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転職活動(クエストテスト1-1)

依頼をどうこなしていくか楽しみにしていた皆さんお待たせしました。遂に、テストではありますが、クエストに出発します。ただ、今回で終わりではありませんが……ちなみに少しずつではありますが、あほかと思われているような大げさな設定が、生かされる予定です。また誤字の報告有り難う御座います。それとブックマークや評価を付けて頂き有り難う御座います。少しずつでも増えていくのは正直嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。

 コウ達は冒険者ギルドから外へ出る門へと向かう。門の横には露店があり、日持ちのする食料や水、酒、ちょっとした武器などが並べてある。それなりに繁盛しているようだ。コウ達もちらっと確認して、ランタン4つと油を購入し、門まで歩いていく。

 門まで着くと外に出る人たちが並んでいる。列の後ろにつき、列が進むのを待つ。

 自分たちの番になる。手続きは冒険者だったらパーティ名、パーティメンバー、依頼で出るのかどうか、帰還予定日を書くだけだったのですぐに終わる。ただ居合わせた隊長の視線が痛い。詰所はとりあえず大きな布が何枚も張られており、応急処置はしているようだった。

 視線は痛かったが、特に何か言われるでもなく外に出る事が出来た。ここから東に少し離れたところに川があり、川沿いに北に1日、そこに支流があるので、支流に沿って北東に1日ほど行くと魔の森の端に着く。

 ちなみにそこから北東に広がる森が魔の森で、支流の西は普通の森のようだ、支流の東と西で植生も生物も全く違うらしい。不思議なものである。


 のんびりと、緑の草を踏みながら歩いていく。“嵐の中の輝き”は20m程離れたところを付かず離れずついてくる。

 町からある程度離れると、念のため武器を亜空間から取り出す。後ろで“嵐の中の輝き”のメンバーが驚いたのが分かる。今更気にしても仕方がない、自分たちはそういうものだと慣れてもらおう。


「んー。良い天気だ」


 黙って進むのも何なので、コウがしゃべる。取り敢えず天気の話は話題としては鉄板である。


「そうですね。青い空に白い雲、サンサンと輝く太陽。正面に見える山脈と裾野に広がる深い森。正に、何かの風景画のようです」


 ユキが相槌を打つ。


「そういや、今から行く所って川の上流だろう。マヤメ穫れねえかなあ。昨日の晩飯、最後のホーンラビットの肉でお腹いっぱいになったけど、マヤメの塩焼きが一番美味かったんだよな」


 サラが心なしかうっとりとしたように言う。どうやらサラは花より団子のようである。


「そうですわね。あれはなかなかのものでしたわ。あれを肴に白ワインをキューッと呑むのも良さそうですわ」


 あれ?マリーって意外と酒飲み?と言うか白ワインってキューッと呑むもんなの?

 と疑問が多少あるが、マヤメの塩焼きが一番美味かったのはコウも異論はない。

 依頼中にのんびり釣りは出来ないだろうが、マリーの盾を川に突き立てて、サラの大剣で殴れば大抵の魚は獲れるはずである。それぐらいの時間は大丈夫だろう。一応テスト中の獲物は補助パーティーのものだが、食事の為の狩りは例外である。

 1日の終わりに、天然の森の中で、天然のマヤメを、天然木を燃やした火で焼いて、天然ものの酒を呑む。想像しただけで涎が出そうである。


「それにしても何にも起きないな」


 ボソッとサラが呟く。


「フラグかな」


「フラグですね」


「フラグって何のことですの?」


 サラが呟いて10秒も経たないうちに、今までバラバラに動いていたホーンラビットが自分達に気づいたのが判る。5匹のホーンラビットが移動して、自分達の300m程前方で待ち伏せを開始した。


