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宇宙艦隊の司令官から剣と魔法のファンタジー世界の冒険者に転職しました  作者: 地水火風


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交易都市ゼノシア

コウ達も用意された食料の量にびっくりしますが、伯爵もまさか全部収納できるとは思っていなかったのでびっくりです。

 船を利用すると1500㎞近い船旅も5日ほどだ。勿論ながら、いくら河の流れがゆっくりと言っても下りの航路というのもある。

 ゼノシアはローレア河の本当に河口にある港町だった。ただ、イコルと違い城壁が高くそびえ立ち、城塞都市といった感じがする。ただ、人口が増えたためか、城塞の周りにも家が立ち並んでおり、そちらはいかにも港町といった感じだった。船はそちらの城壁の外に作られた船着き場の方へと向かう。

 南の方ではシンバル馬はかなり珍しいらしい。船から降ろす時に、周りからちょっとしたどよめきが起こる。

 運ぶ荷物は城塞都市の中だ。馬に乗ったままだと無用な騒動を起こしそうだったので、馬を引いて門のところに向かう。門番に王家の紋章の入った通行証を見せるとすんなりと通る事が出来る。そのまま、この都市を治めるグティマーユ伯爵の屋敷へと向かう。物資はそこに集められているとの事だった。

 

 グティマーユ伯爵の屋敷というより城の中に入ると、右側におそらく兵士の訓練場所だったと思われる広い空間があるのだが、そこにたくさんの物資が山積みにされていた。それでも足りないのか、庭の空いた空間にも積まれている。圧巻の物量である。


「驚いたかね?」


 初老の男性が話しかけてくる。初老と言っても均整の取れた身体の背筋は伸びており、年齢による衰えは感じさせない。2人の男性を連れている。どちらもどことなく、話しかけた男性に似ていることから、息子かそうでなくとも血縁者だろう。


「お初にお目にかかる。私はこの地方を治めるカドス・グティマーユだ、こちらは長男のビント、そして次男のカネメスだ。“幸運の羽”のパーティーで間違いないかな?」


 伯爵と言えば貴族でもそれなりの高い地位にある人物だ。だが、カドスは気さくな雰囲気で話しかけてくる。


「はい。私は今回物資を運ぶ依頼を受けた“幸運の羽”のリーダーでコウと言います。そしてこちらからパーティメンバーのユキ、サラ、マリーです」


 そう言って片膝をつこうとするが、カドスはそれを手で制す。


「堅苦しいあいさつは無しだ。わしはどうもそういうのが苦手でな。これでも、若いころは冒険者として活動してたのだ。兄が病死しなければ、そのまま冒険者を続けていたかもしれん身なのでな」


 そう言って物資の方に目をやる。


「近頃噂の冒険者とて、少しは驚いたかな?」


「はい。凄い量ですね」


「うむ、わしとてここまでの量を見るのは初めてだ。しかも、これで城の中の倉庫という倉庫に入れ込んだ後の量だからな。国王陛下からはリンド王国がぐうの音も出ない量を送ってやれ、とのお達しでな。早速で悪いが収納してもらえんかな。後、城だけでなく、街の倉庫にも大量に入っておる。それは別のものに案内させよう。すべて終わったら、また戻ってきてくれ、勝手だとは思ったが、ささやかながら食事の用意をしておる」


「大変光栄でございます」


 そう言って、コウは軽く礼をする。ここまで好意的に迎えてくれるとは思わなかった。流石にこれを断るのは色々と不味い。

 しかし、今見ている量で一部とは……。この文明レベルで、短期間にそれを集める輸送力と国力にコウは驚く。軍事力というのは兵站で決まると言っても過言ではない。リューミナ王国はつまりそれだけの軍事力を持っているという事に他ならない。


