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教団本部壊滅報告

 コウ達はシメルナの街に戻ると直ぐに冒険者ギルドに向かう。


「すみません。ギルドマスターからの直接依頼の報告をしたいんですが、いらっしゃいますかね」


 コウが受付嬢にそう尋ねる。


「はい、おります。どうするのか聞いてきますので、すみませんが少々お待ちください」


 そう言って、受付嬢は階段を上っていく。暫く待つことになるかと思ったのだが、本当に少々の時間で戻ってくる。

 

「すぐに、会うそうです。ご案内いたしますね」


 そう言って、受付嬢は階段を上っていく。ギルドマスターの執務室には前回も行ったことだし、わざわざ人を使って案内をまたするなんて非効率な、と思ったが、考えてみたらこの世界にはセンサーのたぐいが一般的ではない。機密保持の面から考えると、案内は必要と思われた。要するに変な所に行かないようにする見張りの役目をしているのかな、と考え直したのだ。

 勿論そんなことは無い。ギルドマスターは精一杯気を使っていた。大体辺境のこの地で、Aランク冒険者のパーティーが何かやろうと思えば、それを止める手段は無いのである。Aランクパーティーしかも全員がAランク冒険者で構成されている、俗にいうプラチナランクのパーティーだ。それだけの価値がこのランクのパーティーにはあるのだ。

 コウ達にとってはお遊び気分でなったランクなので、自分たちのこの世界での価値を過小評価していたゆえの勘違いである。


「まさかこんなに早く、情報をお持ちになられるとは思ってもいませんでした。流石はAランクの皆様方ですね。して、教団の情報が何かあったのでしょうか。こちらが提示した条件が条件ですので、皆様がつまらないと思われている情報でも当方としては有難く頂きます」


「情報というか、こちらの行動の結果なのですが、教団本部は壊滅しました。幹部の者は神託の巫女と呼ばれる者を除いて全滅しました。神託の巫女は北にある魔の大陸へと逃げたようです。ちなみに、神託の巫女と幹部の一人は魔族でしたよ」


「へっ?」


 コウの口から発せられたとんでもない情報に、ギルドマスターは固まる。理解が追い付かないでいた。自分は何かのついでの時に、教団本部の場所の探索をお願いしただけだったはず。確かにできれば幹部を捕まえてほしいとは言ったが、場所を突き止めただけではなく皆殺しとは……しかも、存在が疑われている魔族が関与しているときた。疑うわけではないがそれほどのことを一ヶ月もかからずにやり遂げられるものなのだろうか。


「すみません。出来れば幹部の捕縛をと頼まれてはいましたが、成り行きで全滅という形になりました。ただ、この国だけでなく北方諸国を教団の影響下に置こうとしていたことは事実です。この国のみならず、どの国でも死刑相当の犯罪かと思います。勿論、それは幹部のものが考えていたことであり、末端の信者はどちらかというと被害者です。弾圧などはしない方が得策だと思います」



 コウはポカンとしているギルドマスターを見て、依頼された希望に添えなかったか、と勘違いし、言い訳を始める。また、何か勘違いをされて宗教弾圧が広まろうものなら、面倒臭いことになることが目に見えている。ただ単に救いを求めて信者になった貧困層や困窮者を敵に回したくはないし、弾圧されるのを見たくもない。こういったものは最初に行ったが最後、大抵は凄惨な結末を迎えるものだ。


「ご、誤解しないでください。決してあなた方を責めているわけではありません。ちょっと、というか、かなり私の予想の範疇から外れていましたので、戸惑ってしまっただけです。いわば私の力不足が原因でして……何と言いましょうか、この短期間にそこまで調べることができるとは思っていなかったのです。幹部の捕縛に関しましては、元々できればという条件でしたので問題ありません。

 疑うわけではないのですが、その、何か証拠のようなものはありますでしょうか」


「明確に証拠と言えるようなものは見つかりませんでしたが、人体実験の証拠と、幹部の1人及びその部下の頭は持ってきていますよ。記憶を覗けば大体のことは分かると思います。教団本部の場所は勿論お教えいたしますので、後で確認していただければと思います。一応ワイバーン程度の強さのモンスターは生息していますから、依頼されるのでしたらそれなりのランクの冒険者に依頼することが必要ですね。

 ただ魔族のことに関しては、魔族だった2人以外、幹部の者達にも秘密だったみたいです。確たる証拠はありませんので、信じていただくほかはありませんね」


 実際には対峙したときの映像記録、身体の分析記録など様々な記録があるのだが、見せても仕方が無いものだ。何かレコーダーのようなマジックアイテムがあったら買っておいた方が良いな、とコウは考える。


「それだけあれば十分です。それでその魔族が関わっていたというのは本当のことなのでしょうか。疑うような言葉を申し上げまして申し訳ありません。その、何と言いますか、単刀直入に言えば信じられないと言いますか……」


 ギルドマスターはコウ達にあくまでも下手に出る。この姿をギルドの職員が見たら目を疑うだろう。此処のギルドマスターは決して横柄な性格ではないが、公王と親しいこともあり、普段はこんなに下手に出る対応など、その辺の貴族では行いはしない。

 だが、ギルドマスターは目の前のパーティーに恐怖を抱いていた。この街を瞬時に滅ぼせるほどの威力を持った魔法、若しくは何かのマジックアイテムを持つ相手の本部を、壊滅させたというのである。口調から言って苦労した様子はない。つまりこの街などこのパーティーの力をもってすれば苦も無く滅ぼせるということだ。実際Bランクモンスターであるワイバーンを大した敵とも思っていないようだ。そう考えると背筋か寒くなる。寒気がするというのに額から汗が出てきて、慌ててハンカチでふき取る。


「その、あなた方に説明するのも気が引けるのですが、魔族というのは北にある魔の大陸に住んでいる人の形をした魔物という伝説はあるのですが、如何せん、この最北端の地でも見かけた例は噂話の域を出ないものでして……勿論文献から北に大陸があるというのはほぼ確実だろうと言われています。タリゴ大陸の北端が魔の大陸とつながっているともいわれています。ただ、少なくともここ1000年の間は魔の大陸に探索に行って帰ってきた者はいないのです」


 額から出る汗を拭きつつ、ギルドマスターはコウ達の機嫌を損ねないよう、言葉を選びつつ話す。


「なるほど。分かりました。そういうことでしたら、簡単に信じられないのも無理はありません。ですが、見かけない住民が増えた時はご注意ください」


 魔族は角が生えているとか、蝙蝠のような翼が背中から生えているとか、長い牙があるなどと噂されているが、所詮は途中で進化系統が分化しただけの種族である。外見的にそう人間と差があるわけではない。寧ろ外見的な差ならエルフやドワーフの方が大きいだろう。

 コウ達の情報では、この街にも魔族は住んでいたが、まさか殺して魔石を見せるわけにもいかないし、そこまでするつもりもない。なので無難に忠告するに留めておいたのであった。


 毎度お願いで恐縮ですが、面白いとか続きを読みたいと思われたらで構いませんので、評価やブックマークの登録をお願いします。

現金と思われるかもしれませんが、評価が上がるとやはりモチベーションが上がります。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 纏まりが無く独断だらけで、高級将校の報告とはとても思えない。
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