12.つかの間すぎた恐怖
さて、今私は未来の宿敵(候補)と対峙しています。え?なぜ候補なのかって?いやぁ、だって決めつけるのは悪いじゃないですか。それに悪役令嬢物って攻略対象と仲良くなるのがお決まりですし、今の状態って正にそれですしね!!
...はい、強がりは辞めます。
ぶっちゃけめっちゃ怖いです。だってそうでしょ!!これで私の未来の生死が決まるかもしれない訳ですし、怖くないわけないでしょ!!
『アイリスに仇なす者は全て我が排除してやろう。』
しかも今は私が殺しちゃう可能性もあるわけですよ!?本人達は純粋な善意なので扱いずらいし!
公爵子息様殺しちゃったら、私処刑じゃない!?絶対そうだよね!?
『あはは、アイリス何言ってるの〜』
あれ、シロさん。違うんですか?
『ふふ、アイリスが処刑される前に周りの奴ら皆殺しにするから、絶対そんなこと起こらないよぉ〜!だからねぇ、アイリスはなぁーんにも心配しなくて大丈夫だよぉ!』
いやいやいや、それはダメなやつだよ!?
皆殺して、んな馬鹿な...
『我々は本気だぞ。アイリスの命より大切な物など存在せん。』
えーと、それは私が止めれば辞めてくれるのかな...?
『言ったであろう、お前の命より大切なものは存在しないと。』
...えーと、それはつまり...?
『その命令だけは聞けないってことだよぉ〜!アイリスに危険が迫れば僕達は全てを破壊する。』
あ、あれ?
シロさん、いつもの口調はどこへ...?めっちゃがちトーンですやん...。
え、これやばいんじゃないか!?アイリスってノーマルエンドでも暗殺とか余裕であるよ!?大量虐殺が起きてしまう...!!
神様、私、アイリス・フォルティー二は今ここに誓います。フラグを徹底的に回避すると...!!
フラグとかあんまり気にしないつもりだったんですけどねー。これはどうにかしないと、取り返しのつかないことになってしまいます。
よって!私は今からちゃんと考えてフラグを回避していこうと思います...!!
けど、普通にフラグを回避しただけではいけない。ゲームの主人公が現れれば、勝手に私は悪役にされる可能性がある(前世の知識より)。そうなってしまうと、シロとクロによる大量虐殺が起こってしまう可能性がある!それだけは阻止しなければならない!!
となれば...!
取るべき行動は一つ、攻略対象達の心の傷をなくしてしまうのだ!そうすれば、ゲームの主人公マリアには悪いが、まずまず癒す心がなくなる!つまり恋も始まらない!これならば誰も傷つかない、完璧な計画だ!
「あの、アイリス嬢...?」
よーし、じゃあこれから頑張っ...ん?今私、呼ばれた?
「はい、なんでしょう?」
ここは幼い頃から(前世で)磨き上げてきた、アルカイックスマイルが活躍します!
「アイリス嬢は、なんの科目が1番お好きなのですか?」
はひゃー、全っ然話聞いてなかったよ。すまん、ロイオス!
「そうですね、わたくしは魔術が特に好きです。」
1番異世界っぽいしね!
「魔術ですか...。アイリス嬢は魔術のなかではなにがお好きなのですか?」
魔術のなかで、かぁ。そりゃ、もちろん...
「精霊学です。」
シロとクロもいるしね!
「精霊学は興味深いものですよね。契約を交わせば、精霊に強制することも出来る。それ故に、非道な魔術師も居るようですが...」
そうそう、契約を交わせば色々でき...ん?精霊に強制?あれ?てことは...
『...2人を強制的に止められるってことだよね?』
『ちっ』
『ちぇー、気付いちゃったかぁ〜。』
うぉーい!確信犯ですか!てか先の方、舌打ちのみって!
んー、何はともあれこれで大量虐殺の心配はなくなりましたねぇ。まぁ、それなら今後の方針は1つ。
私は私らしく、フラグ回避はそこそこに...で!
ありがとうございました!