 コウ達は、早速分担を決めると次々に物資を自分たちの亜空間ボックスに入れていく。それを見ていた城の人々は一様に驚いていた。勿論城主であるカドスもである。


「実際に見るのは初めてだが、貴君らの収納魔法というのは凄いものだな……。一応、冒険者ギルドから聞いてはいたが、この量を本当に収納できるとは思っていなかった」


 訓練所の物資の収納が終わると、カドスが声を掛けてくる。


「恐れ入ります。これしか能がないものでして」


「極度な謙遜は美徳ではなく、嫌みにしかならんよ。貴君らの活躍はリューミナ王国の端であるこの街にも伝わっておる。貴君らはそのつもりはなかったかもしれないが、海賊を大勢潰してもらったおかげで、交易の被害が減ったのだ。今晩の食事への招待はその礼も兼ねている」


 ゼノシアはリューミナ王国の端と言っても、田舎町ではなくかつては他国との貿易の中継地点として、今は穀物の集積地点として栄えている、リューミナ王国でも有数の都市である。


「伯爵こそご謙遜を、ゼノシアは昔は交易、そして今は穀物の大集積地として栄えている都市ではありませんか。交易の方もかつてほどではないとはいえ、まだまだ盛んのようですし」


「まあ、言われてみればそうかもしれんな。とりあえず、わしが思ったより早く仕事が片付いた。残念ながら夕食の用意が間に合っておらん。急ぐようには言うが、しばし客室で待っておいてもらえないかな」


 そう言ってカドスは、近くの召使にコウ達を客室まで案内するように言いつけ去っていった。

 

 コウが客室に入って、鐘一つ分の時間が経つか経たないかのうちに他のメンバーも客室に帰ってくる。


「領主の人柄のせいか、この地方の住民の気質がそうなのか、思ったよりも開放的で良い街ですね」


 そうユキが話しかけてくる。


「ああ、あたいもそれは思った。美人だねぇ、って言われて串焼きをおまけしてもらったぜ」


「これから、伯爵の夕食に招待されているというのに、何を間食してるんですの?」


「いや、下手に腹が減った時に夕食を出されて、がっついたら不味いと思ってさ……」


 マリーに対してサラが言い訳を始める。まあ、あながち間違ってはいないが……。

 

 そうこうしている間に夕食の時間が来て、召使が自分たちを呼びに来た。召使の案内に従い、夕食の部屋まで向かう。客室に案内された時も思ったが、城の中は居住性より戦闘を意識して作られているようだった。


 食堂に入ると、とてもささやかとは言えないぐらい、料理が並べられていた。河口にある都市のせいかやはり海産物を使った料理が多い。ユキの目がキラリと光ったように見えた。


「先ほど言ったように堅苦しいのは苦手だ。せっかくの機会だ。わしも今日は作法には従うつもりはないんでな。貴君らも自由に食べて飲んでくれ」


 そう言って伯爵は乾杯だけすると、目の前の魚の唐揚げに頭からかじりつく。


「この魚は、こうやって丸ごと食べるのが美味いんだ。まあ、いつもはもっと上品に食べるがね」


 いたずらっぽく伯爵は笑う。


「ではお言葉に甘えて」


 コウ達はそれぞれ思い思いの料理に手を付けていく。伯爵だけではなく、ビント、カネメスそして奥方のアンジェニア、長女のリサレアなどにかわるがわる冒険譚を聞かれながら、楽しい食事の時間を過ごしたのであった。


今回完全に常識外の収納量を持っていることがばれてしまいますが、コウはここで秘密を明かすのが良いと考えてます。なぜなら、変に嘘をついて物資を残しておくと、嘘がばれた時に依頼時に嘘をついたと責められる可能性があると考えた為です。ちまちました嘘はつかない方が良い。これがコウの考えです。

 後、毎度お願いで恐縮ですが、面白いとか続きを読みたいと思われたらで構いませんので、評価やブックマークの登録をお願いします。

現金と思われるかもしれませんが、評価が上がるとやはりモチベーションが上がります。

よろしくお願いいたします。

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