「フラグは立てたものが回収する事。ちなみに毛皮とかも売れるから、なるべく傷つけないように、長針の投擲で倒すように」


 いくら自分達の物にならないとは言え、雑に殺したら“嵐の中の輝き”の面々は面白くないだろう。自分達の補助の役割がなければ、ランク的には楽に小銭が稼げる獲物のはずである。


「えー! あたいはちまちました攻撃は苦手で、ドッカーンと全力攻撃するのが得意なんだけどなあ」


 そう言ってる間に20㎝程の長針を5回投擲し、ホーンラビットの眉間に突き刺す。ホーンラビットは待ち伏せた姿勢のまま、なにが起きたかも判らずに命を失った。


(生命反応停止確認。2㎞以内に危険生物の反応無し)


 念のためだろう、ユキが思考通信で連絡を入れてくる。歩いて5分もかからずにホーンラビットの死体のところまでやってくる。角の生えた大きなウサギという情報だったが、実際見てみると思ったより大きい。子豚ぐらいはあり、体重も10㎏以上はあるだろう。サラが根元まで突き刺さっている長針を抜いていく。


「やる気がないのか、がさつなのか、雑ですわね」


 マリーが皮肉を言う。確かに長針はそれぞれの眉間の完全に中心には刺さっておらず、±1㎜程の誤差があった。


「いや、こんなもんでいいんじゃね」


 サラが反論する。やる気もないし、がさつでもあるようである。だがまあ、この世界の基準に合わせれば十分な精度だろう。自分よりサラの方がこの世界に馴染み始めている気がした。

 そうこうしてる間にお昼である。


「一緒にお昼をとりませんか」


 コウが誘うと“嵐の中の輝き”の面々が近づいてくる。コウ達のところに来てホーンラビットが5体倒されているのを見ると少し驚いたようだ。


「戦闘をしているところは見なかったが……」


 完全に動揺を隠せず、ザッツが尋ねた。


「投擲武器で倒したんですよ。ちなみに獲物はどうしますか? 自分たちで運びますか? それとも自分たちを信じて預けますか?」


 ザッツはホーンラビットをどうするかより、他のことを色々聞きたそうな顔をしていたが、最後は折り合いを付け、


「俺たちが運ぶのは無理だな。運ぶんだったら血抜や内臓を取り出さないと傷んでしまうし、それをやっていたら補助パーティの役目は果たせないからな。基本報酬の金額がもらえれば十分だ。ただあんまり見つけるのに時間をかけるのは勘弁してほしいぜ」


 コウは頷く。ホーンラビットの死体を亜空間へと収納する。収納し終わると、今朝買ったホットドッグと梨のような果物を取り出した。亜空間内では時間が停止しているので出来立てである。


「どうぞ」


 と、“嵐の中の輝き”にも勧める。


「いいのか、ありがとよ」


 と、機嫌良くザッツが手に取り、他の面々も受け取っていく。


 皆で適当に座り、ホットドッグを食べ始める。ホットドッグは塩味を利かせた大きなソーセージをパンで挟んだものだった。肉汁と油がパンに染み込んでおり、十分おいしいものだったが、好みでいえばマスタードとケチャップが欲しかった。果物は思ったより水気があり、かじると果汁が滴り落ちる。梨というよりスイカのような味がした。だがそれはそれでおいしかったので、2個食べた。

 食事も併せて30分ほど休憩すると、また森へと向かって歩き始める。“嵐の中の輝き”も少し離れていった。


後書き

 面白いとか続きを読みたいと思われたらで構いませんので、評価やブックマークの登録をお願いします。

現金と思われるかもしれませんが、評価が上がるとやはりモチベーションが上がります。

よろしくお願いいたします。

また、作風が異なりますが、他にも書いています。良ければそちらも読んでいただけたら嬉しいです

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― 新着の感想 ―
[一言] 〉あほかと思われているような大げさな設定が、生かされる予定です。 ワクワク☆彡 (読みながら)朝飯はホットドッグにしよう。 ケチャップ、マスタードもウィンナーも珍しく揃ってるぜ!
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