺ちゃんがぼそりと言うと、いよいよロボが動き出し――空へと飛びあがりました! 360℃モニタに表示されるのは、黄昏どきの空! そのままロボは何度か変形したり、回転したり、空中ショーを楽しませてくれました♪
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私たちが空中散歩を楽しんだ後。巨大ロボットは案の定みんなの注目を集め、次に乗りたいと行列ができました♪ 揺ちゃんはみんなを数名ずつ乗せて、何度も発進しています♪
そして、そんな様子をずっと見上げている子がふたり。潤子ちゃんと真ちゃんです。潤子ちゃんはさっきまで護ちゃんと剣の稽古をしていたようで、首にタオルをかけ少し汗をかいています。真ちゃんはタブレットでロボのモニタをしている様子。
「まこちゃん、本当にかっこいいね……! ボクもさっき乗ったけど、とても気持ちがよくて、また何度も乗りたいよ」
「光栄であります。いえ、あの出来栄えは揺殿の手柄ですが、拙者も関わりましたゆえ」
潤子ちゃんからの褒め言葉を受け、得意げに眼鏡を上げる真ちゃん♪ 本当にすごい!
「あのように巨大なロボットも素晴らしいでありますが、小型化にも取り組んでおりまして。こちらの手のひらサイズのロボットちゃんは、AIによる完全自律機動をするのです」
そう言って取り出された可愛い小型ロボットは、まるで意思を持っているかのようにとてとてと歩き出し……お父さんの足にしがみつき、よじ登り、肩に座るとお顔を抱きしめキスしました♡
「わわ、父上……うちの子が失礼を。突然こんなことをするとは想定外でありました! AIの作成時に拙者の人格モデルを使用したからでありましょうか。大好きな人へ、ところ構わず好意を示してしまうようであります」
「まこちゃん、それはいいことだから、いいんじゃない♪」
潤子ちゃんが真ちゃんを抱きしめ、お父さんも笑顔でふたりの頭を撫でました♪
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「また負けたぁ~!」
「自ら場外へ飛ぶとは、さすがよーちゃん。月子もフォローしきれない」
ゲームに負けて悔しがる陽子ちゃんと、表情の変わらない相方の月子ちゃん。一方、お父さんと組んで勝利した美世ちゃんは涼しげです。
「これまでの総プレイ時間数に差があるから仕方ないよ。この結果は必然。ま、パパとボクの相性がいいってこともあるけど♪」
「もう一回!」
「よーちゃん、このゲームでは勝てないと思う……」
「じゃあ、勝てるのでやるもん! 何があるかな……」
「よーちゃんは、にらめっこが得意」
月子ちゃんの提案で、お父さんと陽子ちゃんは、にらめっこをすることになりました♪ 必死に変顔を作る陽子ちゃんを見守るお父さんは、最初からにこにこ笑顔です♪
「最初から笑ってるのはナシだぞ、オヤジぃ! 爆笑するまで、陽子の勝ちじゃないぞ!」
がんばり続ける陽子ちゃん。お父さんは、木漏れ日のように穏やかな笑顔のままです♪
「月子も手伝う。……えい」
いつものポーカーフェイスを一変させ、見たこともない表情を見せた月子ちゃん! お父さんも陽子ちゃんも、思わず私まで大爆笑です♪
「み、見えなかった……。気になるし、何だか楽しそうだな。ボクも入れて!」
美世ちゃんも参戦し、にらめっこは続きます♪
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「ほんぎゃああ」
ゆりかごで寝ていた未来ちゃんが泣き出すと、近くにいた凛ちゃんママがすかさずだっこしました。
「おーよしよし、いい子ねー。おっぱいかしら? それなら優結を呼ばないと」
「きゃっきゃ!」
「……だっこしてほしかっただけみたいね」
