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怠惰な1日

怠惰に過ごす1日の一コマです。

 雷を落とされたという程ではないが、オーロラに注意されたので、2、3日は骨休みをすることにする。といっても、何か疲れているというわけではない。ただ、1ヶ月ダンジョンに潜り続けることが非常識と言われた以上、地下100階のダンジョンをクリアして直ぐに、シンバル馬の購入が目的とは言え、旅に出るというのが非常識というぐらいは分かる。


 宿でのんびりしながら、ユキ達と反省会という名の、昼間からの飲み会を行う。うん、実に文句のつけようがないぐらい怠惰な過ごし方だ。ちなみに宿は3ヶ月先の分まで料金を払っている。基本1カ所に長居するようなら、普通は一軒家を借りるのが一般的らしいのだが、自分たちは色々目立ってしまっているので、下手な所だと防犯面で不安があるし、このように怠惰に過ごしたい時、ルームサービスがあるのはありがたかった。まあ、もうお金の不安がないというのが一番大きいのであるが。


「今回のダンジョン探索では、コウの転送が失敗するという情報は非常に有益でしたが、逆にダンジョンに潜ったら、ダンジョンに潜り続けるという情報は無用な騒動を起こしてしまいましたね」


 ユキがダンジョン探索を振り返って言う。


「否定はしない。だが、見方によっては、悪かったと思われる事でも、良い面がある事がある」


「ふーん。例えば?」


 サラが以前王都で食べた肉の残りを摘まみながら聞く。ちなみに酒は例の闘技大会で副賞としてもらったワインである。さすが、王族が飲むものとあって、文句のつけようがないほどうまい。最初は自分の分を出したが、あっという間に1本無くなり、ユキの分もなくなり、今はサラの分を飲んでいる。マリーは功労者だから、最後にしている。


「今回の件、もしあと少しダンジョンから出てくるのが遅ければ、非常に面倒くさい事になっていた、というのが分かった事だ」


「かなり苦しい言い訳にしか聞こえませんけど……」


 コウの言うことにユキが反論する。まあ、確かにコウ自身もそう思わなくもない。だがここは引いたら負けである。


「じゃあ、例えば今回仮に、問題なく2、3日ごとに宿屋に泊まっていたとして、もし近い将来近くに宿のないダンジョンに長く潜っていた場合、大問題になっていたと思わないか?」


 作戦行動で2ヶ月や3ヶ月の行動などざらである。とはいってもこの世界のように通信技術が未発達ではないので、通常は定時連絡は入れるものだが、中には隠密作戦のようなものもある。

 それに、ギルドに所属しているといっても、作戦本部でもない、民間の一機関に定時連絡を入れるという発想はそもそもなかった。今回の事がなかった場合、大問題になっていた可能性は低くはない。


「それってそんなに可能性が高いことですの? この星についてからもう2ヶ月は経ちましたし、残りの保護観察期間に、この国の中で未知の、さらに先日クリアしたダンジョンより大きいダンジョンに挑戦する、というシチュエーションが、そうそうあるとは思えませんけれど?」


「いえ、低くても可能性がある以上、確かになにがしかのトラブルに巻き込まれ、大問題に発展していた可能性は高いです」


 マリーの言葉に、直ぐにユキが反論する。


「そんなものなんですの?」


「そんなものなのです」


 ユキが自分の意見を力強く肯定してくれる。が、なぜだろうあまり嬉しくない。そこまで力強く肯定しなくてもいいんじゃないかな。こう、何というか、そうかもしれませんね、というレベルの返事が欲しかった。


「まあ難しい話は無しにしようぜ。もう終わったことだし。で、次は北の方に行って、シンバル馬だったっけ。でっかい馬を買いに行くんだよな」


「そうだな。北というか北西の草原地帯だな。街道を歩いていくのと、王都からセタコート運河を通って、カイヤ海に出てそのまま海岸沿いに行くという2つのルートがあるがどちらがいい?」


 サラが話題を変えたので、自分もそれにのって話題を変える。


「わたくしは、やっぱり帰りは買った馬に乗って帰りたいですし、行きと帰りは違う方が良いですから、行きは船で行きたいですわ」


 真っ先にマリーが希望を言う。


「私はどちらでも構いませんが、行きと帰りを違う経路にするというのには賛成です」


 ユキはそこまでこだわりはないようだが、行きと帰りを、違った経路を行くというのには賛成らしい。


「あたいもマリーの案に賛成かな。やっぱり乗って帰りたいよなぁ」


 少なくとも、往路と復路で経路を変えたいというのは、3人とも同じ意見なようだ。自分もそれには賛成だし、新車の購入というわけではないが、買った以上はやはり乗ってみたいという気分はよくわかる。


「では、今回はマリーの案を採用しよう。出発は明後日でいいかな」


 そうコウが結論を出す。


「宜しいのではないでしょうか。明日だと少々早すぎる気もしますし」


「まあ、あたいとしては別に疲れてるわけじゃないし、明日でもいいんだけどな」


「わたしくしもそれでいいと思いますわ。普通は、1ヶ月ぐらいは休んでも不思議はないぐらいらしいですわよ。明後日でも早いぐらいですわ」


 とりあえず明確な反対者はいないようだ。


「1ヶ月って、ここリゾート惑星じゃないよな。何して過ごすんだ?」


 サラが不思議がる。


「酒を飲む、泳ぐ、日光浴、クルーズ、キャンプ、賭け、狩り、スポーツ、まあこんなところだな」


 そうコウが答える。


「ん? ここでの過ごし方じゃなくて、リゾート惑星の1ヶ月過ごし方を聞いたんだけど?」


 サラが再び聞く。


「いや、リゾート惑星での過ごし方だ。つまりは自分たちはリゾート惑星に来たのと同じ過ごし方をしてるわけだ」


 改めて、元の世界の住人から見たら遊んでるようにしか見えないだろうな、と思ってしまう。

 それから、今度はこれも王都で食べ残した、でっかい甲殻類(蟹?)の足を食べる。これは大きすぎて、まだまだ、消費するのに時間がかかりそうだ。

 その日は闘技大会で手に入れたワイン4本を飲んで、夜が更ける前に就寝した。


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