10.お熱い...
「ねえねえ、ネロ。お父様とお母様が無事仲直りしたのは大変嬉しいのですが...」
今は朝の8時、朝食の時間です。
そして、私たちの視線の先にあるのはーー
「朝からお熱過ぎるのは、いかがなものかと思いません?」
ラブラブの両親の姿です。
いやぁ、本当に仲睦まじいご様子ですよ。今までイチャイチャ出来なかった分でしょうか、ずーっと一緒にいますよ。
「アイリスちゃん、アイリスちゃんもいらっしゃい!」
幸せいっぱい、満面の笑みのお母様に呼ばれてしまいました。
じっと見つめてたから、羨ましがってると思われたのでしょうか?んー、そんなこと全然ないんだけどなぁ。
まぁ、呼ばれたので行かなければなりませんね。行ってまいります!
「ふふ、アイリスちゃん。アイリスちゃんがいなければ私達は仲違いしたままでした。本当にありがとう、アイリスちゃん。」
「アイリス、本当にありがとう。」
昨日からずっとこんな調子です。
すごーく、すごーく感謝されます。お父様は相変わらず口数が少ないですが、嬉しいのは表情から伝わってきます。え?どこが違うのか?んー、目尻がですねぇ...
お父様とお母様に挟まれて和やかな時間を過ごす。
んー、慣れないなぁ。
こんな時間、前世じゃ考えられなかった。本来ならこの世界でもありえなかったはずの時間。
本来なら、みられなかった。
私がこの世界に来なければ、2人はずっと勘違いをしたままで生涯を終えていた。そう思うだけで、私がこの世界に来た意味はあったんじゃないかと思える。
おかしいなぁ、出会ったばかりのはずなのに、こんなに情が湧くなんて。
前世ではこんなことはなかったのに、私も変わっているのだろうか。
...そうだといいなぁ、私は分かんないが嫌いだから。
「アイリスちゃん?どうかしたの?」
お母様が急に黙り込んだ私を、心配そうに覗き込んできます。
「いえ、なんでもありませんよ。」
...うん、ちゃんと笑えてます。
お母様もほっとした顔をしていますし!
『アイリス、無理はするなよ。』
あら、クロさん。
大丈夫ですよー、なにを無理してるって言うんですか!
『もぉ、アイリスは忘れたの?僕たちとアイリスは繋がってるんだよぉ!』
あぁ、伝わってしまったんだなぁ、さっきの感情。うーん、感情制御が甘かったみたいですね。
『2人は、私の過去のことも知ってるの?』
私からの初念話です!
ちょっとテンション上がりますね!
『あぁ、アイリスの前世のことであろう?』
やっぱり知ってるんですね。
けど、なぜでしょうか?そんなに前世のことを考えたことは無かったともおうのですか...
『それはねぇ、アイリスの魂ってとーっても不思議な輝きなんだぁ。だからねぇ、気になって覗いちゃった、というより流れ込んできたんだぁ。だから僕達には隠さなくて大丈夫だからねぇー』
はぁー、なるほど。
魂の輝き、なんか重要そうな感じがします。なぜか?女の勘です!
まぁ、2人が私の前世を知ってたとしても...
『私は大丈夫ですよ。』
言うことは変わりません。大丈夫、これは本当ですし。
あらあら、2人がちょっと不満そうです。本当に大丈夫なんですって!
あぁ、それより2人が仲直りしたのなら、本格的に攻略対象たちへの対応を考えなければなりませんねぇ。いや、まぁ基本的に関わらないっていうのは決まってるですけどね!
我が家は公爵家、相手の方々も貴族ですし、話さないといけない機会はくるはずですしね。
うーん、めんどくさい。
貴族社会の関わりとか、めんどくさそうでしかない。はぁー、嫌だなぁ。
『貴族滅ぼすのぉ?』
えぇ!?
シロさん、相も変わらず過激派ですねぇ...。そんなことしたら国が回らなくなってしまいますよ。
『人間の社会とは面倒なものだな。』
そうですね、こちらの世界でもそれは変わらないみたいです。
今日の結論、やっぱり攻略対象はなるべく関わらなければよしとしましょう!
ありがとうございました!
更新が遅れてすいません!短めです!




