7.既に愛しい…
前回、見事魔法が使えるようになった私ですが、ぶっちゃけ実感が湧きません。だってほら、私詠唱なしで魔法使えるじゃん?だから勉強とか訓練とかがないんだよねー。なにせ思い浮かべれば魔法使えるんでね!
「ねぇ、クロー」
「なんだ?」
クロが首を傾けます。あぁぁ!可愛い!!
「私って思い浮かべるだけで魔法使えるんだよね?」
「あぁ、そうだ。それがどうかしたか?」
「それどうゆう仕組みなの?シロとクロにはいつも私の考えが分かってるの?」
めっちゃ不思議なんだよなー。だって思うだけってことは、私の考え全部ダダ漏れってことじゃない?ヘタなこと考えらんないよね。そしたら。
「あっ、そこは心配しなくていいよぉ〜。アイリスが伝えようと思わないと、考えの共有はできないからぁ〜。」
らしいです。
シロさんが答えてくれました。ほぉ、便利。
「えーと、どうすれば伝わらない、っていう具体的な例はある?」
これ大事。
大丈夫って思って考えてたことが、実は伝わってましたとか分かった日には、死にますよ。死因・恥ずか死です。
「それはねぇ、伝わるなぁって思えば良いんだよぉ〜。」
…ざっくりとした答えですね!
もうちょっと、もうちょーっとだけ具体的にお願いしたかったなぁ…!
「…あー、つまりアイリスは気にしなくて良いとゆうことだ。例えば、今思っていることも我らには伝わってきていない。アイリスが無意識のうちに制御しているのだ。」
クロさん…!!
ありがとうございます!なるほど、つまり勝手に制御してくれるから、特に考えなくても良いってゆうことか。え?超便利…!!
「ちなみに念話も可能だぞ。お互いに伝えようと思えば良いだけだ。」
まじか!!つまり内緒話は絶対にバレないってことですね。いいねぇ、契約最強!!
けどなぁ、これから暇な時間を魔法極めて過ごそうと思ってたのに、することなくなったなぁ。
うーん、暇!アイリス友達いないんだよな。今まで心閉ざしてたし。ほぼずっとお部屋に1人状態だったし。…寂しい、めっちゃ悲しい子だな!アイリス、もとい私!!
「お嬢様。旦那様が明日お帰りになられるそうです。」
へー、お父様が。…って明日!?帰ってくるの!?急だな、おい。普通は一週間くらい前に連絡するもんじゃない?まぁいいんだけどさ。
あー、お父様ってことは、心配なのはお母様だな。
「ネロ、お母様のご様子はどうですか?」
「奥様は…まだご存知ありません。」
おーと、これは何故でしょう。普通はお母様に最初に行くもんじゃないですかね。いや、せっかく元気になってきたお母様が、また引きこもっちゃったらどうしようってゆうのは分かるよ?分かるけどさ、そこは頑張ろうよ。
あー…ネロが真っ直ぐこっちを見てるなぁ。目で訴えるってこうやゆうことを言うんだろうなぁ。
けどなぁ、嫌だなぁ。お父様とお母様の仲を取り持つのって、結構大変じゃない?何年もの間深め続けてきた溝があるじゃん。まぁお互いに誤解が生じてるんだろうけどさ。お父様の方は予想だけどね。
…気づかなかったことにしていいかな。うん、いいよね。
「…お嬢様。奥様と旦那様を変えられるのはお嬢様だけです。どうか、どうかお願い致します。」
うわぁ、口に出してきたよ。
しかもずるいよね、ここでお願いとか。ネロさん、結構策士なんですね。
「アイリス。何か不都合なことがあるのか?我があの者を消し炭にしてやろうか?」
「僕も僕も〜!僕は綺麗に証拠隠滅するよ〜」
「僕そうゆうの得意なんだぁ〜」と、ニコニコしながら仰るシロさん。…いや、得意って何!?シロは一体何者!?てゆうか今の伝わってたんですね!?
「あぁ、気持ちが高ぶっている時などは伝わりやすいからな。今は面倒くさいとゆう気持ちのみが伝わってきたぞ。」
あっ、そうゆうの伝わり方もするんですね。結構大雑把な。いや、それより…
「…消し炭にはしちゃダメよ。殺しちゃダメ。傷つきてもダメ。」
『それでは何もしなくてもいいのだな。』
『えぇ〜、それじゃあ精神的にやるの〜?』
と、念話で帰ってきました。…シロ怖っ!どんだけ痛めつけたいの!?本当に何者!?
…これ、絶対断れないやつだよね。
ネロだけでも強いのに、シロ&クロの思わぬ圧。私のことを思ってくれてるのは分かるんだけどね。やり方が過激すぎる。精霊怖い。本に主人至上主義的なことが書いてあったけど、本当だったんだなぁ。今も『必要なときは言えよ。すぐに消してやる。』って言ってきてるもん。ひゃー、これは本気で下手なこと考えられないな。相手の命が危険だよ。
「…分かりました。私がどうにかします。」
使用人じゃ踏み込めないところがあるってゆうのは分かるしね。仕方、ないよね…。
あー…お父様、帰ってくんの中止になんないかな。嵐とか雷とかで仕事増えました!とかなんないかな。
『風魔法で嵐くらいなら簡単に起こせるぞ。なんせ最高位精霊が二人だからな。ハリケーンなんかも余裕だ。』
えぇ、ハリケーン…。余裕なんだ。…本当にはやらないでね!?
『じゃあ雷〜?雷は合わせ技で起こせると思うよぉ〜。』
へー、合わせ技なんて出来るんだ。すごいなぁ、うちの精霊。…って!ダメだって!本当にやろうとしちゃダメ、絶対。
「お嬢様?いかがなさいましたか?」
ん?ネロが心配そうな眼差しでこっちを見ています。なんで…?…あっ、なるほど。独り言を呟いてしまっていたようです。いやぁ、無意識だったよ。怖い怖い。
…まだ二人ともなんか言ってるし。善意で悪気がない分タチが悪いよね。…お父様とかこの二人に比べたら余裕じゃない?だって、至上主義じゃないし。規格外のチートさんでもないし。
うん、いける。
だって話通じるし、お父様多分めっちゃ頭いいし。むしろ余裕。余裕すぎるくらいだね。
…よし!どんと来い、お父様!!
むしろ常識人プリーズ!なんか最近使用人の方々が忍者とかしてきてるんだよね!さっきのネロのようにいつの間にか背後にいる!
そしてお母様は箱入り娘過ぎてちょっと引いてる!!
早く来て!まだ見ぬお父様よ…!!
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