よしよしと未来ちゃんをあやす凛ちゃんママの表情は本当に幸せそう。未来ちゃんも「まっま!」と大喜びです♪ そんなふたりを見ている私の顔も、きっとデレデレになっていますね♪ 赤ちゃんってどうしてこんなに可愛いんでしょう♡ そして、デレデレな人はもうひとり。お父さんです♡ 未来ちゃんをのぞき込みながら、目を細めています♪
「凛も優結も恵理も、みんなこんな風だったなぁ。でも不思議と、みんな産まれたときから個性があるんだ」
「そうね。子どもの頃に、あなたからそんな話を聞いていたときは、そんなものかしら、と思っていたけれど。実際にたくさんの赤ちゃんを育ててみると、よく分かるわ。みんな違って、みんな可愛い♡」
「ぱっぱ!」
「未来も、パパに抱かれたいみたい。でも、もう少し、ママがだっこさせてもらうわ♪」
「それじゃあのー、パパはわらわをだっこするのじゃー」
未来ちゃんの声に誘われたのか、円ちゃんもやって来ました。お父さんにだっこされながら、凛ちゃんママの腕の中の未来ちゃんをよしよしします♪
「ほんとーにかわいいのー♡ わらわも、だっこしたいぞよー」
ソファに降ろされた未来ちゃんを円ちゃんが抱きしめます。そのふたりを包むのは、お父さんと凛ちゃんママ♡ 私も間に入れてもらって、円ちゃんと未来ちゃんが寝息を立て始めるまで抱きしめていました♪
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円ちゃんと未来ちゃんをゆりかごへ運んだ後。お父さんと私は、翔子ママや小さな子たちといっしょに、お庭を走り回って遊びました。やがて小さな子たちのほとんどが富海ちゃんの紙芝居へ移動したので、今は三人でちょっと休憩中。そこへ、八千代ちゃんがやって来ました。
「しょうこママ。やちょ、おっぱいのむ」
朝にお父さんの“血を吸った”おかげで元気になっていた八千代ちゃんですが、一日ずっと遊んでいたので、少しお疲れの様子。そろそろ栄養補給が必要のようです。
「いいけど、華弥ちゃんママのほうがいいんじゃないの?」
「やちょ、いろんなおっぱいすき。いまは、しょうこママのきぶん」
「そうなんだ♪ ちょっと嬉しいかも、えへへ♪」
「華弥おかあさんのおっぱいは、さいこう。しょうこママのは、げんき」
翔子ママが服とブラジャーを脱いでハリのある乳房をあらわにすると、八千代ちゃんはピンと上を向いた“元気”な乳首へ吸い付きます。本当においしそうなお顔♪ 翔子ママも、愛おしそうに八千代ちゃんを撫でています。八千代ちゃんは、くちづけたお肌からエネルギーを得るので、“吸血”のときに実際は血を吸わないのと同じく、今も母乳を飲んでいるわけではありません。
そして、廻ちゃんもやって来ました。
「……いいことしてる。私も飲みましゅ。ママのおっぱいを吸うのは、赤ちゃんじゃなくても極めて健康に良いのでしゅ」
廻ちゃんは翔子ママのもう一方のおっぱいへ吸い付きます。
「……宇宙」
銀河を宿したような目を見開いて、たっぷりおっぱいを味わっている廻ちゃん♪
「巴ママとのサイズ比……計測不能」
「あはは、何だか今日は大人気だね、ボクのおっぱい」
そう言ってお父さんを見た翔子ママの目が、熱を帯びていることを私は見逃しません! お父さんとママたちのこういうやり取りについて、常に鋭い観察眼を光らせているのです!
「翔子ママ、おっぱいあげて、えらいね~。なでなで♡」
豊ちゃんもやって来て、翔子ママをなでなでします♪
「翔子ママには、豊がおっぱいあげるね~。恵理姉さんの分のおっぱいもありますよ~。あと、それから――パパも飲む?」
最後にお父さんを見た豊ちゃんの目が、さっきの翔子ママと少し似ているように見えたのは、私の気のせいでしょうか……!




