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寝る前の歓談

寝る前の歓談です。戦闘を楽しみにしてる方すみませんが、もう少しお待ちください。

 木製のドアを開けて部屋に入る。すぐにリビングになっており、中央にソファーとテーブル、左右にドアがあり、正面は窓になっている。左右のドアを開けてみると右が寝室で、左が風呂場兼洗面所のようだった。寝室は大きいものではないが、ベッドが5つある。洗面所と思われるところにある風呂桶とおもわれるものや、洗濯桶と思われるものは空であり、水道のような施設もない。排水口と思われる穴はあるので、どこからか水は運んでくるか、魔法で出すものなのだろう。

 一応探知レーダーをみて、近くに誰もいないことを確認すると、腕のリングを操作し一瞬でパジャマに着替える。私とユキはバスローブ、サラはまるでジャージのようなパジャマで、マリーはスケスケとはいかないまでも、うっすらと下着が見えるネグリジェである。中々両極端な2人だ。

 ソファーはテーブルをはさんで2つある。片方にコウとユキが、もう片方にサラとマリーが座る。


「まあ、失敗もあったが、何とか切り抜けられたってところかな」


 口調をいつものものに戻し、すこし自嘲気味にコウが言う。


「だけど、あのオーロラってやつ?あいつとコウのやり取りは流石だと思ったぜ。自分や主だった艦長じゃ無理だったな。流石“連邦一のペテン師提督”の二つ名を持つ男だと思ったね」


 サラが陽気に言う。


「え!自分はそんな二つ名を持っていたのかね?」


 ユキから聞いた私の二つ名は“連邦の魔術師提督”である。ユキの方を向く。心なしか姿勢をただしたように思える。


「確かに、そういう二つ名でも呼ばれていたのは事実です。しかし、“魔術師提督”と呼ばれていたのも事実ですよ。それに魔術師というのは人の錯覚を利用した手品を行うもののことです。広義の意味でいえば両者は同じ意味と言えなくもなくもないのではないか、と思われます」


 非常に回りくどくユキが答える。


「いや、全然違うから。わかって言ってるよね」


 コウが突っ込む。


「しかし、司令官の名を高めたバーシンユ星系会戦。船体の外壁だけを大破したように見せかけて奇襲を行い、大勝を収めたあの作戦は“ペテン師提督”の二つ名にふさわしい戦いだったと聞いておりますわ」


 マリーが慰めるように言ってくる。でも、それ慰めじゃないから。


「作戦中はコードネームで呼び合うように。せめてリーダーと呼びなさい」


 コウは注意する。まあ、別にあだ名ぐらい違ったところで本気で怒ったりはしない。ただ、“魔術師提督”の名で呼ばれていたものと思っていただけに、色々恥ずかしいことを思い出しただけだ。


「ちなみに、その二つ名の使用割合はどれぐらいかね?」


 とりあえず興味はあったのでユキに聞いてみる。


「ほぼ半々です」


 ユキが答える。半々ならどちらの二つ名でも間違いではないだろう。だが自分は騙されない。


「具体的な状況での使用頻度は?まあ、私的、公的の場合でいいが」


「公的な場合は“魔術師提督”の使用頻度が99%、私的な場合は“ペテン師提督”の使用頻度が99%です」


「それって、要するに心の中じゃ、私の事みんなペテン師と思ってたということだよね」


「まあそういう風に考えられなくもなくはないかと……」


 ユキがコウと反対の方を向く。


「まあまあ、あたいのところの艦長も、“ペテン師提督”っていう時は尊敬の念を抱いてたぜ。親しみを込めた二つ名じゃないかな」


 今度はサラが慰めに入る。

 そんなことは流石に分かっている。何度も言うようだが、コウは怒っているわけではなかった。ただ、自分で部下に「魔術師の名は伊達ではないよ」などといったことがあるため、ちょっと恥ずかしくなっただけである。


「まあ、この話題はここまでにしておこう。とりあえず次の課題は明日行われるテストだな。流石にうまくこなしたいので行き当たりばったりはやめようと思う。データはあるかね」


「いえ、かなり例外的な措置らしく、ナノマシンからのデータを照合しましたが、以前の例は見つかりませんでした。ただ、いくつか他のギルドでこの仮入隊というべき措置のテストデータはあります。しかし、各ギルドマスターの性格が大きく反映されるためかテスト内容がバラバラです」


 ユキが申し訳なさそうに答える。


「まあ何も事前情報がないより良いだろう。説明してくれないかね」


「今回のような仮入隊というべき時にされたテストは調査を始めてから全世界で4例しかありません。第1に試験官立会いの下でのモンスターの討伐。但し、これは外でモンスターの出現場所まで行って行なったもので、訓練所で行われたものではありません。第2に他のパーティとの模擬戦。これは他のパーティに声をかけた形跡がないため、行われる可能性は低いです。第3に一定期間危険区域で過ごすこと。これも外で行われるため、今回のテスト形式とは合いません。第4にダンジョンと呼ばれる迷宮をどこまでクリアできるかという形式です。これも、訓練所で行うという言葉に矛盾するため、今回のテストには当てはまらないと考えられます」


 ユキがよどみなく説明を行う。


「戦闘力を見ると言っていたな。そういう以上戦いを見るんだろうが……。正直データ不足だな」


 訓練所で強さを見るといっても色々方法がある。パーティを2つに分け模擬戦をしてもいいし、的を用意してそれを攻撃させるだけでもある程度の力は分かる。もしかしたらオーロラかワヒウが相手をするのかもしれない。野蛮な方法では奴隷や罪人を相手に戦わせる場合も何かの映画で見たことがある。流石に仮想空間での戦闘はないと思うが、もしかしたら魔法でそういうことができるのかもしれない。


「いかがいたしますか?」


 ユキが尋ねる。


「寝る。データが不足しすぎている。考えても無駄とは言わないが、結局は状況に応じて対処するしかないようだな」


 少し早いが、コウは寝ることにした。この世界の夜は早い。標準時間でまだ夜の10時ぐらいだが、窓から見える外の建物はもう9割がたの明かりが消えている。恐らく明かりが安価ではないためだろう。自分の頭の中にあるデータを見てみると、その代わり朝は早いようだ。明るくなるころには起きて、日の出の時には仕事を始めるようだった。この世界の時間は日の出とともに鐘を1つ慣らし、日没の時間まで鐘を鳴らす回数を増やしていき、日没時には10回鐘が鳴る。夜は日没を鐘が1つなったとし、昼間と同じように数える、という数え方をする。夜は基本的に鐘はならないため、大雑把な時間の把握しかしないようだ。また地軸の傾きがあまりないせいか、多少の狂いはあるが日常生活に支障はないようだった。


「君たちも、寝たふりぐらいしておきなさい」


 コウは他の3人に命令する。もちろんAIたる3人に睡眠は必要ない。コウ自身もアバターであるため、1週間ぐらいは睡眠なしで行動できる。ただ、現時点で正直やることがなかった。


 面白いとか続きを読みたいと思われたらで構いませんので、評価やブックマークの登録をお願いします。

現金と思われるかもしれませんが、評価が上がるとやはりモチベーションが上がります。

よろしくお願いいたします。

また、作風が異なりますが、他にも書いています。良ければそちらも読んでいただけたら嬉しいです。ちなみに、本日コメディ作品を1作追加しました。

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