リューミナ王国大闘技大会大会後
大会は無事に終わりましたが…。
競技大会は盛況のうちに終わった。賞金と商品、更に賭けの払戻金をもらって宿へと戻る。夕食は競技場を出るのが遅かったせいか、どこもいっぱいだったので宿でとることにした。
賞金と払戻金だけで9白金貨。大儲けだ。あの気になった折り畳みログハウスのマジックアイテムも問題無く買えるし、他に何か良いものがあるかもしれない。明日はマジックアイテムの店を回ろう。などとコウが考えていると何かマリーが言いたそうな顔をしている。
「なにか、言いたいことがあるのなら、言ったらどうだい?」
と、コウは促す。
「あの……。最初の約束通り、ワインの独り占めはしません。ですが、皆さんに1本ずつ、残り7本を私が頂きたいんですの。賞金は勿論いりませんわ。だめでしょうか?」
マリーが頬をわずかに赤らめ、まるで愛の告白でもするように聞いてくる。まあ、ある意味恥ずかしい内容だけどね。そんな乙女な顔をして言うような内容じゃないよ。
賞金をどうでもいいと思うあたり、欲がないと思うべきだろうか、それともワインに執着する当たり意地汚いと思うべきだろうか、悩むところである。
「まあ、それは構わない。元々マリーが勝ち取ったものだ」
「流石はコウ。感謝しますわ」
半ば呆れ気味のコウの言葉に、嬉しそうに答えるマリー。なんか今までで一番感謝されてるような気がするが、その理由がワインの分け前ってどうよ……。
「ちぇっ、あたいが出てたらあたいのもんだったのに。しくじったぜ」
サラが両手を頭の後ろに組み、残念そうに言う。君たち最近やっぱり意地汚くなってないか?
「しかし、今回のデータ収集は有意義でした。マリーには感謝しかありませんね」
流石はユキ、さらりと話の流れを変えてくれる。
「結果をかいつまんで教えてくれるかな?」
ユキが修復魔法の話を振ると、流石に皆真面目な顔になる。
「詳細なデータは、後ほどお送りいたします。結果論で言えば、元々含まれていない元素を破損個所に設置すれば、修復は阻害されます。少しでも含まれていた場合は、修復されてしまいます。
但し、生物に属するかどうかによっても違い、合成でもタンパク質や脂質が含まれていた場合は修復が阻害されます。これは含まれる元素には関係ありません。木材、布などは生物には分類されないようです。
つまり剣などを中に挟んでいたとしても、分解され元の通り修復されますが、生物とみなされるものが中に入っていた場合は阻害されます。但し目に見えない微生物などは関係ないようです。
よって仮にこの魔法に直面した場合、合成たんぱく質の膜で覆ってしまうのが一番良い方法かと思われます」
なぜだろう。最近ユキの真面目な声が心地良く感じる。
「何にしても、対処法があるようで何よりだ。この世界の住人には脅威でなくとも、我々には脅威になりえるものがある、と言うのが発見できたのは大きい。正直、魔法というものを少々侮っていたようだ」
ユキも頷く。
「そうですね。戦闘力に関して暫くの間、推定値の幅を広くする必要があります」
「後はそうだな、国王陛下がどう動くかだな」
「「「え!」」」
コウの言葉に3人が一斉に驚きの言葉をだす。
「いや、なんでみんな驚くわけ? あそこに国王が来てたでしょ。自分たちが国王からどういう目で見られてるか、昨日話したよね」
「特に何もなかったので、コウの考えすぎかと思ってました」
コウの言葉に、ユキが少しすまなそうに答える。
「だって、表彰式に何か言われたわけじゃないんだろう? コウの考えすぎじゃね」
サラが軽ーい感じで言う。
「まあ、別に考えすぎで、何も起こらないならそれはそれで問題ないけどね」
「でも、コウの悪い方の予感の的中率は非常に高いです」
コウの言葉をユキが補足する。
「具体的にはどれくらいだい?」
「星系連邦の中央戦略コンピュータを上回ります」
「「え?!」」
サラと一緒にマリーも驚きの声を上げる。
「実際、この宇宙に飛ばされてしまったのは、私の命令実行速度の遅れによるものです。コウは具体的ではなくても、何か壊滅的なことが起こることを予測していました。あと5秒、私があの時コウに命令の聞き直しをしなければ、こんな事故には巻き込まれていませんでした」
ユキは後悔をした声で言う。
「まあ、でもあたいの船は5秒じゃどうにもならなかったし、そういった意味で言えばコウがいてくれてラッキーだったかな。コウが居なかったら、帰還命令が解除されず永遠に宇宙を航行してたかもしれないと想像すると、それはちょっとと思うからなあ」
「わたくしも、コウやユキには悪いとは思いますが、今の生活の方が好きですわ」
サラとマリーが少しすまなそうに言う。まあ、正直でよろしい。
「済んだことは仕方がない。まあ、少なくとも私の不幸に全員を巻き込んだわけじゃないというのは気が楽になるよ」
ワープが間に合わなかった他の艦はどうなっただろうか? 少し暗い気持ちになったが、あれ以上の最善の指示は思いつかなかった。ならばこれ以上考えるのはよすとしよう。コウは頭を切り替え、国王がどう出るかの予測を考えることにした。
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